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【市況】来週の株式相場に向けて=「米トランプ政権始動」前夜でインフレ警戒モードは高まるか

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
 10日の東京株式市場は、日経平均株価が414円安と3日続落した。今晩の米12月雇用統計の発表を控え積極的な買いは手控えられたが、特にファーストリテイリング<9983>の決算発表を受けた急落で、日経平均株価を約300円押し下げたことが響いた。

 そんななか、いよいよ米トランプ政権が始動する20日が目前に迫ってきた。トランプ政権が計画する経済・財政政策は、インフレ再燃につながる懸念があることが警戒視されるなか、8日には米長期金利が4.73%と8カ月ぶりの水準に上昇している。同氏が掲げる減税などの政策をまかなうには「米国債増発が避けられないのではないか」(アナリスト)とみられていることも金利上昇の要因となっている。

 とりわけ足もとで市場が警戒しているのが、同氏の「関税政策」だ。中国、メキシコ、カナダへは就任初日にも関税引き上げに踏み出す可能性があるが、同盟国も含めたすべての国・地域に「一律関税」をかけることを同氏は公約に掲げている。これら関税引き上げは、報復合戦を招きかねないうえに米国にとってはインフレ加速要因となる。

 折しも、今晩の米雇用統計に続き、来週は14日に米12月生産者物価指数(PPI)、15日に米12月消費者物価指数(CPI)、16日に米12月小売売上高と米国のインフレや景気動向を探るうえでの重要経済指標の発表が相次ぐ。来週はトランプ政権発足が目前に迫るなか、インフレ警戒モードが高まるかが大きな焦点となりそうだ。ただ、トランプ政権を巡っては「同氏の発言に驚いて売り方に回っても買い戻しが流入し、相場は意外に下がらないかもしれない」(市場関係者)との見方もある。

 来週の上記以外のスケジュールでは、海外では16日に米1月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数、17日に米12月鉱工業生産、米12月住宅着工件数が発表される。また、15日にはJPモルガン<JPM>、ゴールドマン<GS>、16日にはシティグループ<C>、バンク・オブ・アメリカ<BAC>、モルガン・スタンレー<MS>が決算発表を行い、米国は決算シーズンに入る。

 国内では、13日は「成人の日」で休場。14日には氷見野日銀副総裁が金融経済懇談会に出席し午後に記者会見を行う。12日に12月マネーストック、16日に12月国内企業物価指数が発表される。14日は東宝<9602>やビックカメラ<3048>、SHIFT<3697>、霞ヶ関キャピタル<3498>など200社近くが決算発表を行う。15日にはトゥエンティーフォーセブン<7074>、16日に津田駒工業<6217>、17日に協和コンサルタンツ<9647>などの決算が予定されている。来週の日経平均株価の予想レンジは3万8800~3万9700円前後。(岡里英幸)

出所:MINKABU PRESS

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