【市況】NY株式:米国株式市場はまちまち、金融不安が再燃
NASDAQ <日足> 「株探」多機能チャートより
ダウ平均は280.83ドル安の31,874.57ドル、ナスダックは5.90ポイント高の11,434.05で取引を終了した。
スイス銀行のクレディ・スイス・グループの経営難を警戒した欧州市場の流れを引き継いで金融セクター中心に売られ、寄り付き後、下落。世界的な金融システム混乱を警戒し、国内地銀の売りも再燃、相場を一段と押し下げた。終盤にかけ、スイス当局が声明で必要ならクレディ・スイスに流動性を供給するなど安定化に向け支援する姿勢を示したため下げ幅を縮小。長期金利の大幅低下でハイテクは底堅く推移し、ナスダック総合指数はプラス圏を回復した。ダウ平均はリセッション懸念から戻りが鈍く、結局、まちまちで終了。セクター別ではメディア・娯楽、公益事業が上昇した一方、エネルギーや銀行、保険が下落した。
飲料メーカーのペプシコ(PEP)や消費財メーカーのプロクター・アンド・ギャンブル(PG)は景気減速の影響が比較的小さいとされるディフェンシブ株として、それぞれ上昇。ワイヤレスネットワークのTモバイル(TMUS)は、格安SIMを提供するミントモバイルの買収で合意したと発表、契約者の増加に繋がると好感されて買われた。鉄道のカナディアン・パシフィック(CP)は規制当局が同社のカンサス・シティ・サザン(KSU)買収を承認するとの報道を受けて上昇。
一方、地銀のファースト・リパブリック銀行(FRC)は格付け会社S&Pが預金流出懸念を理由に同行を投資不適格級に引き下げたことが嫌気されて下落。銀行のシティ(C)やバンク・オブ・アメリカ(BAC)、地銀のパックウエスト・バンコープ(PACW)やコメリカ(CMA)は金融システム混乱懸念から軒並み売られた。
ソフトウエアメーカーのアドビ(ADBE)は取引終了後に決算を発表。1株利益が予想を上回ったほか、通期の強い見通しが好感され、時間外取引で上昇している。
(Horiko Capital Management LLC)
《YN》
提供:フィスコ