【特集】田部井美彦氏【日経平均ついに4万円突破、最高値圏を突き進むか】(2) ＜相場観特集＞

―止まらない強気相場、大台替えは単なる通過点かそれとも…―

　4日の東京株式市場は半導体関連やAI関連株に物色人気が集まり、日経平均株価は上値指向を継続。前週に740円あまりの急伸をみせ史上最高値を更新したが、きょうは目先高値警戒感からの利益確定売りをこなしてフシ目の4万円大台ラインを突破した。今後も4万円台を突き進む展開となるのか、それとも反動が表面化するのか。また、今後の物色対象として有望な銘柄は何か。マーケットの先読みで定評のある、ベテラン市場関係者2人に見解を聞いた。

●「4万円は通過点だが、目先は高値警戒感から調整も」

田部井美彦氏（内藤証券　投資調査部　リサーチ・ヘッド＆チーフ・ストラテジスト）

　日経平均株価は史上最高値を更新し、4万円まで値を上げた。この背景には3つの要因が指摘できそうだ。第1には、東証による「市場改革」で企業が配当や自社株買いを積極化した。第2には、新NISAがスタートし中長期での個人投資家の資金流入期待が膨らんだ。第3には日本経済がインフレに転換し、企業が収益を上げやすくなった。

　今後は賃上げが進むかが焦点だが、基本的には日経平均株価の4万円は通過点であり、年内には4万2000～4万3000円近辺までの上昇もあり得るとみている。ただ、企業の決算発表は一巡し今後は新たな展開材料も出にくくなる。またＴＯＰＩＸはまだ最高値更新には至っていない。日経平均株価は、 半導体関連株など値がさ株が主導して急上昇したが、高値警戒感も強まるなか、これからはＴＯＰＩＸの上昇にピッチを合わせる格好となることも予想される。

　こうしたなか、今後1ヵ月程度の日経平均株価の予想レンジは、下値が3万9500円、上値が4万1500円前後。どちらかと言うと、いったんは4万円を割り込み調整局面に入り、4月下旬からの決算を確かめる格好で再び上値を試す展開を見込んでいる。

　個別銘柄では、やはり半導体関連株からは目が離せない。特に部品・部材に絡む銘柄には妙味があると思う。レゾナック・ホールディングス <4004> [東証Ｐ]は基板材料や回路形成に使うフィルムなどに強く再評価余地がある。また、超純水製造装置を手掛ける栗田工業 <6370> [東証Ｐ]も面白そうだ。高配当利回り銘柄としてＩＮＰＥＸ <1605> [東証Ｐ]にも注目している。同社の配当利回りは3.6％前後の水準にある。また、資本の効率化を進め電線の更新需要も見込めるＳＷＣＣ <5805> [東証Ｐ]にも注目している。

（聞き手・岡里英幸）

＜プロフィール＞（たべい・よしひこ）
内藤証券リサーチ・ヘッド＆チーフ・ストラテジスト。株式市況全般、経済マクロの調査・分析だけでなく、自動車、商社、アミューズメント、機械などの業種を担当するリサーチアナリストとして活動。年間200社程度の企業への訪問、電話取材、事業説明会への参加などを通して「足で稼ぐ調査・情報の収集」に軸足を置いている。

株探ニュース