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【特集】プラチナはレンジ上放れ、米利上げペース減速観測・中国経済の再開期待で <コモディティ特集>

MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行
 プラチナ(白金)の現物相場は、米連邦準備理事会(FRB)の利上げペース減速見通しや中国経済の再開期待を受けて堅調となり、昨年3月以来の高値1101ドル台をつけた。昨年11月から971~1058ドルのレンジ相場となったが、ドル安などを受けてレンジを上放れ、テクニカル面で改善した。当面は各国の中央銀行の利上げが続く見通しであり、景気後退懸念が上値を抑える要因だが、供給不足が見込まれていることや中国経済の再開期待が支援要因である。

 ただ、12月の米雇用統計では賃金の伸びが鈍化しており、米FRBの利上げ打ち止めが視野に入っている。CMEのフェドウォッチで、ターミナルレート(政策金利の最終到達点)は3月に4.75~5.00%となり、11月まで維持することが織り込まれた。当面は12月の米消費者物価指数(CPI)でインフレの伸びが鈍化することが見込まれており、ドル安でプラチナは上値を伸ばすとみられる。

 また、中国では21日からの春節を控え、出稼ぎ労働者などの帰省が本格化している。21億人近くが移動するとみられており、中国経済の活性化につながるかどうかを確認したい。中国では上海プラチナの出来高が急増する場面も見られ、プラチナの輸入が増加している。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大に対する懸念も残っており、感染状況も確認したい。

●プラチナは景気見通しと中国勢の買いが続くかどうかを確認

 12月の米ISM非製造業総合指数(NMI)が49.6と2020年5月以来、節目となる50を割り込んだ。景気後退懸念が残ることはプラチナの上値を抑える要因である。また、ユーロ圏の高インフレで実質賃金が低下することも見込まれており、自動車販売が伸び悩むと高値での買いが見送られる可能性がある。

 ただ、ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)は供給の伸びが需要増加を下回り、需給が引き締まると予想している。中国の新型コロナ感染拡大が一服すれば、買い意欲がさらに強まる可能性も出てくる。中国の上海プラチナの出来高は一時1000枚を超える場面も見られており、輸入増加が続くかどうかを確認したい。

●プラチナは投資資金流入と大口投機家の買い越し拡大が支援

 プラチナETF(上場投信)残高は1月9日の米国で32.93トン(11月末32.68トン)、5日の英国で14.01トン(同13.93トン)、6日の南アフリカで9.62トン(同9.69トン)となった。合計で0.26トン増加し、投資資金が流入した。レンジを上放れ、テクニカル面で改善したが、景気後退懸念が残っており、高値での買いが続くかどうかを確認したい。

 一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、1月3日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは3万0503枚(前週2万4666枚)に拡大し、2021年4月以来の高水準となった。FRBの利上げペース減速見通しや中国経済の再開期待、テクニカル面での改善を受けて大口投機家の買い意欲が強い。

(MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行)

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