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【特集】「1月効果」の好発進はあるか、23年米株式相場“反騰”への勘所を探る <株探トップ特集>

米国企業の決算発表が今週から本格化する。業績の悪化も警戒されるなか、市場には中国関連銘柄やディフェンシブ銘柄などの決算発表に期待する声も出ている。

―米金融政策に依然として強弱観が対立、決算内容が相場を左右する展開に―

 2022年の米株式市場は、インフレ懸念が台頭するなか下落を余儀なくされた。特に、米長期金利の上昇を背景にハイテク株などが大幅安となった。新年もインフレ懸念が残るうえに、景気後退への警戒感も強い。ただ、その一方で年後半に向けての利下げ期待も根強く、市場には「23年の米株式相場は反発に転じる」との観測も出ている。そんななか、新春相場の重要なポイントとなる米主要企業の決算発表が今週から本格化する。今年の米株式相場をみるうえでの勘所を探った。

●米12月雇用統計では賃金インフレ懸念が後退

 米国をはじめとする世界の金融市場の今年の重要ポイントは、依然としてインフレ懸念が沈静化するかだ。特に、人手不足を背景にした賃金インフレに対する警戒が強まっているが、先週末6日に発表された米12月雇用統計は平均時給が、前月比0.3%上昇と市場予想(同0.4%上昇)を下回った。これを受け、米連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締め懸念が後退。同日のNYダウは前の日に比べ700ドル高と急伸した。

 米12月ISM非製造業景況感指数も予想を下回ったこともあり、1月31日~2月1日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ幅は0.25%にとどまるとの観測が浮上した。週明け9日のNYダウは112ドル安だったが、新年相場の好発進に向けた期待は強まっている。

●市場には「1月は株高」のアノマリーも

 今晩のパウエルFRB議長の発言や12日に予定されている米12月消費者物価指数(CPI)の結果に左右されるが、市場には「米政策金利は年央に5%台まで引き上げられた後、年後半には利下げに転じる」(市場関係者)との観測は根強い。FRBによる強烈な利上げもあり、昨年1年間でNYダウは9%弱の下落、ナスダック指数は33%もの大幅安を記録した。それだけに、23年は反騰に向けた期待が強い。

 特に、市場では相場のアノマリー(経験則)で「1月効果」とも呼ばれる現象が知られている。1月のリターン(収益率)が他の月よりも高くなりやすいことを指し、特に中小型株にその傾向があるとも言われる。年初は機関投資家の新規資金が入るためとも推測されているが、1月相場が好発進すれば23年の反騰期待も強まる。

●スタグフレーションへの警戒感は昨年以上に強い

 ただ、新年相場の好スタートに向けた期待が高まる一方で、市場には慎重な意見も少なくない。「FRBはインフレ期待を完全に封殺したがっている。この状況では、年内は簡単には利下げには転じないだろう」(アナリスト)という。FRB高官からはタカ派発言が続くが、これを単なるポーズだと見誤ると手痛いしっぺ返しを受ける可能性もある、との声もある。

 特に、足もとでは景気後退リスクが高まっている。もし米物価上昇が続くなかでの景気後退に突入すると、警戒されていたスタグフレーション(物価高と不況の同時進行)局面を迎えることになる。昨年は急激なドル高が米国の物価上昇をある程度押しとどめていたが、今年はその効果も薄れるなか原油などエネルギー価格にも左右されるもののスタグフレーションに突入する懸念は、昨年以上に強まっている。

●中国関連やディフェンシブ株への期待感も

 市場に強弱観が対立するなか、今週末からは米国企業の決算発表が本格化する。12日の台湾積体電路製造(TSMC)<TSM>に続き、13日のJPモルガン<JPM>やバンカメ<BAC>といった米金融機関の決算発表から本格シーズンに突入する。

 22年第4四半期は米主要500社の利益が前年同期比マイナスに転じたとの見方もあり警戒感も強い。特に、主力のハイテク株などでは、19日のネットフリックス<NFLX>を皮切りに25日のテスラ<TSLA>や2月1日のメタ・プラットフォームズ<META>、2日のアップル<AAPL>などの決算が注目される。アップルは一部機種の減産が報じられるなか、その業績動向が注目されている。

 一方、今後の業績回復期待が強いのがゼロコロナ政策の撤廃に伴う中国関連銘柄だ。中国絡みの業績が本格的に回復するのは今年に入ってからだとみられるが、今後に向けた会社側のコメントなどが注目される。中国絡みでは、25日のボーイング<BA>や31日のキャタピラー<CAT>などが関心を集めている。更に、景気後退懸念が強まるなか ディフェンシブ株への関心が高まっており、19日のプロクター・アンド・ギャンブル<PG>や医薬バイオ関連で31日のファイザー<PFE>、2月2日のメルク<MRK>の決算なども関心を集めそうだ。

■主な米国企業の決算スケジュール

1月12日 台湾積体電路製造(TSMC)ADR
 13日 JPモルガン、バンカメ、シティグループ
 17日 モルガン・スタンレー
 19日 プロクター・アンド・ギャンブル、ネットフリックス
 24日 テキサス・インスツルメンツ、ベライゾン・コミュニケーションズ
 25日 テスラ、IBM、ボーイング、ASMLホールディングADR
 26日 インテル、KLA
 27日 アメックス、シェブロン
 31日 キャタピラー、エクソン・モービル、マクドナルド、ファイザー
2月1日 メタ・プラットフォームズ
  2日 アップル、スターバックス、メルク
 16日 アプライド・マテリアルズ
 22日 エヌビディア
(注)予定は変更されることがあります。ADRは米預託証券。

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