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【市況】株価指数先物 【週間展望】 ―日米金融イベントとSQでトレンドが出やすい週に

TOPIX <日足> 「株探」多機能チャートより

 今週の日経225先物は、米連邦公開市場委員会(FOMC: 6月11日~12日)および日銀の金融政策決定会合(6月13日~14日)を迎え、金利動向や為替市場の動向に大きく影響を受けることになる。7日に発表された5月の米雇用統計では、非農業部門の雇用者数が前月比27万2000人増と市場予想(19万人増程度)を上回ったことで、米利下げ開始時期が遅れるとの見方から、米債券市場で長期金利は4.4%台前半に上昇し、7日の米国市場では主要な株価指数が下落した。

 米雇用統計の結果を受けて、市場では11月、12月の利下げがコンセンサスになりそうだ。今週のFOMCの結果判明までは積極的には動けないものの、FOMC通過後はアク抜けに向かう可能性はあるだろう。

 日経225先物は、週前半は米利下げ観測の後退によりロングが入りづらい一方で、短期的にはショートでのスキャルピング中心のトレードになりそうである。足もとでは25日移動平均線と75日線とのレンジ内で推移しているほか、13週線に上値を抑えられる形での推移が続いている。25日線が3万3610円、75日線は3万8920円辺りに位置しており、7日取引終了後のナイトセッションでは3万8550円~3万8910円と概ね両線のレンジでの値動きだった。

 ボリンジャーバンドは緩やかに収斂しており、-1σが3万8290円、+1σは75日線と同水準となる。そのため、25日線を下回る場面があれば-1σが意識されやすく、週前半はオプション権利行使価格の3万8250円から3万8900円辺りのレンジを想定しておきたい。FOMCでは政策金利が7会合連続で据え置かれる可能性が高いとみられるが、FOMCの結果判明後に長期金利上昇を嫌気した売り優勢の局面があれば、押し目狙いのロング対応に向かわせよう。

 また、日銀の金融政策決定会合は、政策金利の据え置きが予想される一方で、国債買い入れの減額を決めるとみられている。利上げのタイミングは7月と10月がコンセンサスになっているが、物価上昇圧力や円安傾向の継続を背景に早期の追加利上げ観測が強まっているだけに、政策金利が据え置かれればアク抜けの動きに向かわせよう。これらの金融イベント通過後には圧縮していた日米金利差を狙ったポジションを積み増す動きも意識されそうである。

 ただし、週末には6月限の先物・オプション特別清算指数算出(SQ)が控えている。基本的に週半ば以降は限月交代に伴うロールオーバーの商いが中心となる。現在の3万8500円を挟んだ膠着が続く可能性はあるが、日米金融政策の結果を受けたリバランスの動きが強まる可能性もある。これまでの狭いレンジでの推移により煮詰まり感が意識されていることもあり、大きくレンジを放れてくる展開を想定しておく必要がある。

 日経225先物は一目均衡表では現在、3万8500円~3万8800円辺りで推移する雲の中での推移が続いている。金融イベント通過後のアク抜けを予想した場合には上へのバイアスが強まる展開を想定しておきたい。また、4月半ばの急落以降、13週線に上値を抑えられているが、同線は緩やかに下向きで推移しており、3万8800円辺りに位置している。幾度も同線を上回るものの、週末終値で超えることができずにいる。一目均衡表の雲上限レベルであり、この水準をクリアできればトレンドが強まりやすいだろう。

 そのため、足もとのレンジを放れる局面では、下は-2σが位置するオプション権利行使価格の3万8000円、上は+2σが位置する権利行使価格の3万9250円を意識しておきたい。

 7日のVIX指数は12.22(前日は12.58)に低下した。下向きで推移する25日線に上値を抑えられる形で低下基調をみせている。利下げ開始時期が遅れるとの見方から7日の米国株は下落したものの、VIX指数は低下傾向をみせており、FOMCの結果を前にショートポジションを圧縮する動きが入りやすいようだ。株式相場が不安定ながらもリスク選好の動きとなるなか、押し目待ち狙いの買い意欲は強そうだ。

 なお、先週末のNT倍率は先物中心限月で14.04倍に上昇した。14.13倍辺りで推移する200日線が抵抗線として意識されるが、5月31日に付けた13.85倍で目先のボトムを形成する形であった。金融イベントの通過と週末のSQに向けてリバランスが強まる可能性はありそうだ。スプレッド狙いの動きは取りづらいところだが、リバランスの観点からはNTショートを巻き戻す動きが入りやすいと考えられる。

