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【市況】S&P500 月例レポート ― 利上げ終了を期待、前年下落分をほぼ埋める (2) ―


●主なポイント

 ○10月までの3ヵ月間は下落相場が続きました(累計で8.61%下落)が、11月はまさに感謝にあふれる期間となり、株式市場はほぼ全面高となりました(値上がり銘柄数が441 銘柄、値下がり銘柄数が62銘柄、騰落率は8.92%の上昇)。相場の上昇に一役買ったのが経済指標(CPI、PPI)で、これらの指標を受けて、FRBの追加利上げの道は(完全ではありませんが)ほぼ閉ざされました(確率は4%で低下しています)。 市場参加者は初回利下げについて、2024年3月に44%の確率、5月に76%の確率であると見込んでおり、また、2024年中に0.25%ずつの利下げが4回行われる確率は79%となっています。

 金利もこうした市場の期待に反応を示し、長期金利は低下しましたが(米10年物国債利回りは9月に5.02%に達しましたが、11月は4.34%で取引を終えました)、投資家が特に注目している短期金利は僅かな低下にとどまりました(3ヵ月物金利は5.40%)。(自動車ローンや住宅ローンと同様に)クレジットカードローンに関する懸念は強まっているものの、個人消費は引き続き活発でカード残高も膨らんでいるようです。議会はすべき仕事をしっかりとこなし、つなぎ予算の執行期限を延長しました(今回の期限は2024年1月19日と2月2日の二段階に設定)。これらは全て人の手(と一部は取引プログラム)によって行われました。AI(人工知能)の未来は窓もないであろうごく小さな部屋で議論されました。

 ○11月の主なデータ

  ⇒11月の株式市場は上昇に転じました。10月以前の3ヵ月間は連続して下落し、(10月は2.20%下落、9月は4.87%下落、8月は1.77%下落して、3ヵ月累計では 8.61%下落)。それ以前は5ヵ月連続で上昇していました(累計で 15.59%上昇)。11月は21営業日のうち16日で上昇しました。また、11セクターのうち10セクターが上昇し、値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を大幅に上回りました(値上がり銘柄数は441銘柄、値下がり銘柄数は62銘柄。10月は値上がり銘柄数が148銘柄で、値下がり銘柄数が355銘柄)。11月の出来高は前月比4%増、前年同月比では18%減となりました。

   →11月は11セクターのうち10セクターが上昇しました。9月と10月は11セクターのうち10セクターが下落しました。11月のパフォーマンスが最も良かったのは情報技術で、12.73%上昇しました(年初来では50.68%上昇となり、セクター別では最高の騰落率、2021年末比では7.12%上昇)。パフォーマンスが最低だったのはエネルギー(11月に唯一下落したセクター)で、1.65%下落しました(年初来では 4.62%下落となりましたが、2021年末比では51.70%上昇となり、セクター別で最高の騰落率)。

  ⇒S&P500指数は11月に8.91%上昇して4567.80で月を終えました(配当込みのトータルリターンはプラス9.13%)。10月は4193.80で終え、2.20%下落でした(同マイナス2.10%)、9月は4288.05で終え、4.87%下落(同マイナス4.77%)でした。過去3ヵ月では1.33%上昇(同プラス1.74%)、年初来では18.97%上昇(同プラス20.80%)、過去1年では11.95%上昇(同プラス13.84%)でした。

   →バイデン大統領が勝利した2020年11月3日の大統領選挙以降では35.58%上昇(同プラス42.36%)でしたが、2021年1月20日の就任以降では18.59%上昇(同プラス24.06%)でした。

   →重要な相場の節目を起点とした騰落率:シリコンバレー銀行破綻前の2023年3月8日からは14.42%上昇(同プラス15.81%で、金融セクターは同期間に2.63%上昇)、2022年1月3日の終値での過去最高値からは4.77%下落(同マイナス1.71%)、コロナ危機前の2020年2月19日の高値からは34.90%上昇(同プラス43.46%)となっています。

