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【市況】ドル円は138円台半ばでの推移=NY為替後半

 NY時間の終盤に入ってドル円は138円台半ばでの推移を続けている。きょうのドル円はNY時間に入って買い戻しが強まり、138円台を回復。米国債利回りが上昇に転じており、ドル円の上げをサポート。急速に売りに押される場面が見られたが、特段の材料は見当たらず、直ぐに戻している。何らかのまとまった売りが入った模様。

 朝方にFOMC委員の中でもタカ派の急先鋒として知られるブラード・セントルイス連銀総裁の発言が伝わり、「今年あと2回利上げを余儀なくされる」と述べていたこともドル円の買い戻しをサポートしたようだ。

 ただ、先週金曜日のパウエルFRB議長の発言で市場は6月の利上げ期待を後退させている。75%の確率で据え置きと見られているようだ。パウエル議長は、これまでの利上げで政策は景気抑制的となっており、最近の銀行のストレスによる信用引き締まりの度合いを巡る不透明性に直面していると指摘。データや変わりつつある見通しを注視して慎重に分析する余裕がわれわれにはあると述べていた。

 しかし、年内利下げ期待を高めているわけでもなく、ドルはしっかりとした値動きを続けている。ドル円が下支えされている状況に変化はなく、140円に向けた歩みを再び始めている。

 ユーロドルは上値の重い展開が続き、一時1.08ドルを割り込む場面も見られた。100日線付近で推移しており、その水準を完全にブレイクして行くか注目される。

 明日は5月のPMI(企業購買担当者景気指数)が発表される予定。パンデミック終了後でも製造業が苦戦する一方で、サービス業は力強く回復している。米国や英国も同じ傾向を示しているが、明日のPMIでも繰り返される可能性が高いと見られているようだ。

 本日はビルロワドガロー仏中銀総裁の発言が伝わっていたが、ECBは今後3回で利上げ停止もあり得るとの見解を示していた。ECBは次回6月15日に理事会を開催するが、利上げサイクル終了が近づいていると見られており、市場はあと1回か2回の利上げを織り込んでいる。

ユーロ圏製造業PMI(速報値)(5月)23日17:00
予想 46.3 前回 45.8
ユーロ圏非製造業PMI(速報値)(5月)23日17:00
予想 55.7 前回 56.2

 ポンドドルも上値の重い展開。1.24ドル台前半に下落し、強いサポートとなっている1.24ドルちょうどの水準は維持しているものの、試しそうな雰囲気ではある。1.24ドルをブレイクすれば、次はフィボナッチ38.2%戻しの水準が来ている1.2345ドル、そして、1.22ドル台後半に来ている100日線が意識される状況。

 英中銀は量的引き締め(QT)のペースを上げつつも、来年には利下げ開始する可能性があるとの指摘が出ている。来年にQTのペースが一段と上がることは、来年下半期に0.25%ポイントの利下げを4回実施するという現在のベースシナリオと矛盾するものではないという。ラムスデン英中銀総裁は先週の議会証言で、バランスシートの縮小ペースを鈍化させる可能性は低く、今後数年間はペースを上げていく可能性が高いと述べていた。

 英中銀は現在、四半期当たり約200億ポンドのペースでQTを行っており、満期償還金を再投資しないほか、保有資産も積極的に売却している。ただ、今後は満期償還金が増える見通しのため、英中銀が現在のペースを維持するなら売却は減ることになる。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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