【経済】【クラウドファンディング】タンスに眠る「着物」をドレスにアップサイクル! 季縁、11月5日募集開始
使っていない「着物」を洋服に仕立て直すサービスを展開する株式会社季縁(京都府中京区)が、株式投資型クラウドファンディング(普通株式型)による出資を募集します。申し込みは11月5日10時開始を予定しています。
※「みなし時価総額」はミンカブ編集部が「発行済み株式数×募集株式の払込金額」により試算
「着物」の価値を見つめ、活用する
株式会社季縁は、家庭のタンスに眠る着物をパーティードレスやカジュアルなワンピースなどへと仕立て直す、2つのサービスを展開しています。
フォーマルドレスを中心に扱うブランド「KIEN(季縁:きえん)」(高価格帯)とデイリーユースの洋服を扱うアップサイクルサービス「キモノヌッテ」(低~中価格帯)の2サービスで、京都にあるショールームやオンライン、洋服の仕立て直し提携店などを窓口として顧客の着物を預かり、ドレスや洋服へと作り替えていきます。
(出典:FUNDINNO)
同社は、着物には長い歴史の中で培われたさまざまな文化背景と高い価値が存在していると考えており、例えば、「友禅」という柄を繊細に手書きする技術や、着物の着用シーンに合わせて仕立てる柄を変える「相手を想う」精神性、「紋(もん)」によって、魔除けの効力を持ったお守りとして着用する文化などがあるといいます。
近年、こうした文化的背景を受け継ぐ方法で作られた着物は貴重なものとなっている一方で、出荷金額のピークだった1970~80年代に生産・購入された多くの着物が一般家庭のタンスや呉服店の倉庫に眠っていることから(矢野経済研究所)、同社はこれらの価値を再確認しながら、着物を再活用する方法を考えています。
メインターゲットは女性で、40~50代の利用が多いものの、20~30代や60代以上も一定数が利用しており、特に「KIEN」では黒留袖などの晴れ着用の着物を持ち込む人も多く、子どもの結婚式や入学式、お宮参り、パーティーなどの目的で仕立て直しをする人も多いそうです。
(出典:FUNDINNO)
「airCloset」(株式会社エアークローゼットが運営する月額制ファッションレンタルサービス)や「TAKAMI BRIDAL」(高見株式会社が運営するブライダルコスチューム事業)で、同社がリメイクしたドレスのレンタルや共同催事をしたり、伊勢丹新宿店や高島屋大阪店、日本橋三越本店、阪急百貨店などでポップアップ店舗を出店しており、今後もさまざまな百貨店でポップアップ店舗を出店する予定です。
一般家庭に眠る8兆円相当の着物
同社は着物について、ストーリー性のある絵柄を繊細に手書きした生地で一点物を仕立てることは広く行われており、また、着物を仕立てる際は着用する場面や対面する相手に伝えたいメッセージによって柄を変える、「相手を想う」日本人らしい精神性が体現されていたと考察。着物に「紋」という独特の柄をあしらうことで、「着物」という衣装自体を、命をつなぐお守りとして着用する文化もあったとしています。
しかし、1990年代以降、着物の機械生産・海外生産が取り入れられるようになり、伝統的に深い意味を持った着物は減少し、日本の伝統や文化、精神性を体現する昔ながらの方法で作られた着物は貴重なものになりつつあるといいます。
一方で、現在、家庭のタンスに約3000万点、金額にして8兆円相当(きものと宝飾社より)が眠るといわれる着物は、生産方法が変わる前の1970~80年代に作られたものが多く、日本の伝統や文化、精神性を体現する高価値なものである可能性が高いものの、それらの多くが所有者の高齢化や死亡などで次世代に受け継がれたタイミングで、取り扱いに困って廃棄されている現状があると見ています。
同社は「忘れ去られた着物や廃棄されている着物の価値を再発見し、着物と日本の文化を改めて大切にできるような環境をつくっていきたい」といいます。
また、着物は家庭内に眠っているものだけでなく、ピーク時に生産されたものが呉服店などにも大量に残っているとされており、今後、それらの着物を廃棄することになれば、環境にも大きな負荷がかかると同社は考えています。
日本の伝統的な着物のあり方はSDGsとも相性が良く、着物のリユース、リサイクルを活性化させて、着物の価値が再注目されれば、発注が増え、衰退しつつある伝統産業の復活にも貢献できると見込んでいます。
