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【市況】明日の株式相場に向けて=ゲーム関連株に短期資金流入

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
 週明け7日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比327円高の2万7527円と反発。前週末は10月の米雇用統計発表前ということもあり、持ち高調整の売りがかさみ日経平均は460円あまりの下落をみせたが、きょうは米国株市場の上昇をみて、安心感からの買い戻しが優勢となった。ただ、上げ幅は前週末の下げを帳消しにはできなかった。中国では側近で固めた3期目の習近平政権が発足し、世界と足並みを揃えず“意地のゼロコロナ政策継続”の姿勢を示しており、市場ではこれが重荷となっているという声も聞かれた。

 あすは米中間選挙が行われる。年初から「11月の中間選挙」が、折に触れ米国のバイデン政権に吹く逆風の引き合いに出されるケースが多く、マーケットにはどちらかと言えばネガティブな響きが投資家の脳裏に刻まれていた。元来であれば「このままでは中間選挙で民主党はボロ負けする。だから、強力な経済対策を打ち出す」というロジックで株高の思惑にもつながるが、今年は常にインフレの高進がバイデン政権最大の敵となっており、対応に苦慮する羽目になった。インフレの解決策としては賃金上昇率の低下や失業率の増加など雇用環境を悪くさせる必要がある。国民に痛みを強いる政策を打ち出さなければ経済難を克服できないというジレンマに陥り、低下する支持率をどうすることもできなかった。

 しかし、「米中間選挙後は株高」というアノマリーに対する期待だけは今年も健在のようだ。中間選挙では下院においては共和党が民主党から多数派を奪還する可能性が極めて高いようだ。上院は拮抗しているが、共和党がやや優勢という状況にある。仮に共和党が上院も過半数を確保した場合、“ねじれ議会”とはならないが、民主党バイデン政権とのねじれ現象は避けられず、いずれにしても政権運営は厳しさを増すことになる。しかし、国民の機嫌を取るような財政出動を伴う政策は、基本的にインフレ沈静化を遅らせるという見方が強い。今回の中間選挙がどう転んでも、政策がスムーズに通らなくなるということがインフレ沈静化に一役買い、金融引き締めの終着点を早めるという見方が広がっている。ある意味楽観的過ぎるのかもしれないが、これが今回の中間選挙後の株高アノマリーの実現性を補足する論理として大手を振っているのは事実で、売り方も仕掛けにくい時間帯が続く。

 そして今週はもう一つのビッグイベントがある。それは10日に発表される10月の米消費者物価指数(CPI)だ。既に前週にFOMCを通過しパウエルFRB議長のタカ派傾斜を確認した後だけに、やや緊迫感は薄いが、12月中旬に行われる次のFOMCに大きな影響を与えることは必至となる。食品とエネルギーを除くコア指数の上昇率が注目されるが、9月から明確に低下していればとりあえずマーケットは安堵することになる。しかしその場合、少なくともコンセンサスの前年比6.5%以下の水準にとどまることが求められ、これはフタを開けて見ないことには分からない。

 東京市場では引き続き「決算プレー」で個別株の明暗を分けている。きょうはストップ高銘柄も続出しているが、これは発表後の当日参戦ではなかなか思うように値幅取りを成就させにくい。好決算でも事前織り込みで売られるケースなどを考慮すると、直近で決算跨(また)ぎの銘柄を買いもしくは空売りで狙っていくのは、あまり得策ではない。ひとつだけ確約されているのは、注目度の高い中小型株であれば決算跨ぎでボラティリティが高まること。その確約された条件の中で割り切って投資できるトレーダーだけの世界である。

 それよりは、決算を通過したものや決算まである程度日数の開いている銘柄に視点を置く方が勝ちやすい。足もとではゲーム周辺株に動意が目立つ。とりわけeスポーツ関連に投資資金の視線が向いているようだ。その典型はカヤック<3904>で、3段ロケットのような大陽線を示現したのち上値追いを加速、きょうはストップ高に買われ4月7日の年初来高値を更新した。このほか、ゲーム関連株ではAiming<3911>、シリコンスタジオ<3907>、ブシロード<7803>などが強い動きでマークしておきたい。

 あすのスケジュールでは、日銀金融政策決定会合の主な意見、9月の景気動向指数速報値、消費活動指数など。海外では米中間選挙に市場の関心が高い。このほか9月のユーロ圏小売売上高など。なお、国内主要企業の決算発表では、明治ホールディングス<2269>、東レ<3402>、SUMCO<3436>、王子ホールディングス<3861>、住友金属鉱山<5713>、ダイキン工業<6367>、任天堂<7974>、三菱商事<8058>などが予定される。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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