 5月第5週(5月27日-31日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では4週ぶりの買い越しであり、買い越し額は741億円(5月第4週は269億円の売り越し)だった。なお、現物は1126億円の売り越し(同1139億円の売り越し)と2週連続の売り越しであり、先物は1868億円の買い越し(同869億円の買い越し)と2週連続で買い越した。個人は現物と先物の合算で2041億円の売り越しで、2週ぶりの売り越し。信託銀行は現物と先物の合算で1206億円の売り越しとなり、2週連続の売り越しだった。

 経済スケジュールでは、10日に1-3月期GDP改定値、5月景気ウォッチャー調査、米アップル<AAPL>の世界開発者会議「WWDC」(~14日)、12日に5月国内企業物価、中国5月消費者物価指数、中国5月生産者物価指数、米国5月消費者物価指数、FOMC(米連邦公開市場委員会)終了後に政策金利、パウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長記者会見、13日に4-6月期法人企業統計調査、米国5月生産者物価指数、G7サミット(~15日)、14日に日銀金融政策決定会合終了後に政策金利、植田和男日銀総裁記者会見、4月鉱工業生産確報値、米国5月輸出入物価指数、米国6月ミシガン大学消費者信頼感指数の発表などが予定されている。


――プレイバック・マーケット――

●SQ値
06月限 日経225 32018.38  TOPIX  2211.13
07月限 日経225 32484.24  TOPIX  2245.68
08月限 日経225 32013.86  TOPIX  2278.68
09月限 日経225 32921.39  TOPIX  2370.93
10月限 日経225 32360.91  TOPIX  2326.75
11月限 日経225 32454.88  TOPIX  2318.99
12月限 日経225 32639.57  TOPIX  2343.77
01月限 日経225 36025.97  TOPIX  2513.46
02月限 日経225 37018.07  TOPIX  2563.93
03月限 日経225 39863.92  TOPIX  2716.15
04月限 日経225 39820.59  TOPIX  2766.89
05月限 日経225 38509.47  TOPIX  2728.75

◆日経225先物(日足)
         始値   高値   安値   清算値  前日比
24/06 06月07日  38790  38850  38540  38650  -110
24/06 06月06日  38490  39070  38450  38760  +240
24/06 06月05日  38650  38700  38290  38520  -230
24/06 06月04日  38880  38900  38430  38750  -190
24/06 06月03日  38430  39050  38280  38940  +450

◇TOPIX先物(日足)
         始値   高値   安値   清算値  前日比
24/06 06月07日  2763.5  2767.0  2748.0  2752.0  -9.0
24/06 06月06日  2748.0  2776.0  2745.0  2761.0  +12.0
24/06 06月05日  2776.5  2777.0  2742.5  2749.0  -33.0
24/06 06月04日  2796.0  2800.5  2769.0  2782.0  -17.0
24/06 06月03日  2768.5  2811.0  2763.0  2799.0  +27.0

●シカゴ日経平均 円建て
          清算値  前日大阪比
06月07日(06月限) 38650   0
06月06日(06月限) 38635  -125
06月05日(06月限) 38965  +445
06月04日(06月限) 38425  -325
06月03日(06月限) 38650  -290
※前日比は大阪取引所終値比

□裁定取引に係る現物ポジション裁定残(金額)
        売り   前週末比   買い    前週末比
05月31日    3477億円  +98億円 2兆5850億円  +231億円
05月24日    3378億円  -145億円 2兆5619億円  +6243億円
05月17日    3524億円  -18億円 1兆9375億円  +534億円
05月10日    3542億円  -793億円 1兆8841億円  -1178億円
05月02日    4335億円  +158億円 2兆0020億円  -100億円

□裁定取引に係る現物ポジション(株数)
        売り      前日比  買い       前日比
06月05日    7679万株    -93万株  9億0391万株   -2686万株
06月04日    7773万株   -125万株  9億3078万株   -713万株
06月03日    7898万株    +6万株  9億3791万株   -233万株
05月31日    7891万株    +54万株  9億4025万株   +3079万株
05月30日    7836万株   +325万株  9億0945万株   -1181万株
05月29日    7511万株    +75万株  9億2127万株   -391万株
05月28日    7435万株    -38万株  9億2518万株   +873万株
05月27日    7474万株   -195万株  9億1644万株   -941万株
05月24日    7669万株   +216万株  9億2586万株   +2554万株
05月23日    7453万株   -239万株  9億0031万株   +5894万株
05月22日    7693万株   -165万株  8億4137万株   +1億2114万株
05月21日    7858万株    -7万株  7億2022万株   -336万株
05月20日    7866万株   -120万株  7億2359万株   +1841万株

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