【市況】【杉村富生の短期相場観測】 ─テーマ性内包の逆行高、好業績銘柄を狙う!
経済評論家 杉村富生
「テーマ性内包の逆行高、好業績銘柄を狙う!」
●FRBに期待してはダメということ!
マーケットの期待は裏切られた、ということか。11月1~2日のFOMC(米連邦公開市場委員会)後のパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の会見は、利上げ停止について「時期尚早」と述べるなど、タカ派色の強いものだった。これを受け、2日のNYダウは505ドル(1.55%)安と急落した。しかし、これは予想の範囲内だろう。
特に、ナスダック指数の下げ(2日は3.36%安)がきつい。アマゾン・ドット・コム<AMZN>、マイクロソフト<MSFT>、アルファベット<GOOGL>など巨大IT企業の業績不振に加え、金融引き締め継続(金利上昇)が嫌気されていると思う。さらに、SOX(半導体株)指数は調整パターンを描いている。
NYダウは10月に、月間14.0%の上昇率を記録した。これは1976年1月(14.4 %)以来の高い上昇率だ。半面、NASDAQ指数は3.9%の上昇率にとどまっている。両市場の上昇率の差(10.5ポイント)はITバブル崩壊後の2002年2月以来の大きさである。
古来、株価は正直だ、という。NASDAQ市場の低迷はウォール街の楽観論とは裏腹に、FRBの金融政策の行方をしっかりと見据えていたのではないか。いずれにせよ、インフレ次第(10月の米消費者物価指数:CPIの上昇率は10日に発表予定)だが、利上げ、QT(量的金融引き締め)は粛々と進められることになろう。
なお、CMEのフェドウォッチでは12月14日のFOMCでの0.75%利上げ(アナリストの見方は0.5%)、来年2月1日の0.25%利上げ、3月22日の0.25%の利上げ(この時点でのFFレートの水準は5.00~5.25%)を織り込みつつある。利上げ幅はあと、1.25%となる。利下げのタイミングは2023年9月会合(20日)か。
●年初以来の投資戦術、基本方針は不変!
結局、世界の株式市場は各国中央銀行の金融政策に振り回される状況が続くだろう。欧米のCPI上昇率は8~11%だ。FRB、ECB(欧州中央銀行)の物価目標は2%であり、この物価水準はとうてい容認できない。もちろん、昨今のインフレ率の上昇は供給サイドに問題がある。需給抑制策には限界があろう。
ともあれ、この局面は年初以来、筆者が一貫し主張してきたように、ベアマーケットとの認識をベースに徹底して安いところ(時)を買う、ないしは銘柄勝負の投資戦術が有効だろう。すなわち、長期・逆張りと短期・順張りの併用作戦である。この方針は変わらない。いや、堅持すべきである。
具体的な狙い目としては逆行高の元気な銘柄(テーマ性を内包、好業績)がターゲットになる。ソシオネクスト <6526> [東証P]、大阪チタニウムテクノロジーズ <5726> [東証P]、M&A総合研究所 <9552> [東証G]、タカトリ <6338> [東証S]などがそうだ。相場格言は暴落日の赤札銘柄を狙え、という。
このほか、ヨウ素生産のK&Oエナジーグループ <1663> [東証P]、伊勢化学工業 <4107> [東証S]、好業績・大幅増配(15円→28円)の東邦チタニウム <5727> [東証P]、業容一変期待のマイクロ波化学 <9227> [東証G]、PER5.6倍と出遅れのテセック <6337> [東証S]などに注目できる。
さらに、11月30日に上場予定のeスポーツ関連のウェルプレイド・ライゼスト <9565> [東証G]の親会社であるカヤック <3904> [東証G]、業績が回復に転じ株価底入れ・反騰態勢の日本精機 <7287> [東証S]、半導体関連として人気薄のシキノハイテック <6614> [東証S]には思惑妙味がある。
2022年11月4日 記
株探ニュース