市場ニュース

戻る
 

【市況】【植木靖男の相場展望】 ─新春高を逃すな!!

株式評論家 植木靖男

「新春高を逃すな!!」

●為替と株式需給の好転が株価上昇の条件に

 日経平均株価は期待された年末の“掉尾の一振”が不発に終わり、大発会も空振りと、見事なまでの完敗となった。

 一方、市場関係者が注目していたのが、大発会を含む新春3営業日の株価だった。この3日間が3連騰、もしくは2勝1敗なら、その年は大発会より大納会が高くなる、つまり年足が陽線で終わるというジンクスである。結果は2勝1敗。期待したいところだが、実際はおみくじで吉が出るようなものであり、あまり当てにはならない。ただ、それほど目下、ジンクスにすらすがりたくなるような状況ということなのだろう。

 こうした株式市場の惨状を簡単に説明するとすれば、1つの要因は為替、もう1つは需給となるか。

 まず為替。円安転換で株価は上昇したが、円安が1ドル=151円台でピークとなったのは昨年10月21日。そのあと日経平均株価がピークを付けたのは11月24日だ。これをみても円安の株価への影響が大きいことは明らかだ。逆に言えば、再び円高から円安に転じれば株価は反発するとみてよい。1月6日は133円処と円安気味となっている。連休明けの10日に僅かでも円が続落すれば円安転換も期待されるのだが……。

 ところで、日銀は昨年12月の金融政策決定会合で、長期金利の上限を0.25%から0.5%に引き上げた。結果として長期金利は上昇し、為替相場は円高に5~6円も一気に動いた。黒田日銀総裁は円安が日本経済にプラスと繰り返していたはず。なのに、なぜ大規模緩和を修正したのか。

 日銀の22年4-9月期保有国債は9000億円弱の含み損となった。今後さらに金利が上昇すれば含み損は拡大する。日銀は1%上昇すれば含み損は28.6兆円になるとしている。1月6日付の日本経済新聞は第1面で「日銀がいずれ金利を抑えきれなくなるとみる市場参加者が増え、長期金利の上昇圧力が強まっている」と報じている。海外筋の国債売りは一段と強まりそうだ。つれて再び円安に転じることになろう。つまり、株価は上昇に転じる。

 2つめの要因は株式需給だ。昨年10月から12月にかけて海外筋の買いなどで日経平均株価は3000円近く上昇した。しかし、米国株の下落で売る必要に迫られたのか、逆に海外筋が売り始めたのだ。やはり、海外投資家が買わないと日本株は上昇しないのだ。彼らの動向に注目したい。

●指数に先駆けて上昇した主力株に注目

 日本株の今後だが、昨年末に多くのメディアは市場関係者の新年の見通しを報じている。大半は年前半安、後半高との見立てだ。理屈でいえばそう答えざるを得ない。

 しかし、市場には昔から“理外の理”という言葉がある。確かに理屈通りなら年前半安だが、かつて理外の理の展開をみせた年も少なくなく、今年もひょっとしてその再現となるか。

 目先でみると再び円安に戻るとすれば、まずは2万6100円処の突破が肝要となる。また、そこに至るプロセスがどうなるかで、その後の展開が明らかになる。

 さらに付け加えれば、新年は五黄の寅年の翌年の「卯年」だ。過去のケースではすべて年足は陽線となっていることにも留意したい。

 当面の物色対象を考えたい。株価が近々反発に転じるとすれば、経験則では日経平均株価が明らかに底入れする前に牽引役は先んじて底入れしていることが多い。その意味で、業種というよりも個別銘柄で先発隊となる主力株を探したい。

 まずはソニーグループ <6758> [東証P]だ。9日間の底値固めを経て、早くも日経平均株価に先駆けて出発している。連休明けが高ければリード役として申し分なかろう。ただし、昨年に付けた高値1万5725円はかなりハードルが高そうだ。ともあれ連休明けが焦点となる。

 次いで三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]に注目したい。金利上昇が収益改善の材料とされているが、昨年3月の高値828円を一気に抜いてきたことを考慮すると、好材料はそれだけではなさそうだ。目前に迫った15年の高値936円を抜くとすれば、そう考えざるを得ない。

 このほか日本ペイントホールディングス <4612> [東証P]、マイクロ波化学 <9227> [東証G]、さらに日本板硝子 <5202> [東証P]などは磨けばひょっとして出世株になる可能性があろう。

2023年1月6日 記

株探ニュース

株探からのお知らせ

    日経平均