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【特集】原油相場を圧迫する米中経済の視界不良、需要落ち込みリスクが拡大 <コモディティ特集>

minkabu PRESS CXアナリスト 谷口 英司
 世界最大の原油輸入国である中国の経済が悪化している。今週発表された7月の鉱工業生産指数や小売売上高は弱く、ブレント原油ウェスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)先物は下値探りだ。中国政府がゼロコロナ政策を堅持しているなかでは、まともな経済活動ができず景気は悪化せざるを得ない。

●中国の先行きは不透明

 変異を繰り返し、地球上から消えることのないコロナウイルスに対して、中国政府はゼロコロナ政策を頑なに続けている。感染対策としてファイザーやモデルナが開発したワクチンに中国は以前から全く関心を示しておらず、PCR検査で陽性者を表面化させ、隔離を続けるというコロナ初期からの感染対策を繰り返している。経済活動が正常化している大半の国々と比較すると、市民の行動をすべて管理し家畜のように扱う中国政府のやり方は異様でしかない。自由とは正反対である。

 習近平国家主席の舵取り次第では、資本の逃避が強まり景気がさらに低迷するだろう。政府に強制されているわけでもなく、酷暑のなかでも空気を読んでマスクを着用し、副作用のきついワクチンを我慢して打ち続け、世界最多の陽性者数を叩き出す日本人のほうが狂っていると中国人に言われるかもしれないが、中国が何を目指しているのか不明である。台湾情勢も含めて、中国の先が見えにくくなっていることも原油相場を圧迫しているのではないか。景気拡大は中国政府の最優先事項ではなくなっている。

●米国も景気後退局面、インドは堅調だが……

 世界最大の石油消費国である米国の景気見通しも悪い。4-6月期の米国内総生産(GDP)は前期比年率で0.9%減となり、2四半期連続のマイナスとなった。定義上は景気後退(リセッション)入りである。購買担当者景気指数(PMI)や各地区連銀が発表している製造業景気指数などからすると、年後半は景気悪化が鮮明となるだろう。GDPの縮小と雇用拡大が共存しているものの、過去最高水準で推移していた求人件数が減少しているほか、人員削減の発表が増えていることからすると、雇用環境は悪化に向かっている可能性が高い。燃料小売価格が高騰したことで石油製品需要は減退しているが、雇用が崩れると需要がさらに落ち込むリスクがある。

 世界第3位の石油消費国であるインド経済は堅調である。7月のインド製造業PMIは56.4まで上昇し、昨年11月以来の高水準となった。PMIのトレンドが下向きの主要国とは対照的である。原油輸入量や石油製品需要は過去5年のレンジ上限付近で推移しているほか、原油在庫の取り崩しが強まる兆候がある。

 インドの需要拡大は中国や米国の需要減をある程度相殺するだろう。ただ、インドの需要が強いとはいえ、米国と中国の石油需要は世界全体の35%程度を占めるほど膨大であり、両国の経済が崩れるなら需給はさらに緩む。需要見通しが値動きを決定づけるならば、原油相場は今後も重そうだ。

(minkabu PRESS CXアナリスト 谷口 英司)

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