【市況】米雇用統計を受けた金利動向を注視/後場の投資戦略
日経平均 <1分足> 「株探」多機能チャートより
日経平均 : 32130.94 (-28.34)
TOPIX : 2267.36 (-0.99)
[後場の投資戦略]
本日の日経平均は寄り付き直後に32000円割れを見た後はすぐに切り返すと、一時は安値から300円超上昇するなど、心理的な節目を意識した底堅さが見られた。一方、戻りの一服も早く、その後は次第に値を切り下げる展開となっている。
2日、3日と日米の長期金利の上昇が株式市場の下落につながっていただけに、金利への影響力の大きい米雇用統計の発表を今晩に控えるなか様子見ムードが強まっているようだ。前日3日の米10年債利回りは4.18%と、2日の4.09%からさらに上昇した。米名目金利から期待インフレ率の指標とされる米10年物ブレーク・イーブン・インフレ率を差し引いた米10年実質金利は3日に1.81%と、7月7日に付けた1.79%を上回り、2009年3月以降で最高水準にまで上昇した。
一方、前日まで上昇が続いていた日本の新発10年物国債利回りは、本日は上昇一服となっており、長期国債先物も下げ渋っている。前日は日本銀行が午後に臨時の国債買い入れを実施したにもかかわらず、長期金利が低下したのは一時的ですぐに低下分を埋める動きとなっていた。日銀を試すかのような海外投機筋と思われる向きからの国債売りが入っていたとみられるが、本日はいったん小休止しているもようだ。
しかし、今晩の米雇用統計で市場予想を上回る数値が出た場合には、足元で金利動向に神経質になっているタイミングでもあるため、米長期金利の一段の上昇を通じて日米ともに株式市場へのマイナス影響が懸念される。その場合には、本日いったん小休止している日本の長期国債への売りが再燃する可能性もあろう。
来週は米国で10日に消費者物価指数(CPI)も発表される。目先は金利動向に神経質な展開が想定され、ハイテク・グロース(成長)株の押し目買いは控えた方がよいだろう。(仲村幸浩)
《AK》
提供:フィスコ