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【市況】S&P500 月例レポート ― M7効果で相次ぎ大台突破、最高値を6回更新 (2) ―


●主なポイント

 ○1月も2023年の相場上昇の流れが続き、マグニフィセントセブン銘柄が引き続き先導役となってS&P500指数 は4800台、4900台と次々と大台を突破し、1月中に過去最高値を6回更新しました。なお、1月に関しては「1月の相場がその年の相場を決める」(これまで70.5%の確率で実現)という格言があります。2024年1月までの13週間でS&P500指数は15.54%上昇しましたが(過去13週のうち12週で前週比上昇を記録)、利上げから利下げへと金融政策が方向転換しつつあることが相場を後押ししました。しかし、1月中盤以降は、経済の堅調さと予想を上回る企業利益と売上高が市場に追い風となりました。とはいえ、こうした経済の堅調さは、予想されていた3月の最初の利下げが6月まで先送りされる可能性があることも意味しています。低金利は企業にとって好都合ですが、力強い消費行動と政府の景気刺激策はそれ以上に業績にプラスに作用しているようです。各種コスト(インフレ)が引き続き下落傾向にあり、雇用(と賃金)は底堅さを維持しています――こうした状況は長期化すれば問題となる可能性があります。とはいえ、まずは目先のトレード(あるいは「20分後の未来」)が重要でしょう。

 ○1月の主なデータ

  ⇒1月の株式市場は昨年11月(8.92%上昇)と12月(4.42%上昇)の流れを引き継ぎ1.59%上昇しました。10月以前の3ヵ月間は連続で下落し(10月は2.20%下落、9月は4.87%下落、8月は1.77%下落して、3ヵ月累計では8.61%下落)、それ以前は5ヵ月連続して上昇していました(累計で15.59%上昇)。1月は21営業日のうち11日で上昇しました。1月は11セクター中5セクターが上昇し、前月から一転して値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を上回りました(値上がり銘柄数が224銘柄だったのに対し、値下がり銘柄数が279銘柄となりました。12月は値上がり銘柄数が416銘柄だったのに対し、値下がり銘柄数は86銘柄でした)。1月の出来高は前月比5%減、前年同月比では4%減となりました。

   →1月は11セクターのうち5セクターが上昇しました。12月と11月は11セクターのうち10セクターが上昇しました。1月のパフォーマンスが最高となったのはコミュニケーション・サービスで、4.84%上昇しました(2021年末比では3.58%下落)。パフォーマンスが最低だったのは不動産で、4.79%下落しました(同26.24%下落)。

  ⇒S&P500指数は1月に1.59%上昇して、4845.65で月を終えました(配当込みのトータルリターンはプラス1.68%)。12月は4769.83で月を終え、4.42%上昇しました(同プラス4.54%)。11月は4567.80で月を終え、8.91%上昇しました(同プラス9.13%)。過去3ヵ月間では15.54%上昇しました(同プラス16.01%)。2023年通年のリターンは24.23%の上昇(同プラス26.29%)、2021年末比では1.67%上昇しました(同プラス5.15%)。

   →2024年1月にS&P500指数は過去最高値を6回更新しました(終値での最高値は4927.93)。また、終値で初めて4800と4900を突破しました(日中最高値は4931.09を記録)。

   →コロナ危機前の2020年2月19日の高値からは43.10%の上昇(同プラス52.49%)となっています。

 ○米国10年国債利回りは、12月末の3.88%から3.93%に上昇して月を終えました(2022年末は3.88%、2021年末は1.51%、2020年末は0.92%、2019年末は1.92%、2018年末は2.69%、2017年末は2.41%)。30年国債利回りは、12月末の4.04%から4.17%に上昇して取引を終えました(同3.97%、同1.91%、同1.65%、同2.30%、同3.02%、同3.05%)。

 ○英ポンドは12月末の1ポンド=1.2742ドルから1.2681ドルに下落し(同1.2099ドル、同1.3525ドル、同1.3673ドル、同1.3253ドル、同1.2754ドル、同1.3498ドル)、ユーロは12月末の1ユーロ=1.0838ドルから1.0813ドルに下落しました(同1.0703ドル、同1.1379ドル、同1.2182ドル、同1.1172ドル、同1.1461ドル、同1.2000ドル)。円は12月末の1ドル=141.02円から146.95円に下落し(同132.21円、同115.08円、同103.24円、同108.76円、同109.58円、同112.68円)、人民元は12月末の1ドル=7.1132元から7.0997元に上昇しました(同6.9683元、同6.3599元、同6.6994元、同6.9633元、同6.8785元、同6.5030元)。

 ○1月末の原油価格は6.3%上昇し、12月末の1バレル=71.31ドルから同75.77ドルとなりました(2022年末は同80.45ドル)。米国のガソリン価格(EIAによる全等級)は1月に0.7%下落しました(現在1ガロン=3.214ドル、12月末は3.238ドル、2022年末は同3.203ドル、2021年末は同3.375ドル)。2020年末から原油価格は56.5%上昇し(2020年末は1バレル=48.42ドル)、ガソリン価格は37.9%上昇しました(2020年末は1ガロン=2.330ドル)。

  ⇒2023年12月時点のEIAの報告によると、ガソリン価格の内訳は、56%(11月は57%)が原油、16%(同15%)が連邦税および州税、8%(同8%)が精製コスト、そして19%(同20%)が販売・マーケティング費となっています。

 ○金価格は12月末の1トロイオンス=2073.60ドルから下落し2057.80ドルで1月の取引を終えました(2021年末は1829.80ドル、2020年末は1901.60ドル、2019年末は1520.00ドル、2018年末は1284.70ドル、2017年末は1305.00ドル)。

 ○VIX恐怖指数は12月末の12.45から14.35に上昇して1月を終えました。月中の最高は15.40、最低は12.35でした(2022年末は21.67、2021年末は17.22、2020年末は22.75、2019年末は13.78、2018年末は16.12)。

  ⇒同指数の2023年の最高は30.81、最低は11.81でした。
  ⇒同指数の2022年の最高は38.89、最低は16.34でした。
  ⇒同指数の2021年の最高は37.51、最低は14.10でした。
  ⇒同指数の2020年の最高は85.47、最低は11.75でした。

 ○S&P500指数に対する市場関係者の1年後の目標値は2ヵ月連続で上昇し、現在値から9.0%上昇の5280となっています(12月時点では7.4%上昇の5122、11月時点では5047)。それ以前は、9ヵ月連続の低下から11ヵ月連続の上昇を経て、2023年11月まで2ヵ月連続で低下していました。ダウ平均の目標株価も3ヵ月連続の上昇から2ヵ月連続の低下を経て、1月は2ヵ月連続で上昇し、現在値から7.4%上昇の4万0955ドルとなっています(12月時点では4.7%上昇の3万9445ドル、11月時点では3万8615ドル)。

※「M7効果で相次ぎ大台突破、最高値を6回更新 (3)」へ続く

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