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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「キャッシュを枕に越年」

株式評論家 富田隆弥

◆2022年が間もなく終わる。今年の株式市場は上げ下げを幾度か繰り返したが、どうやら1月高値を更新できぬまま「発会天井」で終わりそうだ。最後の週ぐらいはせめて「掉尾の一振」(とうびのいっしん)に期待したいところだが、師走に突如打ち出された岸田政権の「増税」と黒田日銀の「実質利上げ」によって投資家は意気消沈、その期待もトーンダウンが否めない。

◆本稿執筆の22日時点の日経平均株価は2万6507円。21日には一時2万6269円まで急落した。チャートは200日移動平均線(22日時点2万7245円)や週足の52週移動平均線(同2万7317円)を大きく割り込み、調整入りを鮮明にした。

◆11月24日の高値2万8502円から4週を経過したが、週足の順位相関指数(RCI)はまだ調整半ば(9週線-6.6、13週線44.5、26週線0.5)で、この先10月安値の2万5621円や3月安値の2万4681円を模索してもおかしくない状況だ。

◆そして、気掛かりなのはサブプライム・ショックが発生した2007年12月当時とチャートの形状が似てきたこと。これまで指摘してきた「12月下落のアノマリー(経験則)」は2007年だけでなく、2018年や2015年、古くは1996年にも見られた。師走やクリスマスを迎えて市場ムードは高揚するが、それまで高値圏で頑張ってきた相場がそこで陰転。投資家はハシゴを外されて「売り急ぎ」となり、需給悪の展開に陥るというパターンだ。

◆信用取引の買い残高(2市場、16日申し込み時点)を見ると、3兆3354億円と前週から1465億円増加し、3月4日(3兆3522億円)以来の高水準になった。16日に日経平均株価が500円超下げたところで個人投資家は「押し目買い」に動いた。これまでうまく立ち回ってきた個人投資家だが、20日の日銀ショック(669円安)は想定外だったに違いない。これで信用買い残の多くが評価損を抱えることになる。

◆年末は個人投資家の節税対策売り(損失確定売り)が出やすく、今年の12月は新規上場も25社と多い。そこに信用買い残の見切り売りが重なる。相場の最大の材料は「需給」であり、チャートの調整入り(陰転)は無視できない。チャンスを待つのも相場である。今年は「現金(キャッシュ)を枕に越年」、穏やかに年を越したい。

本記事が年内最後の「CHART CLUB」となります。皆さま、よい年をお迎えください。 【富田隆弥】

(12月22日 記、次回更新は2023年1月2日9時を予定)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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