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【経済】【クラウドファンディング】省電力&超高速の通信インフラを実装へ! エピフォトニクス、12月6日募集開始

 独自の情報通信技術で通信インフラの課題解決に取り組むエピフォトニクス株式会社(神奈川県大和市)が、株式投資型クラウドファンディング(新株予約権型)による出資を募集します。申し込みは12月6日19時30分開始を予定しています。

・ 新株予約権型
・ 目標募集額:1296万円、上限募集額:5184万円
・ 類似上場企業:アプリックス、エコモット、網屋、トラース・オン・プロダクト、エブレン、ナカヨ、オキサイド


通信インフラの課題を解決

 エピフォトニクスは2007年設立。総務省やNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託事業を通して、独自技術「PLZT光回路技術」を活用した情報通信技術の発展に取り組んできた企業です。

 同社によると、現代は世界中の多くの場所で通信が利用され、通信速度も年々、速まっている一方で、インターネットのデータ通信容量も急速に増加。2025年に全世界で発生するデータ総量は2016年比約10倍の約163ゼッタバイト(163兆ギガバイト)とされています。

 情報通信量の爆発的な増大で、莫大な電力量が必要になり、世界的に危機感を持たれているため、従来の快適なインターネット環境を維持しながら、消費電力を低減でき、さらに低遅延化を図ることができる技術革新が急務だといいます。

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(出典:FUNDINNO)

 同社のコア技術「PLZT光回路技術」は光通信のノード(ネットワークの接点)部を構成する「PLZT光スイッチ」と呼ばれる重要部品技術の一つで、ナノ秒台(10億分の1秒)での高速応答が可能な上、従来の1000分の1程度の消費電力を実現。さらに近年、光量子コンピューターのQbit(量子ビット:量子情報の最小単位)制御用として注目されているそうです。

 同社は、この技術の実用化、事業化に成功し、創業前の時代も含めて、約50件の特許発明に関わってきた実績や知見、ノウハウなどを蓄積、現在は次のフェーズに向かうため、4件(出願中含む)の特許とノウハウを活用することで、「競合優位性も非常に高い」としています。

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(出典:FUNDINNO)

 そのほか、光ネットワークの中核となるキーデバイスである「波長スイッチ」や「PLZT光変調器」も、NEDO、総務省直轄のプロジェクトを通して開発しています。

 同社は今後数年間で、これらの国家プロジェクトをベースに、さらにコア技術を発展させ、量産化を視野に、一気に市場シェア拡大を目指したい考えです。

 「PLZT光スイッチ」は大手電機メーカーや国内大学との取引、また、グローバルな取引実績もあり、市場導入が進行中。「波長スイッチ」については、サンプル製品の出荷が今年春よりスタートし、2023年以降に製品版の出荷を目指しています。

 同社は「現代の情報通信を支える企業として、日本発のコアテクノロジーをグローバルに展開し、日本のIT分野における世界的地位奪還に貢献したい」としています。



鍵は「光分岐の高効率化」

 インターネット回線の多くに使用される光回線に欠かせない「光ファイバー」。同社によると、インターネットを通じて情報を取得・閲覧する際には、光ファイバーを通して情報が送られ、まず、情報源のデータを電気信号から光信号に変換後、光ファイバーへとデータが流れます。

 その後、「光スイッチ」「光スプリッタ」と呼ばれる光分岐装置(ノード)を介して、あらゆる場所へデータが転送され、これが自宅のONU(Optical Network Unit:光回線端末装置)などに届き、そこで再び、光信号から電気信号へと変換され、ビデオ通話や動画視聴などができます。

 この中で、同社は「光分岐」に着目しました。従来の光スイッチは幹線回線のトラフィックに応じた経路変更や障害時の迂回には有効である一方、切り替え速度が100ミリ秒程度のため、遅延が許されない高精細ビデオや自動運転、高速トレーディングなどへの応用には不向きだといいます。また、光スプリッタでは光を分岐するため、分岐数が増えるほど光強度が減衰し、1台の光スプリッタで分岐できる本数や送信できる容量には制限があるそうです。

 また昨今、通信インフラの整備の拡大に伴い、利用者も拡大し続けていることから、通信量(トラフィック)も拡大し、それに伴う膨大な消費電力の拡大も危惧されているため、従来の快適なインターネット環境を維持しながら、消費電力を低減できる技術革新が急務だといいます。

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(出典:FUNDINNO)