ターゲットや価格が異なる2サービス
同社は、家庭のタンスに眠っていた着物を洋服の晴れ着や普段着へとアップサイクル(本来捨てられるはずの製品に新たな価値を与えて再生させること)するサービスを企画・提供しています。
着付けなどに手間がかかり、日常生活で着る機会の減った着物はある程度の広い保管スペースを要するため、使わなくなると廃棄するという選択肢も出やすくなりますが、捨てる前に洋服としてリメイクすることで新たな価値を生み出し、伝統文化の継承や環境負荷の軽減などに貢献できるとしています。
(出典:FUNDINNO)
着物のアップサイクルサービスは、着用シーンによって以下の2種類を展開しています。
(1)KIEN(きえん)
留袖や訪問着など刺繍(ししゅう)や柄が華やかな着物を、パーティードレスやセミフォーマルのワンピースなどに仕立て直すブランドです。ターゲットイメージは中流~富裕層の女性で、価格帯は8万2500円~10万4500円(税込み)。サイズ展開は依頼主に合わせて調整可能で、柄合わせや刺繍などの細やかなカスタマイズもできます。
(2)キモノヌッテ
小紋や総柄、無地などの普段着用の着物を、セミフォーマルからカジュアルシーンで着用可能なワンピースやシャツ、チュニックなどに仕立て直すブランドです。ターゲットイメージは一般層~中流で、価格帯は3万3000円~5万5000円(同)。サイズは既定のもののみで、今後は服のデザインをさらに充実させる予定だといいます。
「キモノヌッテ」の注文はオンラインと京都ショールームで受けており、今後、洋服のリメイク・リフォームなどを手がける専門店などと提携して、顧客に着物を持ち込んでもらい、注文を受けることも計画しています。
「KIEN」は京都にあるショールームでの対面注文か、LINEなどを活用したオンライン注文の2パターンから選ぶことが可能。対面の場合はアップサイクル(リメイク)したい着物を持参し、ドレスサンプルを試着しながらデザイン決めや採寸を行います。オンラインの場合は同社より、ドレスサンプルを顧客の自宅に送付し、試着をしてもらった上でデザインを決定、採寸も遠隔でやりとりをしながら調整し、ドレスへと仕立て上げます。
(出典:FUNDINNO)
「KIEN」は、着物を持っていない人からの注文も受けており、その際は、同社が持つ着物の在庫の中から1着を選んで、ドレスやワンピースを作ります。男性の着物をもとにワークシャツなどを仕立てることもありますが、現在は需要の多い女性物がメインです。
リメイク・リユース市場の認知拡大へ
同社は、着物の洋服へのアップサイクルはまだ一般的に知られていないため、まずは着物のリメイク・リユース市場の創出と認知拡大が重要だと考えています。
広報活動を強化してメディア露出を増やしたり、購入型クラウドファンディングなどに参加したりして、「KIEN」「キモノヌッテ」の知名度向上に注力するほか、自身の終活や両親からの相続時に利用されることも多いハウスクリーニングサービスとの連携も行い、着物の掘り起こしとアップサイクルへの需要喚起を強化していきたい考えです。
また、若い世代の環境意識の高さに訴求する新サービスとして、白無垢を仕立て直したウェディングドレスの展開も準備を進めています。
ウェディング業界はドレスや着物の入れ替えサイクルが早く、少しでも汚れたり、型落ちしたりすると、その多くが廃棄されてしまう現状があるほか、和装婚の減少により、白無垢の在庫の処分や管理に悩んでいる事業者もいるといい、「着物を弊社で預かり、ウェディングドレスへと作り替えるサービスを事業として広げていければと考えています」。
(出典:FUNDINNO)
同社は自社サービスの競合優位性について、以下の3つを挙げています。
(1)デザイン性/クリエイティブ力
ドレスやワンピースのデザインと顧客に訴求するクリエイティブの質の高さを意識しており、デザインが決め手で選んでもらうことも多いといい、デザイン性やクリエイティブ力は優位性があると考えています。
(2)生産体制とノウハウ
同社は、国内の大手縫製事業者と、海外にも工場を持つ国内大手の着物製造業者と提携しています。現在は最大月1000着ほどの生産力を確保しており、デザイン性を担保しながら、アップサイクルする着物の量も確保できる体制があります。
