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【特集】桂畑誠治氏【ノンストップ株高、追撃買いか利食い優先か】(1) <相場観特集>

桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)

―3万6000円台を大きく回復、史上最高値圏も視界―

 週明け22日の東京株式市場は引き続きリスク選好の地合いとなり、日経平均株価は大幅続伸し、遂に終値でも3万6000円台乗せを果たした。時価は約34年ぶりの高値圏をまい進中だが、外国人投資家とみられる買いに陰りはみられず、史上最高値も遠く視界に入ってきた。ここは追撃買いを入れるには勇気のいる場面だが、果たして強気対処で報われるのだろうか。先高期待が根強い一方、短期急騰による高値警戒感も意識されるなか、ここからの株式市場の展望と物色対象などについてベテラン市場関係者2人に意見を聞いた。

●「買い意欲旺盛ながら短期調整も視野」

桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)

 東京市場は外国人とみられる機関投資家の買いで上値追いが続いており、大方の想定を上回るパフォーマンスをみせている。外国人投資家が日本株に攻勢をかけている背景についてはいくつか挙げられるが、まず、今年からスタートした新NISAによる新たな個人投資家資金の流入が見込まれること。そして、企業側の立場では東証が提唱する「資本コストや株価意識の高い経営」に準じた経営改革がポジティブ視されている面もある。また、現在の日経平均は急ピッチの上昇で過熱感は拭えないが、ドル建て日経平均でみると全く趣きが異なり、今月19日時点で242.7ドルと2021年2月16日につけた287.3ドルを15.5%も下回っている状況にある。

 外国人投資家にすれば、ここから先も中長期的に円安が続くとはみていない。日銀によるマイナス金利の解除は春先以降にずれ込みそうだが、年内に行われる可能性は高いという見方で、その際に円高方向への揺り戻しが起こりやすいからだ。これらの要因が絡み合って、足もとの株高を演出しているとみられる。

 ただ、ここから短い期間で1989年12月末の最高値3万8915円まで駆け上がるようなケースは考えにくく、いったんは調整局面に移行する可能性が高い。向こう1ヵ月程度でみた日経平均のレンジでは、上値はハイテク株高が続き為替の円安基調にも変化がみられないことを前提に3万7800円前後とみている。また、円高方向にトレンドが変わり、ハイテク株中心に利益確定の動きが表面化した場合は深押しもあり得るが、今月11日につけた3万5157円前後が下値抵抗ラインとして機能しそうだ。

 物色対象としては、まず半導体関連株はAI市場の拡大を背景に依然として上値余地があり、製造装置メーカーを中心に継続マークしておきたい。このほか、内需株ではインバウンドの追い風が意識される外食や、百貨店などをはじめとする小売り関連株も投資妙味がありそうだ。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(かつらはた・せいじ)
第一生命経済研究所 経済調査部・主任エコノミスト。担当は、米国経済・金融市場・海外経済総括。1992年、日本総合研究所入社。95年、日本経済研究センターに出向。99年、丸三証券入社。日本、米国、欧州、新興国の経済・金融市場などの分析を担当。2001年から現職。この間、欧州、新興国経済などの担当を兼務。

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