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【特集】田部井美彦氏【ノンストップ株高、追撃買いか利食い優先か】(2) <相場観特集>

田部井美彦氏(内藤証券 投資調査部 リサーチ・ヘッド&チーフ・ストラテジスト)

―3万6000円台を大きく回復、史上最高値圏も視界―

 週明け22日の東京株式市場は引き続きリスク選好の地合いとなり、日経平均株価は大幅続伸し、遂に終値でも3万6000円台乗せを果たした。時価は約34年ぶりの高値圏をまい進中だが、外国人投資家とみられる買いに陰りはみられず、史上最高値も遠く視界に入ってきた。ここは追撃買いを入れるには勇気のいる場面だが、果たして強気対処で報われるのだろうか。先高期待が根強い一方、短期急騰による高値警戒感も意識されるなか、ここからの株式市場の展望と物色対象などについてベテラン市場関係者2人に意見を聞いた。

●「米国『適温経済』追い風で日経平均一段高も、半導体関連を見直し」

田部井美彦氏(内藤証券 投資調査部 リサーチ・ヘッド&チーフ・ストラテジスト)

 足もとの日経平均株価は大幅な上昇となっている。この背景のひとつには、米国の景況感が一時懸念したほど悪くならない一方で依然として利下げ期待が強いことがあるだろう。この「ゴルディロックス(適温経済)」と呼ばれる状況が米株式市場を押し上げている。足もとの米国企業の決算で堅調な業績見通しが示されれば、更なる上値も期待できる。たとえ、弱含みの見通しが出されても、生成AI 絡みの需要で半導体関連株が買われる流れは続くだろう。

 日本も堅調な経済成長が見込め、その安定性が評価されるなか日経平均株価は上昇基調を強めている。対照的に株価下落が続く中国・香港市場から流出した資金の受け入れ先ともなっている様子だ。日銀の金融政策も、まだマイナス金利解除など正常化に戻す状況ではないだろう。ただ、日本の場合、やはり為替が警戒材料で来期の想定為替レートは円高に設定されることが考えられることはリスク要因となる。

 こうしたなか、今後1ヵ月程度の日経平均株価のレンジは上値3万8000円前後、下値3万4000円前後を想定している。年明け早々に昨年来高値の抵抗線を抜けて上昇基調を強めており、過去の例からも一段の上値を試す展開も予想される。

 個別銘柄では、やはり半導体関連株などに注目したい。生成AIの普及に絡み高性能半導体に対する需要が高まり、必要とされる半導体の数も増えるからだ。シリコンウエハー最大手の信越化学工業 <4063> [東証P]や超純水に絡む栗田工業 <6370> [東証P]などが注目される。更に、電力設備投資に絡みSWCC <5805> [東証P]にも期待している。日本では変電所の更新需要が膨らんでおり、変電所の機材で高シェアを誇る同社への追い風が見込める。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(たべい・よしひこ)
内藤証券リサーチ・ヘッド&チーフ・ストラテジスト。株式市況全般、経済マクロの調査・分析だけでなく、自動車、商社、アミューズメント、機械などの業種を担当するリサーチアナリストとして活動。年間200社程度の企業への訪問、電話取材、事業説明会への参加などを通して「足で稼ぐ調査・情報の収集」に軸足を置いている。

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