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【市況】明日の株式相場に向けて=内憂外患のバイデン米政権と株価

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
 きょう(20日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比250円安の2万7006円と反落。先の読みにくい地合いが続いている。前日は米国株が上昇一服となったことを受け、きょうの東京市場が売りに押される展開になりやすいのは取引開始前から分かってはいたが、それでも下値は2万7000円大台攻防くらいまでのイメージであった。しかし、実際は2万6800円台まで下押す場面があるなど、売り圧力は想定をやや上回った。

 滞留出来高からみて、2万7000円大台ラインはそれほどフシとして意識されてはいないが、それでも2万6000円台と2万7000円台では風景が違う。後場に入り中国のゼロコロナ政策の緩みを期待した投資資金が流れ込み、日経平均は下げ渋って結局2万7000円台をかろうじてキープしたが、これは買い方が意地をみせたようなところがある。2万7500円近辺を横に走る75日移動平均線を上抜くことができずに踵(きびす)を返す形は、10月7日と同じパターンでリズム的にはよくない。三角もち合いが煮詰まっていることもあり、ここでの攻防は今後を占う要衝を巡る戦いともいえる。

 外部環境に目を向けると、米国の10年債利回りが4.1%台まで上昇し、ドル・円相場はついに1ドル=150円台まで円安が進行した。市場では「米長期金利の4%台、ドル・円の150円ラインは、決して想定外ではないが、コンセンサスとしては想定内レンジでいえば上限というイメージ。ここを更に突き抜けていくとなると、株式市場目線でも相当慌てた雰囲気になると思う」(国内証券ストラテジスト)という声がある。マーケットを取り巻く環境で、新たに懸念されていることは中間選挙を控えやや勇み足的な動きを示す民主党バイデン米政権の“危うさ”であるという。ロシアとウクライナ情勢は戦線不利とみられるロシアのプーチン大統領が戦術核を使うことへの警戒感がくすぶっているが、これについては織り込んでいるとは言わないまでも、投資家の目に見えているリスクであることには違いない。ただ、バイデン政権はこのロシア・ウクライナ問題を横にらみに、一方で中国の頭も力ずくで押さえようとしている。

 「米国が台湾に武器提供を積極化させる方針が伝わっているが中国がこれに猛反発しており、にわかに台湾有事のキナ臭さを強めている」(ネット証券アナリスト)とする。米国株市場ではロッキード・マーチン<LMT>など軍需株の上昇が目立っている。更にバイデン米政権はサウジとの関係も良くない。「バイデン大統領とサウジ皇太子は犬猿の仲というよりない。サウジ側にすれば脱炭素の看板をぶち上げておいて、今度はインフレで困っているから増産して原油価格を下げてくれというのは筋が通らない」(同)とし、今月に入りOPECプラスが逆に大幅減産を決定するなど、バイデン大統領の面目を潰す動きにつながった。米国内のインフレ高進に加え、海外ではロシア、中国、サウジと敵だらけでまさに内憂外患が際立つなかでの中間選挙となるが、「米国メディアはトランプ・アレルギーが甚だしく、それでも消去法でバイデンということらしい」(同)という。米国株市場は足もとで堆(うずたか)く積み上がった空売り玉を踏み上げに持って行けるかどうかの瀬戸際にある。当面はこの売りと買いの需給を巡る戦いの行方が世界の耳目を集めることにもなる。

 個別株の物色意欲は依然として旺盛だが、目先動意しているのがマイナ保険証関連だ。政府は2024年秋に現行の保険証を廃止しマイナンバー カードに機能を一元化することを政策として打ち出している。現状のマイナンバーカードの交付は国民全体の5割にとどまっているが、政府は今後“本気”で普及に取り組むということのようだ。きょうはフライトホールディングス<3753>がストップ高に買われているが、このほかITbookホールディングス<1447>にも注目しておきたい。

 また、日本航空<9201>、ANAホールディングス<9202>の空運2社が新値圏を飛翔している。これに歩調を合わせる形で日本空港ビルデング<9706>が物色人気を集めているが、インフラを担う空港施設<8864>の500円台の株価にも妙味がある。

 あすのスケジュールでは、9月の全国消費者物価指数(CPI)、9月の食品スーパー売上高、9月の全国スーパー売上高など。このほか、3カ月物国庫短期証券の入札も予定されている。海外では9月の英小売売上高が発表される。また、米国ではウィリアムズ・NY連銀総裁の講演が行われる予定でマーケットの関心を集めそうだ。(銀)

出所:MINKABU PRESS

最終更新日:2022年10月20日 17時47分

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