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【特集】大塚竜太氏【バブル後高値圏をまい進、どこまで続く上昇相場】(2) <相場観特集>

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

―日経平均は一気に3万2000円台へ、6月も強気相場継続か―

 週明け5日の東京株式市場は日経平均株価が一段と上げ足を加速、先物主導で3万2000円台を一気に回復した。前週末の米国株市場では、米債務上限を巡る問題が解決したことや、5月の米雇用統計発表を受けて次回FOMCでの利上げ見送りの思惑が、リスク選好の地合いを後押しした。NYダウは700ドル強の上昇で今年最大の上げ幅を記録したが、東京市場でもこれに追随する形となっている。6月相場も超強気の地合いが続くのであろうか。株式市場の見通しに定評があるベテラン市場関係者2人に今後の見通しを聞いた。

●「日本買い続く、日経平均は3万3000円台を指向」

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

 東京市場は依然として買い需要が強く、日経平均3万2000円台で伸び切った感触は全くない。33年ぶりの高値圏に浮上しており、実質的な青空圏で上値メドはつきにくいが、既に3万3000円台を目指す相場に入っていることは確かであろう。

 4月以降は海外投資家の日本株買いが活発だが、足もとでも買い攻勢は続いているようだ。この背景を考えると、まずは日本経済の構造変化がある。物価の上昇基調が確認されているが、一方で賃上げの動きも表面化した。消費者が値上げを受け入れる環境となっていることが大きい。長きにわたって日本経済に覆いかぶさっていたいわゆるデフレ環境からの脱却である。そして、もう一つは企業経営に対する変革期待。東証がPBR1倍割れ企業などに要請した経営改善要請は、海外ファンド筋の琴線に触れた可能性がある。PBR1倍割れが約半数を占める現状を考慮すると、この低PBR改善を目指す動きは日本株全体の底上げにつながっていく。

 全体相場はグロース株優位とかバリュー株優位といった切り口ではなく、循環物色が繰り返されるなかで、日経平均やTOPIXなどの全体指数が押し上げられていくことが予想される。大型株に資金が偏るということもなさそうだ。6月は再びIPOが増えるが、これが良い具合に作用して、中小型株物色の流れを喚起する可能性があるとみている。

 リスク要因を一つ挙げるとするなら、国内の物価上昇が顕著となるなかで日銀の大規模緩和政策に何らかの変化がみられた時で、その場合は為替市場での円高への揺り戻しとセットで株価の反落が予想される。ただし、そこは逆にチャンスとなる。買い遅れた向きにとっては、日銀の政策スタンスの変化によって、全体が波乱含みで調整を入れるような場面は絶好の買い場となると心得たい。


(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(おおつか・りゅうた)
1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。

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