【市況】米国株式市場見通し:小売売上高や金融決算に注目
来週は引き続き金融決算に注目だ。さらに、年末年始の消費動向を確認する上で鍵を握る指標となる12月小売売上高にも注目したい。また、FRBは17日に地区連銀経済報告(ベージュブック)を公表する。この結果は次回1月末に開催する連邦公開市場委員会(FOMC)での金融政策決定において、参考材料となるため注目だ。雇用状況や物価、消費動向、景気を巡る言及に特に焦点をあてたい。FRBはこの会合で、政策金利を据え置く見込み。
来週末には再び議会は歳出を巡る交渉期限に直面、政府機関閉鎖懸念がくすぶり上値を抑制するだろう。下院共和党のジョンソン議長はすでに民主党シューマー上院院内総務と今週まとめた超党派合意を引き続き支持する姿勢だが、依然見解にずれが見られることや共和党内部で超保守強硬派がこの合意に反対し議長解任に向けた動きも示唆しており、政府機関閉鎖のリスクには警戒だ。スイス、ダボスでは世界経済フォーラムが15日から19日まで開催予定。各国首脳や各国中銀関係者、企業の幹部などが出席予定で、経済や金融政策を巡る発言に注目だ。さらに、大統領選挙を11月に控え、15日に大統領選の共和党候補指名争い初戦となる党員集会がアイオワ州で開催される。依然トランプ氏が優勢と見られているが、前国連大使のヘイリー氏がバイデン大統領を支持しない一部民主党員の支持を得ているほか、保守派の重鎮などの支持を獲得し、その差を縮めており、動向に注目だ。
今週発表された12月CPIは予想を上回る伸びとなり、インフレ改善基調が停滞した可能性も示唆された。しかし、12月PPIは予想を下回る伸びに留まり市場の利下げ予想を後押しする結果になった。市場は3月の利下げ開始を9割近く織り込んでおり、引き続き株式相場の支援材料になるだろう。NY連銀のウィリアムズ総裁は緩和にはインフレが2%目標に向けて改善する確信を持つ必要があると主張しておりさらなるデータで判断していくことになりそうだ。
12月小売売上高は前月比で0.4%増と11月から伸びが拡大する見込み。ただ、国内総生産(GDP)の算出に用いられる自動車/建材/給油/食品を除いたコア指数は伸びが鈍化する見通し。予想通り消費の抑制が確認されると、需要鈍化懸念が主に小売、ハイテクにも重しとなる可能性がありそうだ。同時に利下げ期待が強まると、下値も限定的になるだろう。
経済指標では、1月ニューヨーク連銀製造業景気指数(16日)、12月小売売上高・輸入物価指数・鉱工業生産指数・設備稼働率、11月企業在庫、1月NAHB住宅市場指数(17日)、12月住宅着工・建設許可件数、週次新規失業保険申請件数(18日)、1月ミシガン大学消費者信頼感指数、12月中古住宅販売件数、11月対米証券投資(19日)、などが予定されている。また、FRBは17日にベージュブックを公表する。なお、15日はキング牧師記念日の祝日で金融市場は休場となる。
主要企業決算では、金融でゴールドマンサックスやモルガンスタンレー、地銀のPNC(16日)、クレジットカード会社のディスカバー・ファイナンシャル・サービシズ、地銀のUSバンコープやシチズンズ・フイナンシャル・グループ、金融サービスのチャールズ・シュワブ(17日)、地銀のキーコープ(18日)、自動車関連の金融サービス会社アライ・ファイナンシャル、地銀のフィフスサードやコメリカ(19日)、などが予定されている。昨年危機に直面した地銀の決算では預金状況に注目だ。また、ゴールドマンサックスは2024年の業績で強気見通しを示すと期待されている。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》
提供:フィスコ