 同社は、光分岐の高効率化こそが、情報通信技術における大容量化と省エネルギー化の鍵であると考えています。

低遅延な光分岐と省電力化を実現

 同社によると、「PLZT光回路技術」の大きな特徴は以下の2つです。

 まず、「PLZT」という、屈折率を瞬時に大きく変えられる材料の原料を液体化し、薄い膜にして基板の表面に成膜し、光回路化することに成功。光ファイバー伝送はできる限り、光信号から電気信号への変換を減らすことが消費電力化と低遅延化にとって大変重要だといい、「PLZT」では、低い電圧でナノ秒台の高速スイッチングを実現できるため、低遅延な光分岐とその省電力化を同時に実現できるそうです。

 次に、光回路への「埋込型」光配線を実現したことも特徴だといいます。光はさまざまな物質によって散乱されたり、吸収されたりするため、光が減衰するのを防ぐ技術が必要ですが、同社は光回路の構造(導波路)自体を見直し、低損失かつ超高速で低電圧の「光スイッチ」を開発することに成功しています。

 今後、この技術を活用した光分岐が導入されれば、消費電力を低減し、より効率的に広範囲へ信号を分岐できるようになるといいます。同社は「今後、情報通信のニーズが一層拡大することが想定されるため、最大の課題である光通信における省エネルギー化は地球環境保全にもつながっていく」と見ています。

 また、同社は「PLZT光回路技術」を用いた「PLZT光スイッチ」以外にも、総務省プロジェクトで一部製品化をした「波長スイッチ(WSS)」や、現在、製品化を目指している「PLZT光変調器」も、通信の超高速化・省電力を実現する上で重要な技術・製品になるとしています。

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(出典:FUNDINNO)

 光ネットワークでは、1本の光ファイバーケーブルに複数の異なる波長の光信号を同時に乗せることで、高速かつ大容量の情報通信を実現していますが、その際、複数の波長の中から特定の波長を任意のポートへ動的に切り替える機能が必須で、この波長選択機能を1つのデバイスで実現したのが「波長スイッチ(WSS:Wavelength Selective Switch)」だといいます。

 同社の「波長スイッチ」はLCOS(Liquid Crystal on Silicon)という技術を用いて、ポート再構成が可能、かつ非常に低い消費電力化を実現。具体的には1×9ポートをベースとし、入出力ポートをソフトウェアでフレキシブルに5×5ポートなどへ再構成できます。この仕組みにより、新たな光スイッチを追加せずに、柔軟なネットワーク構成の変更が実現できるそうです。また、スイッチ部に係る消費電力は従来比1/2以下だといいます。

 「PLZT光変調器」は高速に光信号と光信号をつなぐデバイスである「光変調器」をさらに高耐圧化したものです。現状の光変調器は、入力光強度の限界が高くないという課題があり、光スプリッターの分岐数を増やすには限界があったといいますが、同社の「PLZT光変調器」は、これらの課題を「PLZT光回路技術」を用いて解決し、従来の光変調器と比べて、圧倒的な高耐圧性を実現していくことを目指しています。

 「『PLZT光スイッチ』『波長スイッチ』『PLZT光変調器』は光ネットワーク、および光量子コンピューターの中核となるキーデバイスです。これらを用いて、光通信の仕組みを構築していくことで、現代の通信技術をより飛躍させることができると考えています」(同社)

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(出典:FUNDINNO)

市場規模は約6兆円と試算

 同社は今後数年間について、これまで同様、総務省直轄やNEDOの国家プロジェクトの受託を通して独自技術を磨き、未来の光技術に実用化できるよう取り組んでいきたい考えです。

 開発が進んでいる「波長スイッチ」は2022年にサンプル出荷を開始、「PLZT光変調器」については2024年のサンプル出荷に向けて着手しており、これらの実用化を通して、第2、第3の事業軸として成長させていきたいとしています。

 同社は自社の技術の市場規模について、約6兆円と想定しています。今後も、情報技術へのニーズは高まり、さまざまなものがこれまで以上にネットワーク上でやり取りされる未来が予測される一方で、世界的なSDGs(Sustainable Development Goals)への関心の高まりと各国の取り組みから、革新的な技術と地球環境保護や省エネルギー化との両立がさらに求められると考えています。

 同社は自社の強みとして、ナノテクノロジーや光デバイステクノロジーに多くの知見を持つ業界のプロフェッショナルでありつつ、技術を搭載した製品の研究開発、設計や製造、さらに実用化までを一貫して社内で完結できるノウハウがあることとしています。