また、オペレーションに関するノウハウや生産力を高めるデザイン調整の技術などもあるとしています。
(3)経営戦略性
法人として活動し、服の縫製や販売、貸衣装などにおいて他事業者とのアライアンスや組織作りを進めている企業は国内でも珍しく、独自性のある戦略だとしています。
同社によると、着物は全て直線ででき上がっており、生地は撚糸(ねんし)と呼ばれる、1メートルあたり最低500回転ほど撚った糸でできているといいます。
撚糸は裁断が難しく、洋服に多いカーブの裁断を工夫せずに行うと生地が歪んでしまう上、縫い方も着物と洋服では異なるため、加工が難しいそうですが、同社は、着物の生地を洋服に合わせて裁断可能な3工場と連携しているほか、地方の縫製工場とも連携しながら縫製を進めています。
また、着物は生地の大きさにも特徴があり、洋服は150センチ幅の生地を使用しますが、着物は37センチ幅で12メートルの長さの生地を使用し、また、繊細に柄が施されていることから、美しいフォーマルドレスやワンピースを仕立てようとすると、柄の配置も意識したパターン起こしが必要になるといいます。
同社は「過去の経験をもとに、柄の配置とパターン起こしについてもノウハウがあるため、元の着物の美しさを最大限に表現するよう工夫したアップサイクルも受注可能」だそうです。
今後の成長に向けて
(1)アジアや米国などへの進出目指す
同社は今後について、広報活動やハウスクリーニングを行う会社との連携などにより、着物のアップサイクルに対する国内の需要喚起と市場拡大を最優先事項としていきたい考えです。
「KIEN」については、コンセプトを伝えるためにも、今後、直営店舗を東京など主要都市に置くことを構想しています。「キモノヌッテ」については、リメイクしたい着物を持ち込む窓口を増やすべく、洋服のリメイク・リフォームなどを手がける専門店との提携をさらに増やしていく予定です。各家庭には小紋や紬(つむぎ)など、普段着用の着物も大量に眠っていると考えられるため、今後は「キモノヌッテ」をさらに拡大させていきたいとしています。
国内で一定の市場ができれば、いずれは海外展開も目指したいと考えており、現在、市場調査中。親日家の多い台湾や香港、シンガポールなどのアジア諸国やニューヨークを足がかりに展開していく方針です。アラブ諸国には「アバヤ」という民族衣装があり、着物の柄や生地と相性がいいことから、中東地域での展開も検討しています。
(2)将来的なEXITはバイアウトを想定
(出典:FUNDINNO)
(3)2030年に年間2800着以上のKIEN販売数を計画
(出典:FUNDINNO)
類似上場企業(業態やサービス・製品などで類似性の見られる企業)
・エアークローゼット <9557> [東証G]
・夢展望 <3185> [東証G]
・ANAP <3189> [東証S]
・クロスプラス <3320> [東証S]
・グローバルスタイル <7126> [東証S]
・リネットジャパングループ <3556> [東証G]
・BuySell Technologies <7685> [東証G]
株主優待
■基準日
毎年2月末日
■優待内容
1株以上:季縁の着物アップサイクル(KIEN・キモノヌッテ)をオーダーすると、税込み販売価格より5%オフで提供
■申し込み方法
基準日経過後、メールで予約・注文可能の案内を送付。その際、同社問い合わせアドレスに、氏名、住所、株主優待を利用する旨を知らせる。
■注意事項
※KIEN・キモノヌッテのどちらでも利用可
※5%オフは何度でも利用可
※オプション(裏地取り付け、刺繍追加など)は適用外
※自身の着物でオーダーする人への、5%オフの特典と併用可
発行者・募集情報
■募集株式の発行者の商号及び住所、資本金等
株式会社季縁
京都府中京区御池通東洞院東笹屋町436永和御池ビル606号
資本金:21,000,000円(2022年8月29日現在)
発行済株式総数:1,112株(同)
発行可能株式総数:10,000株
設立日:2020年3月24日
決算日:2月28日
※2022年9月26日を効力発生日として、1株を20株とする株式分割に伴う発行済株式総数、発行可能株式総数の変更を実施しており、登記申請中。登記完了後の発行済株式総数は22,240株、発行可能株式総数は100,000株となる。
■募集株式の発行者の代表者
