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【市況】【杉村富生の短期相場観測】 ─波乱の幕開けだが、ここに勝機あり!

経済評論家 杉村富生

「波乱の幕開けだが、ここに勝機あり!」

●日経レバ(ETF)の買い下がり作戦を!

 2023年相場は波乱の幕開けとなっている。大発会の日経平均株価は377円安の2万5716円(ザラバ安値は2万5661円)だった。ただ、救いなのは昨年(1月5日に2万9332円の高値)と違って、今年は安値圏でのスタートであること。すなわち、身をかがめた状態である。この水準は仕掛けの好機だろう。

 ちなみに、昨年の安値は3月9日の2万4681円、6月20日の2万5520円、10月3日の2万5621円(ともにザラバベース)である。この局面ではETFのNEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信 <1570> [東証E]の買い下がり作戦が有効だった。今回もそうなると思う。

 下値は知れている。日経平均株価のPER12.0倍、PBR1.09倍の水準が一段安になるとは考えにくい。FRB(米連邦準備制度理事会)の金融引き締めは先が見えてきた。米CPI(消費者物価指数)上昇率は昨年6月の9.1%(11月は7.1%)がピークだろう。これを反映して、10年物国債利回りは昨年10月4.246%→現在3.717%と低下している。

 アメリカのインフレはエネルギー(特にガソリン)価格の高騰、サプライチェーン(供給網)の混乱、住宅(家賃)の値上がり、賃金の上昇が主因だったが、現状は賃金を除いてほぼ解消された。賃金は労働参加率の増加(奨学資金の返済猶予令の期限切れ、移民の急増→2021年は38万人、22年は101万人)とともに、ピークアウトする。

 一方、世界景気は低空飛行にとどまるものの、先進国の中では2023年の経済成長率は日本が1.6%、アメリカが1.0%、ユーロが0.5%(国際通貨基金・IMF予想)と日本優勢である。これが国際マネーのポートフォリオ(資金配分)の再構築につながるだろう。すなわち、大幅売り越しの外国人の買いが一転して期待できる。

●日本食品化工、ジャパニアスなどに妙味!

 さらに、日本の場合、低いインフレ率、金利水準、景気の底堅さ、好調な企業収益、株価(指標)面での出遅れ……などが株式市場を支える。加えて、個人金融資産の5割強を占める現・預金が「投資の時代」のかけ声とともに、動き出すだろう。筆者はかねて、老後の備えに「自分年金の構築を」と主張している。「思い立ったが吉日」ではないか。

 日本食品化工 <2892> [東証S]は三菱商事 <8058> [東証P]系のコーンスターチのトップ企業である。三菱商事が発行済み株式数の45.9%を保有している。業績は好調だ。2023年3月期の1株利益は508.3円(前期は278.6円)と予想されている。配当は180円(同100円)とする。中間配当はない。期末一括配当だ。これは魅力的である。

 株価は2840円絡み。この水準のPERは5.6倍、PBRは0.61倍にすぎない。配当利回りは6.3%になる。日銀は金融政策の転換(事実上の利上げ)を進めているが、長期債の利回りは上限0.5%だ。超低金利状態であることに変わりはない。例年、3月決算期末に向けて配当取りの動きが強まる。すなわち、キャピタルゲインが狙える。

 このほか、成長株セクターでは先端エンジニアリング(技術者派遣)のジャパニアス <9558> [東証G]、木材チップ(バイオマス発電原料)のフルハシEPO <9221> [東証S]、電波の送受信に不可欠な水晶部品を手掛ける日本電波工業 <6779> [東証P]、クラウド(金融機関向け)に強いFIXER <5129> [東証G]などに妙味があろう。

 フルハシEPOは「遅咲きの花」である。設立は1948年2月(昭和23年)、団塊の世代だ。上場したのは2022年4月、上場までに74年を要している。なぜ、こんなに時間がかかったのか。それは廃材リサイクルの業態が受け入れられなかったためだ。しかし、時代は変わった。いま、強烈な追い風が吹き始めている。

2023年1月6日 記

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