 ○米国10年国債利回りは低下を続け(10月には16年ぶりに5.02%に達しました)、10月末の4.92%から4.34%に低下して月を終えました(2022年末は3.88%、2021年末は1.51%、2020年末は0.92%、2019年末は1.92%、2018年末は 2.69%、2017年末は2.41%)。30年国債利回りは10月末の5.08%から4.50%に低下して取引を終えました(同3.97%、同1.91%、同1.65%、同2.30%、同3.02%、同3.05%)。

 ○英ポンドは10月末の1ポンド=1.2142ドルから1.2627ドルに上昇し(同1.2099ドル、同1.3525ドル、同1.3673ドル、同1.3253ドル、同1.2754ドル、同1.3498ドル)、ユーロは10月末の1ユーロ=1.0575ドルから1.0889ドルに上昇しました(同1.0703ドル、同1.1379ドル、同1.2182ドル、同1.1172ドル、同1.1461ドル、同1.2000ドル)。円は10月末の1ドル=151.68円から148.19円に上昇し(同132.21円、同115.08円、同103.24円、同108.76円、同109.58円、同112.68円)、人民元は10月末の1ドル=7.3158元から7.1289元に上昇しました(同6.9683元、同6.3599元、同6.6994元、同6.9633元、同6.8785元、同6.5030元)。

 ○11月末の原油価格は7.0%下落し、10月末の1バレル=81.34ドルから同75.67ドルとなりました(2022年末は同79.35ドル)。米国のガソリン価格(EIAによる全等級)は11月に6.6%下落しました(現在1ガロン=3.363ドル、10月末は3.600ドル、2022年末は同3.203ドル、2021年末は同3.375ドル)。2020年末から原油価格は56.3%上昇し(2020年末は1バレル=48.42ドル)、ガソリン価格は44.3%上昇しました(2020年末は1ガロン=2.330ドル)。

  ⇒2023年9月時点のEIAの報告によると、ガソリン価格の内訳は、55%が原油(8月は50%、7月は50%、6月は47%、5月は49%、4月は51%、3月は50%、2月は53%、1月は55%)、13%が連邦税および州税(同13%、同14%、同14%、同14%、同14%、同15%、同15%、同15%)、12%が販売・マーケティング費(同11%、同11%、同14%、同15%、同12%、同11%、同13%、同10%)、そして19%が精製コストおよび利益(同25%、同25%、同24%、同21%、同23%、同24%、同20%、同20%)となっています。

 ○金価格は10月末の1トロイオンス=1992.30ドルから上昇し2056.00ドルで11月の取引を終えました(2021年末は1829.80ドル、2020年末は1901.60ドル、2019年末は1520.00ドル、2018年末は1284.70ドル、2017年末は1305.00ドル)。

 ○VIX恐怖指数は10月末の18.14から12.92に低下して10月を終えました。月中の最高は18.42、最低は12.45でした(2022年末は21.67、2021年末は17.22、2020年末は22.75、2019年末は13.78、2018年末は16.12)。

  ⇒同指数の2022年の最高は38.89、最低は16.34でした。

  ⇒同指数の2021年の最高は37.51、最低は14.10でした。

  ⇒同指数の2020年の最高は85.47、最低は11.75でした。

 ○市場関係者のS&P500指数の1年後の目標値は、2ヵ月連続で低下し(それ以前は9ヵ月連続で低下した後に11ヵ月連続で上昇していました)、現在値から10.5%上昇の5047となっています(前月は20.7%上昇の5063、前々月は5135)。ダウ平均の目標値も3ヵ月連続の上昇を経て2ヵ月連続で低下し、現在値から7.4%上昇の3万8615ドルとなっています(前月は17.7%上昇の3万8896ドル、前々月は3万9354ドル)。

※「利上げ終了を期待、前年下落分をほぼ埋める (3)」へ続く

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