代表取締役 北川淑恵
代表取締役 宮部喬史
■募集株式の種類及び数(上限)
普通株式 3,000株
■募集株式の払込金額
1株あたり 10,000円
■資金使途
・目標募集額達成時の資金使途内訳
調達額750万円を以下の目的に充てる予定
人件費 585万円
手数料 165万円
・上限募集額達成時の資金使途内訳
上記に追加し、調達額2,250万円(目標募集額750万円と上限募集額3,000万円との差額)を以下の目的に充てる予定
広告宣伝費 900万円
販売促進費 150万円
人件費 705万円
手数料 495万円
■投資金額のコース及び株数
100,000円コース(10株)
200,000円コース(20株)
300,000円コース(30株)
400,000円コース(40株)
500,000円コース(50株)
1,000,000円コース(100株)
2,000,000円コース(200株)
3,000,000円コース(300株)
4,000,000円コース(400株)
5,000,000円コース(500株)
※特定投資家口座以外からの申し込みの場合、500,000円コース(50株)までしか申し込みできない。なお、特定投資家口座からの申し込みの場合、5,000,000円コース(500株)を上限とする。
■申込期間
2022年11月5日~11月11日
■目標募集額
7,500,000円(上限募集額 30,000,000円)
※特定投資家口座全体からの申し込みの上限は24,000,000円とする。
■払込期日
2022年12月6日
■連絡先
株式会社季縁
電話番号:080-3213-2104
メールアドレス:taka.miyabe@kimonokien.jp
※本株式投資型クラウドファンディングの詳細については、FUNDINNOの下記ページをご覧ください。
▼<着物文化の価値を再発見>タンスに眠る3,000万着、8兆円市場を掘り起こせ。伝統×デザインで着物をドレスにアップサイクルする「季縁」
株探ニュース
・ | 普通株式型 |
・ | 目標募集額:750万円、上限募集額:3000万円 |
・ | エンジェル出資実績あり |
・ | エンジェル税制あり(優遇措置A) |
・ | 株主優待あり(着物のアップサイクルを税込み販売価格より5%オフで提供) |
・ | みなし時価総額:2億2240万円 |
・ | 類似上場企業:エアークローゼット、夢展望、ANAP、クロスプラス、グローバルスタイル、リネットジャパングループ、BuySell Technologies |
※「みなし時価総額」はミンカブ編集部が「発行済み株式数×募集株式の払込金額」により試算
「着物」の価値を見つめ、活用する
株式会社季縁は、家庭のタンスに眠る着物をパーティードレスやカジュアルなワンピースなどへと仕立て直す、2つのサービスを展開しています。
フォーマルドレスを中心に扱うブランド「KIEN(季縁:きえん)」(高価格帯)とデイリーユースの洋服を扱うアップサイクルサービス「キモノヌッテ」(低~中価格帯)の2サービスで、京都にあるショールームやオンライン、洋服の仕立て直し提携店などを窓口として顧客の着物を預かり、ドレスや洋服へと作り替えていきます。
(出典:FUNDINNO)
同社は、着物には長い歴史の中で培われたさまざまな文化背景と高い価値が存在していると考えており、例えば、「友禅」という柄を繊細に手書きする技術や、着物の着用シーンに合わせて仕立てる柄を変える「相手を想う」精神性、「紋(もん)」によって、魔除けの効力を持ったお守りとして着用する文化などがあるといいます。
近年、こうした文化的背景を受け継ぐ方法で作られた着物は貴重なものとなっている一方で、出荷金額のピークだった1970~80年代に生産・購入された多くの着物が一般家庭のタンスや呉服店の倉庫に眠っていることから(矢野経済研究所)、同社はこれらの価値を再確認しながら、着物を再活用する方法を考えています。
メインターゲットは女性で、40~50代の利用が多いものの、20~30代や60代以上も一定数が利用しており、特に「KIEN」では黒留袖などの晴れ着用の着物を持ち込む人も多く、子どもの結婚式や入学式、お宮参り、パーティーなどの目的で仕立て直しをする人も多いそうです。
(出典:FUNDINNO)
