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【特集】桂畑誠治氏【日経平均急反発、年末高のシナリオは実現するか】(2) <相場観特集>

桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)

―米中間選挙と米CPI発表を目前に揺れる投資家心理―

 週明け7日の東京株式市場は日経平均株価が大きく切り返し、2万7000円台半ばまで水準を戻した。前週末の米国株市場では雇用統計発表後にリスク選好の地合いとなり、NYダウは400ドルあまりの上昇をみせた。東京市場でもこの流れを引き継ぐ形となったが、この上昇トレンドは果たして続くのか。年末に向けた日米の株式市場の動向について、第一線で活躍する市場関係者2人に意見を聞いた。

●「日米ともに上値指向の展開を想定」

桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)

 日米株市場ともに目先リバウンドに転じているが、年末に向けて株価トレンドは上値を指向する公算が大きいとみている。あす行われる米中間選挙では、下院については共和党の勝利が濃厚で、上院は接戦とみられている。仮に上院を民主党が制すれば“ねじれ議会”となるが、共和党が上下両院を制した場合でも、バイデン米政権と議会はねじれた関係になることで、政策が通りにくくなる。ただし、財政支出を伴う経済政策が実現しにくくなることは物価が落ち着くひとつの要因ともなることから、株式市場にとってはポジティブに働くケースが考えられる。

 また、今週は10日に10月の米消費者物価指数(CPI)の発表が予定されている。コア指数で前年比6.5%上昇が事前のコンセンサスであり、9月から伸び率は低下する可能性が高いとはいえ高止まり感は拭えない。したがってCPI発表後、短期的には相場の下値リスクが意識される場面もありそうだが、仮にそうなった場合は買い場提供と考えておきたい。FRBの金融引き締めに対する過度な警戒感は徐々に後退していくとみている。

 米国株市場では12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)まではNYダウの強調展開が続くとみている。8月の戻り高値である3万4300ドル前後を目指す展開を想定する。一方、下値については深押ししても3万1000ドル近辺がメドとなろう。東京市場でも米株市場に追随して強い地合いが見込めるが、相対的にNYダウよりも日経平均の上値余地は大きそうだ。日経平均は8月中旬の戻り高値2万9200円どころが目標。また、短期的な調整局面に遭遇しても、下値は2万6500円どころがメドとみている。

 物色対象としては、ハイテク株は当面向かい風が強いだろう。小売りやホテル、あるいは陸運(鉄道)や空運といったインバウンド関連に優位性があると思われる。


(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(かつらはた・せいじ)
第一生命経済研究所 経済調査部・主任エコノミスト。担当は、米国経済・金融市場・海外経済総括。1992年、日本総合研究所入社。95年、日本経済研究センターに出向。99年、丸三証券入社。日本、米国、欧州、新興国の経済・金融市場などの分析を担当。2001年から現職。この間、欧州、新興国経済などの担当を兼務。

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