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【特集】田部井美彦氏【年末年始の東京市場、投資の勘所を探る】(2) <相場観特集>

田部井美彦氏(内藤証券 投資調査部 リサーチ・ヘッド&チーフ・ストラテジスト)

―日経平均2万6000円台前半で錯綜する強弱観の先―

 週明け26日の東京株式市場は日経平均株価が反発に転じたものの、上値も重く2万6000円台前半でのもみ合いに終始した。前週末の米国株市場が強い動きを示したことで投資家の過度な不安心理は後退しているものの、上値追いには依然として懐疑的なムードも漂う。視界不明瞭な年末年始相場とどう向き合えばよいのか。第一線で活躍する市場関係者2人に見通しを聞いた。

●「新年は年央安・年末高も、当面はディフェンシブ株など妙味」

田部井美彦氏(内藤証券 投資調査部 リサーチ・ヘッド&チーフ・ストラテジスト)

 米連邦準備制度理事会(FRB)は年前半に2回程度の利上げを行うとみている。ただ、その後、米政策金利は高水準で横ばいが見込まれる。金利引き上げによる影響が注視されるが、5月頃に米国の景気も株価もボトムをつけるのではないか。これは日本も同様だろう。その後、米景況感の悪化とともに利下げ期待が膨らみ、相場も回復するとみている。

 2023年の日経平均株価は、1~3月頃は上値2万8500円、下値は2万6000円前後。4~6月頃には2万4000円台まで調整する可能性があるとみている。ただ来年12月頃には3万円を試す展開も予想される。

 目先的には、今後1ヵ月程度の相場は2万6000円前後の当面の相場の往来圏の下限を中心とした値動きが予想される。

 日銀の金融政策の修正に関しては、金利の正常化に向けて半歩ぐらい前進したとみている。相場にとっては、決してマイナス材料ではないだろう。外需中心の企業には業績面のマイナス面もあるが、多くの中小企業にとっては輸入などの面で円高はプラスの面もある。外国人投資家にとっても、投資した国の通貨が上がることは良いことだろう。

 こうしたなか、当面の相場は医薬品や通信といったディフェンシブ株の堅調な値動きが予想される。第一三共 <4568> [東証P]や花王 <4452> [東証P]、日本電信電話 <9432> [東証P]などに妙味があるだろう。三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]など銀行株、それに地銀株なども注目できる。また、長期的には半導体やIT、あるいは医療・バイオなどを自国もしくは友好国のなかで調達できるようにするサプライチェーンの再構築に絡む銘柄が注目できるとみている。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(たべい・よしひこ)
内藤証券リサーチ・ヘッド&チーフ・ストラテジスト。株式市況全般、経済マクロの調査・分析だけでなく、自動車、商社、アミューズメント、機械などの業種を担当するリサーチアナリストとして活動。年間200社程度の企業への訪問、電話取材、事業説明会への参加などを通して「足で稼ぐ調査・情報の収集」に軸足を置いている。


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