「airCloset」(株式会社エアークローゼットが運営する月額制ファッションレンタルサービス)や「TAKAMI BRIDAL」(高見株式会社が運営するブライダルコスチューム事業)で、同社がリメイクしたドレスのレンタルや共同催事をしたり、伊勢丹新宿店や高島屋大阪店、日本橋三越本店、阪急百貨店などでポップアップ店舗を出店しており、今後もさまざまな百貨店でポップアップ店舗を出店する予定です。
一般家庭に眠る8兆円相当の着物
同社は着物について、ストーリー性のある絵柄を繊細に手書きした生地で一点物を仕立てることは広く行われており、また、着物を仕立てる際は着用する場面や対面する相手に伝えたいメッセージによって柄を変える、「相手を想う」日本人らしい精神性が体現されていたと考察。着物に「紋」という独特の柄をあしらうことで、「着物」という衣装自体を、命をつなぐお守りとして着用する文化もあったとしています。
しかし、1990年代以降、着物の機械生産・海外生産が取り入れられるようになり、伝統的に深い意味を持った着物は減少し、日本の伝統や文化、精神性を体現する昔ながらの方法で作られた着物は貴重なものになりつつあるといいます。
一方で、現在、家庭のタンスに約3000万点、金額にして8兆円相当(きものと宝飾社より)が眠るといわれる着物は、生産方法が変わる前の1970~80年代に作られたものが多く、日本の伝統や文化、精神性を体現する高価値なものである可能性が高いものの、それらの多くが所有者の高齢化や死亡などで次世代に受け継がれたタイミングで、取り扱いに困って廃棄されている現状があると見ています。
同社は「忘れ去られた着物や廃棄されている着物の価値を再発見し、着物と日本の文化を改めて大切にできるような環境をつくっていきたい」といいます。
また、着物は家庭内に眠っているものだけでなく、ピーク時に生産されたものが呉服店などにも大量に残っているとされており、今後、それらの着物を廃棄することになれば、環境にも大きな負荷がかかると同社は考えています。
日本の伝統的な着物のあり方はSDGsとも相性が良く、着物のリユース、リサイクルを活性化させて、着物の価値が再注目されれば、発注が増え、衰退しつつある伝統産業の復活にも貢献できると見込んでいます。
ターゲットや価格が異なる2サービス
同社は、家庭のタンスに眠っていた着物を洋服の晴れ着や普段着へとアップサイクル(本来捨てられるはずの製品に新たな価値を与えて再生させること)するサービスを企画・提供しています。
着付けなどに手間がかかり、日常生活で着る機会の減った着物はある程度の広い保管スペースを要するため、使わなくなると廃棄するという選択肢も出やすくなりますが、捨てる前に洋服としてリメイクすることで新たな価値を生み出し、伝統文化の継承や環境負荷の軽減などに貢献できるとしています。
(出典:FUNDINNO)
着物のアップサイクルサービスは、着用シーンによって以下の2種類を展開しています。
(1)KIEN(きえん)
留袖や訪問着など刺繍(ししゅう)や柄が華やかな着物を、パーティードレスやセミフォーマルのワンピースなどに仕立て直すブランドです。ターゲットイメージは中流~富裕層の女性で、価格帯は8万2500円~10万4500円(税込み)。サイズ展開は依頼主に合わせて調整可能で、柄合わせや刺繍などの細やかなカスタマイズもできます。
(2)キモノヌッテ
小紋や総柄、無地などの普段着用の着物を、セミフォーマルからカジュアルシーンで着用可能なワンピースやシャツ、チュニックなどに仕立て直すブランドです。ターゲットイメージは一般層~中流で、価格帯は3万3000円~5万5000円(同)。サイズは既定のもののみで、今後は服のデザインをさらに充実させる予定だといいます。
「キモノヌッテ」の注文はオンラインと京都ショールームで受けており、今後、洋服のリメイク・リフォームなどを手がける専門店などと提携して、顧客に着物を持ち込んでもらい、注文を受けることも計画しています。
「KIEN」は京都にあるショールームでの対面注文か、LINEなどを活用したオンライン注文の2パターンから選ぶことが可能。対面の場合はアップサイクル(リメイク)したい着物を持参し、ドレスサンプルを試着しながらデザイン決めや採寸を行います。オンラインの場合は同社より、ドレスサンプルを顧客の自宅に送付し、試着をしてもらった上でデザインを決定、採寸も遠隔でやりとりをしながら調整し、ドレスへと仕立て上げます。
