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【特集】大谷正之氏【バブル後高値圏をまい進、どこまで続く上昇相場】(1) <相場観特集>

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

―日経平均は一気に3万2000円台へ、6月も強気相場継続か―

 週明け5日の東京株式市場は日経平均株価が一段と上げ足を加速、先物主導で3万2000円台を一気に回復した。前週末の米国株市場では、米債務上限を巡る問題が解決したことや、5月の米雇用統計発表を受けて次回FOMCでの利上げ見送りの思惑が、リスク選好の地合いを後押しした。NYダウは700ドル強の上昇で今年最大の上げ幅を記録したが、東京市場でもこれに追随する形となっている。6月相場も超強気の地合いが続くのであろうか。株式市場の見通しに定評があるベテラン市場関係者2人に今後の見通しを聞いた。

●「日経平均はなお一段高も、海外投資家に買い増し余地残る」

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

 日経平均株価は上昇基調を強めているが、この要因としてやはり海外投資家の日本株買いが大きいだろう。

 海外勢は日本株の割安感や出遅れ感などに注目しているようだ。人気の半導体関連での主力企業が多いことも買い要因だろう。海外投資家は春先以降、大幅な買い越しを続けている。しかし、2020~22年に現物・先物合計で13兆円超売り越していただけに、なお買い余力はありそうだ。日経平均株価は、2年3ヵ月程度続いた2万5000~3万円前後のレンジ相場を抜け出しており、新たな上昇トレンドに入ったとみられる。

 こうしたなか、6月相場の日経平均株価の予想レンジは上値が3万2800円前後を見込んでいる。昨年8月高値から10月安値までの下げの倍返しがこの水準で、3万3000円近辺まで値を上げる展開が期待できる。下値は5月31日につけた3万785円前後がメドだろう。調整に入った場合、この前後まで値を下げ、現在3万200円前後の水準にある25日移動平均線が切り上がってくるのを待つ展開となろう。

 個別では「半導体」「電気自動車(EV)」「再生可能エネルギー」の3つのテーマに注目している。足もとで高い人気を誇る半導体関連ではアドバンテスト <6857> [東証P]や東京エレクトロン <8035> [東証P]を含めなお幅広く物色されそうだ。EV関連では、電子部品の村田製作所 <6981> [東証P]やローム <6963> [東証P]、京セラ <6971> [東証P]などに注目。また、再生エネ関連では、風力や太陽光による発電や水素に絡み三菱重工業 <7011> [東証P]、IHI <7013> [東証P]、日立造船 <7004> [東証P]などの活躍が期待される。


(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(おおたに・まさゆき)
1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。

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