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【特集】横山利香「令和時代の稼ぎたい人の超実践! 株式投資術」― (33)株価の方向性と目標株価のあたりをつけるリトレースメント【前編】

横山利香(ファイナンシャルプランナー、テクニカルアナリスト)

◆まず半値戻しを基準に見極める

 そもそもリトレースメントとは、株価が下落していたものが上昇した時の戻り、上昇していたものが反転したときの下げの目安を測るテクニカル分析の手法です。わかりやすく言うと「〇〇押し」や「〇〇戻し」のことです。この「○○」には一般に代表的なフィボナッチ数列の38.2%や61.8%、50%などが用いられることが多く、テクニカル分析の解説記事などでこれらの数字をご覧になった方も多いことでしょう。日本では古くから半値(50%)や3分の1(33%程度)、3分の2(66%程度)が目安としてされてきました。私が株式投資を始めた頃には、フィボナッチの数字はもう当たり前のように使われていました。テクニカル指標は多くの人が使えば使うほど、こうした基準となる数値は重みを持つようになり、誰もがその存在を意識するようになってきます。

 それでは、日経平均株価のチャートで具体的に見ていきましょう。まずは2022年1月からの日足チャートで株価の動きを見てみます。この期間で最も安かったのは2022年3月9日安値の2万4681円でした。次に最も高かった時を見てみると、2022年1月5日の高値2万9388円で、その次の高値は8月17日の高値2万9222円でした。ここからリトレースメントを順に追って見ていきます。

図1 日経平均株価 日足
【タイトル】

 1月5日に2万9388円の高値をつけた時は「まだまだ上がるだろう!」と思っていた人も多いと思いますが、残念ながら米国の株式市場が調整局面を迎えたことで値下がりし、3月9日の2万4681円まで下落していきます。4700円ほど下げてようやく下げ止まったわけですが、この時、ここからどこまで戻せるのだろうと多くの人が考えたことでしょう。

 ここで先ほどご紹介したリトレースメントの代表的な数字である61.8%や38.2%、半値=50%、3分の1、3分の2などを使います。細かい数字は他にもありますが、方向性とだいたいの目標株価がわかれば売り時や買い時はわかりますので、初めは代表的なものが使えれば十分です。より細かな計算がしたい人はさらに研究してみてください。

 最初に使う数字は「50%」です。というのも、「半値戻しは全値戻し」という格言もありますので、まずは50%を基準に考えてください。1月5日から3月9日までの下げ幅を算出して、これに戻りの目安となる比率「50%」をかけます。反発の勢いが弱いときは38.2%、3分の1なども使いますが、トレンドの強弱の判断には50%を用います。

・下げ幅=2万9388円-2万4681円=4707円
・戻り幅の目安(50%)=4707×50%=2353円(小数点以下は切り捨て)

 50%戻しの株価の幅は2353円となりました。「どこまで戻る=上昇するのか」を考えるのですから、3月9日安値の2万4681円にこの値を足して半値戻しの値を算出します。

・半値戻し=2万4681円+2353円=2万7034円

 半値戻しの水準が2万7034円であることがわかりました。しかし、株価は3月安値からわずか2週間ほどで、3月25日高値の2万8338円まで上昇していきます。いきなり半値戻しを超えて株価が上昇したことになります。

 先ほど「半値戻しは全値戻し」と書きました。リトレースメントの目安である半値戻しを達成したその時点で、次なるポイントは全値戻しの2万9388円、その手前の61.8%戻しである2万7589円、3分の2戻しの2万7819円あたりが目標株価として考えられることになります。つまり、リトレースメントで半値戻しを達成した時点で、株価の方向性としては上昇力が強いと判断します。

 株価の方向性が上昇であれば、ここからとるべき戦略は順張りになります。つまり、「下がったら押し目を買う」で対応します。6月20日に2万5520円まで下落して5月の安値を割り込んだ時は、下げ止まれるのかは気になるところではありましたが、その後は8月17日に2万9222円まで上昇し、1月5日高値にあと166円まで迫っています。
 
 さて、ここからですが……。2022年1月高値から3月安値の下げ幅に対する全値戻しは8月17日の高値でほぼ達成してしまった感はあります。さらにその後、11月24日高値は2万8502円、2023年2月6日高値は2万7821円と、8月17日以降は上値を切り下げる展開となっています。救いといえば、2022年6月20日安値の2万5520円、10月3日安値の2万5621円、2023年1月4日安値の2万5661円と、なんとか下値を切り下げずにいることです。

 では、2022年8月17日高値の2万9222円から10月3日安値の2万5621円までの下げに対する戻りのメドをみてみましょう。

・下げ幅=2万9222円-2万5621円=3601円
・戻り幅の目安(50%)=3601×50%=1800円(小数点以下は切り捨て)
・半値戻し=2万5621円+1800円=2万7421円

 この半値戻しの水準はすでに達成していますので、全値を戻す可能性もあるということになります。ただ、2022年8月以降のチャートの形状は、先ほど見たように上値を切り下げる一方で、下値を僅かながら切り上げる三角保ち合いであり、内外の経済状況や金融政策、為替動向などによってどちらかに勢いづく可能性がありそうです。

 今回は、日経平均株価の2022年の動きから、足もとの戻りを計算してみました。もちろん、「押し目=調整」の目安を計算することもできます。次回は、今回とは反対にどこまで下がるのかを考える場合について解説したいと思います。

 株を売買する時に、株価の方向性はもちろん動いた場合の目安をまったく考えることがなければ、株価の動きに一喜一憂してしまうことが多くなってしまうでしょう。そうした状況を少しでも減らすために、ぜひリトレースメントを活用して、目標株価や方向性を最低限考えるようにしておきたいものですね。

 


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