(出典:FUNDINNO)
「KIEN」は、着物を持っていない人からの注文も受けており、その際は、同社が持つ着物の在庫の中から1着を選んで、ドレスやワンピースを作ります。男性の着物をもとにワークシャツなどを仕立てることもありますが、現在は需要の多い女性物がメインです。
リメイク・リユース市場の認知拡大へ
同社は、着物の洋服へのアップサイクルはまだ一般的に知られていないため、まずは着物のリメイク・リユース市場の創出と認知拡大が重要だと考えています。
広報活動を強化してメディア露出を増やしたり、購入型クラウドファンディングなどに参加したりして、「KIEN」「キモノヌッテ」の知名度向上に注力するほか、自身の終活や両親からの相続時に利用されることも多いハウスクリーニングサービスとの連携も行い、着物の掘り起こしとアップサイクルへの需要喚起を強化していきたい考えです。
また、若い世代の環境意識の高さに訴求する新サービスとして、白無垢を仕立て直したウェディングドレスの展開も準備を進めています。
ウェディング業界はドレスや着物の入れ替えサイクルが早く、少しでも汚れたり、型落ちしたりすると、その多くが廃棄されてしまう現状があるほか、和装婚の減少により、白無垢の在庫の処分や管理に悩んでいる事業者もいるといい、「着物を弊社で預かり、ウェディングドレスへと作り替えるサービスを事業として広げていければと考えています」。
(出典:FUNDINNO)
同社は自社サービスの競合優位性について、以下の3つを挙げています。
(1)デザイン性/クリエイティブ力
ドレスやワンピースのデザインと顧客に訴求するクリエイティブの質の高さを意識しており、デザインが決め手で選んでもらうことも多いといい、デザイン性やクリエイティブ力は優位性があると考えています。
(2)生産体制とノウハウ
同社は、国内の大手縫製事業者と、海外にも工場を持つ国内大手の着物製造業者と提携しています。現在は最大月1000着ほどの生産力を確保しており、デザイン性を担保しながら、アップサイクルする着物の量も確保できる体制があります。
また、オペレーションに関するノウハウや生産力を高めるデザイン調整の技術などもあるとしています。
(3)経営戦略性
法人として活動し、服の縫製や販売、貸衣装などにおいて他事業者とのアライアンスや組織作りを進めている企業は国内でも珍しく、独自性のある戦略だとしています。
同社によると、着物は全て直線ででき上がっており、生地は撚糸(ねんし)と呼ばれる、1メートルあたり最低500回転ほど撚った糸でできているといいます。
撚糸は裁断が難しく、洋服に多いカーブの裁断を工夫せずに行うと生地が歪んでしまう上、縫い方も着物と洋服では異なるため、加工が難しいそうですが、同社は、着物の生地を洋服に合わせて裁断可能な3工場と連携しているほか、地方の縫製工場とも連携しながら縫製を進めています。
また、着物は生地の大きさにも特徴があり、洋服は150センチ幅の生地を使用しますが、着物は37センチ幅で12メートルの長さの生地を使用し、また、繊細に柄が施されていることから、美しいフォーマルドレスやワンピースを仕立てようとすると、柄の配置も意識したパターン起こしが必要になるといいます。
同社は「過去の経験をもとに、柄の配置とパターン起こしについてもノウハウがあるため、元の着物の美しさを最大限に表現するよう工夫したアップサイクルも受注可能」だそうです。
今後の成長に向けて
(1)アジアや米国などへの進出目指す
同社は今後について、広報活動やハウスクリーニングを行う会社との連携などにより、着物のアップサイクルに対する国内の需要喚起と市場拡大を最優先事項としていきたい考えです。
「KIEN」については、コンセプトを伝えるためにも、今後、直営店舗を東京など主要都市に置くことを構想しています。「キモノヌッテ」については、リメイクしたい着物を持ち込む窓口を増やすべく、洋服のリメイク・リフォームなどを手がける専門店との提携をさらに増やしていく予定です。各家庭には小紋や紬(つむぎ)など、普段着用の着物も大量に眠っていると考えられるため、今後は「キモノヌッテ」をさらに拡大させていきたいとしています。