 また、同社は神奈川県のオフィスの他、米シリコンバレーにも研究・製造拠点があり、現在までに、日本、中国、台湾、韓国などのアジア諸国、北米(米国、カナダ)、英国、ドイツ、フランスといった欧州諸国など約12カ国の企業との取引実績があるほか、日本や海外の大手IT企業、有名大学とも取引実績があり、今後、グローバルに自社の技術や製品を拡大していくための基盤があると考えています。

今後の成長に向けて

(1)量産体制を整備し、成長フェーズへ

 同社は今後数年間を、これまで同様、コア技術の研究開発は進めつつ、2024~2025年の成長フェーズに向けた体制強化の期間に充てたい考えです。

 まず、成長フェーズに入る前に製品の量産体制を整備し、製品の開発プロセスの改善のほか、優秀なエンジニアやバックオフィスをサポートしてくれる人材の採用に注力、社内体制を強化したいとしています。

 また、世界に向けて、製品や技術をさらに拡大していく上で、ウェブ上での受注を増やす仕組みを整える予定です。具体的には、コーポレートサイトのUI/UXの改善、製品購入機能の追加を検討しています。

(2)ターゲット市場でシェア3分の1を

 同社は将来的に、自社のコア技術が応用できると考えられるターゲット市場で、約3分の1のシェアを獲得することを目標としています。

 「弊社の光技術をグローバルに展開していくことは、長期的に見ると、通信技術における最大の課題である省エネルギー化を実現でき、ひいては、未来の地球環境保護にも大いに貢献できると考えています」(同社)

(3)将来のEXITはバイアウトを想定

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(出典:FUNDINNO)

(4)2026年までに光スイッチ年間販売台数432台の販売を計画

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(出典:FUNDINNO)

類似上場企業(業態やサービス・製品などで類似性の見られる企業)

・アプリックス <3727> [東証G]
・エコモット <3987> [東証G]
・網屋 <4258> [東証G]
・トラース・オン・プロダクト <6696> [東証G]
・エブレン <6599> [東証S]
・ナカヨ <6715> [東証S]
・オキサイド <6521> [東証G]

発行者・募集情報

■募集新株予約権の発行者の商号及び住所、資本金等
エピフォトニクス株式会社
神奈川県大和市大和南二丁目1番16号KAWAZビル5階
資本金:135,789,000円(2022年11月21日現在)
発行済株式総数:8,560株(同)
発行可能株式総数:100,000株
設立日:2007年12月18日
決算日:3月31日

■本新株予約権の発行者の代表者
代表取締役 梨本恵一

■本新株予約権の数(以下の個数を上限とする)
5,184個

■本新株予約権の払込金額
1個あたり 10,000円

■投資金額のコース及び個数
90,000円コース(9個)
180,000円コース(18個)
270,000円コース(27個)
360,000円コース(36個)
450,000円コース(45個)
900,000円コース(90個)
1,800,000円コース(180個)
2,700,000円コース(270個)
3,600,000円コース(360個)
4,500,000円コース(450個)
9,000,000円コース(900個)
※特定投資家口座以外からの申し込みの場合、450,000円コース(45個)までしか申し込みできない。なお、特定投資家口座からの申し込みの場合、9,000,000円コース(900個)を上限とする。

■申込期間
2022年12月6日~12月12日

■目標募集額
12,960,000円(上限募集額 51,840,000円)
※特定投資家口座全体からの申し込みの上限は36,000,000円とする。

■払込期日
2023年1月6日

■資金使途
・目標募集額達成時の資金使途内訳
調達額1,296万円を以下の目的に充てる予定
エンジニア採用費 264万円
エンジニア人件費 746万円
手数料 285万円

・上限応募額達成時の資金使途内訳
上記に追加し、調達額3,888万円(目標募集額1,296万円と上限募集額5,184万円との差額)を以下の目的に充てる予定
エンジニア採用費 264万円
エンジニア人件費 1,372万円
製造設備費用 1,396万円
手数料 855万円

■連絡先
エピフォトニクス株式会社
電話番号:046-244-3192
メールアドレス:info@epiphotonics.com

※本株式投資型クラウドファンディングの詳細については、FUNDINNOの下記ページをご覧ください。

〈約12カ国の企業と取引実績あり〉数々の国家プロジェクトを通じて開発。世界を見据えたハイテク技術で通信インフラの革新に貢献する「エピフォトニクス」

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