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【特集】横山利香「令和時代の稼ぎたい人の超実践! 株式投資術」― (31)最大の投資主体である外国人投資家と市場の動向を分析しよう!

横山利香(ファイナンシャルプランナー、テクニカルアナリスト)

◆外国人投資家が重視するドル建て日経平均株価

 ドル建ての日経平均株価では、為替が円安に振れると株価が下落する一方で、円高に振れると株価は上昇します。例えば、日経平均株価が2万5000円、その時のドル円が1ドル=100円だった場合、ドル建ての日経平均株価は250ドル(2万5000÷100)となります。これが1ドル=90円と円高に振れると、ドル建て日経平均株価は277.7ドル。逆に1ドル=110円と円安に振れるとドル建て日経平均株価は227.2ドル。このように円建てで2万5000円の株価は、ドル建てでは為替レートの動きにより価格が変動します。つまり、外国人投資家の視点で日経平均株価を見ると、円安になれば株価が下落するので外国人投資家は売り越しに傾きやすく、反対に円高になれば、株価が上昇するので外国人投資家は買い越しに傾きやすくなります。

 ドル建ての日経平均株価は、2022年に入ってから円安が大きく進行したため、安値を切り下げる動きを余儀なくされました。円建ての日経平均株価が比較的に底堅く推移する一方で、ドル建ての日経平均株価は10月半ばには2020年3月のコロナショック時につけた安値に迫る水準まで下落しました。しかし、足もとで1ドル=151円から130円台まで円高が進行したおかげで、ドル建ての日経平均株価も切り返す状況となっています。 

 もう一つ、外国人投資家の動向を分析する上で外すことができないのが、東京証券取引所が通常、毎週木曜日に発表している「投資部門別売買状況」です。これを見ると、2022年に入ってから円安が進行している間は、外国人投資家は傾向として売り越し基調であったことがわかります。

 月別に外国人の売買状況(現物、二市場1・2部合計)を追っていくと、2022年1月-2794億円、2月-4499億円、3月-1兆2628億円、4月+1兆1615億円、5月-3051億円、6月-1兆1961億円、7月+1701億円、8月-5300億円、9月-8284億円、10月+1464億円、11月+1兆2873億円と、2カ月連続で買い越しが見られたのは10月、11月のみです。ドル建ての日経平均株価が下落するので、どうしても売らざるを得ないという状況なのでしょう。反対に、ドル円が円高に動き始めた秋以降、ドル建ての日経平均株価も底打ちから上昇に転じてきているため、買い越し基調に転換していることがわかります。つまり、ドル建ての日経平均株価の動きが外国人投資家の売買動向に大きな影響を及ぼしているのです。

 ただし、ドル建ての日経平均株価はドル円の動きによって変動しますが、たとえ円安であっても、円建ての日経平均株価の上昇幅によっては為替の影響を吸収してドル建ての日経平均株価も上昇します。反対に円高であっても、円建ての日経平均株価の下落幅によってはドル建ての日経平均株価も下落してしまいます。通常、大きな方向性は変わらないけれども、プラスアルファの振れ幅を大きく(小さく)させているのがドル円ということになります。

 日本の株式市場で売買代金の6割以上を占めるのが外国人投資家であり、その影響力が大きいことは言うまでもありません。私たちは円建ての日経平均株価を基準にして普段取引を行っていますが、外国人投資家が重視するドル建ての日経平均株価の動向を日頃から意識しながら、株式市場の方向性を分析していきたいですね。

 


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