国内で一定の市場ができれば、いずれは海外展開も目指したいと考えており、現在、市場調査中。親日家の多い台湾や香港、シンガポールなどのアジア諸国やニューヨークを足がかりに展開していく方針です。アラブ諸国には「アバヤ」という民族衣装があり、着物の柄や生地と相性がいいことから、中東地域での展開も検討しています。
(2)将来的なEXITはバイアウトを想定
(出典:FUNDINNO)
(3)2030年に年間2800着以上のKIEN販売数を計画
(出典:FUNDINNO)
類似上場企業(業態やサービス・製品などで類似性の見られる企業)
・エアークローゼット <9557> [東証G]
・夢展望 <3185> [東証G]
・ANAP <3189> [東証S]
・クロスプラス <3320> [東証S]
・グローバルスタイル <7126> [東証S]
・リネットジャパングループ <3556> [東証G]
・BuySell Technologies <7685> [東証G]
株主優待
■基準日
毎年2月末日
■優待内容
1株以上:季縁の着物アップサイクル(KIEN・キモノヌッテ)をオーダーすると、税込み販売価格より5%オフで提供
■申し込み方法
基準日経過後、メールで予約・注文可能の案内を送付。その際、同社問い合わせアドレスに、氏名、住所、株主優待を利用する旨を知らせる。
■注意事項
※KIEN・キモノヌッテのどちらでも利用可
※5%オフは何度でも利用可
※オプション(裏地取り付け、刺繍追加など)は適用外
※自身の着物でオーダーする人への、5%オフの特典と併用可
発行者・募集情報
■募集株式の発行者の商号及び住所、資本金等
株式会社季縁
京都府中京区御池通東洞院東笹屋町436永和御池ビル606号
資本金:21,000,000円(2022年8月29日現在)
発行済株式総数:1,112株(同)
発行可能株式総数:10,000株
設立日:2020年3月24日
決算日:2月28日
※2022年9月26日を効力発生日として、1株を20株とする株式分割に伴う発行済株式総数、発行可能株式総数の変更を実施しており、登記申請中。登記完了後の発行済株式総数は22,240株、発行可能株式総数は100,000株となる。
■募集株式の発行者の代表者
代表取締役 北川淑恵
代表取締役 宮部喬史
■募集株式の種類及び数(上限)
普通株式 3,000株
■募集株式の払込金額
1株あたり 10,000円
■資金使途
・目標募集額達成時の資金使途内訳
調達額750万円を以下の目的に充てる予定
人件費 585万円
手数料 165万円
・上限募集額達成時の資金使途内訳
上記に追加し、調達額2,250万円(目標募集額750万円と上限募集額3,000万円との差額)を以下の目的に充てる予定
広告宣伝費 900万円
販売促進費 150万円
人件費 705万円
手数料 495万円
■投資金額のコース及び株数
100,000円コース(10株)
200,000円コース(20株)
300,000円コース(30株)
400,000円コース(40株)
500,000円コース(50株)
1,000,000円コース(100株)
2,000,000円コース(200株)
3,000,000円コース(300株)
4,000,000円コース(400株)
5,000,000円コース(500株)
※特定投資家口座以外からの申し込みの場合、500,000円コース(50株)までしか申し込みできない。なお、特定投資家口座からの申し込みの場合、5,000,000円コース(500株)を上限とする。
■申込期間
2022年11月5日~11月11日
■目標募集額
7,500,000円(上限募集額 30,000,000円)
※特定投資家口座全体からの申し込みの上限は24,000,000円とする。
■払込期日
2022年12月6日
■連絡先
株式会社季縁
電話番号:080-3213-2104
メールアドレス:taka.miyabe@kimonokien.jp
※本株式投資型クラウドファンディングの詳細については、FUNDINNOの下記ページをご覧ください。
▼<着物文化の価値を再発見>タンスに眠る3,000万着、8兆円市場を掘り起こせ。伝統×デザインで着物をドレスにアップサイクルする「季縁」
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