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【特集】「メタコマース」に視線集中、メタバースとリテール融合の大旋風始まる <株探トップ特集>

メタバースの活用に向けた動きが加速するなか、リテール分野での取り組みも活発化している。メタバース上で物やサービスを取引する「メタコマース」の重要性が高まりをみせている。

―アバター活用しバーチャル店舗で商品販売、イベント開催で話題性も高まる―

 昨年以降、メタバース への高い関心が継続している。大手企業による参入が相次ぐなど普及に向けた流れが加速度的に進んでおり、一時的なブームではなく中長期的なビジネストレンドになるとの見方が固まりつつある。メタバースへの取り組みでは、親和性の高いゲームやエンターテインメント分野の動向に視線が向かいがちだが、これ以外にも取り組みを活発化させている分野がある。それが消費・小売りの分野で、ここ最近ではメタバースとeコマースを組み合わせた「メタコマース」という言葉も聞かれるようになった。関連する企業の動向をまとめた。

●アダストリアも参入、企業の動き続々

 カジュアル衣料大手のアダストリア <2685> [東証P]は7月22日、メタバースファッション領域に参入すると発表した。第1弾としてエイベックス <7860> [東証P]傘下のバーチャル・エイベックスと協業し、自社ブランドの衣料品をアバター化した。会社側では、メタバースファッションの商品提供や販売から始めていき、将来的にはメタバースプラットフォームへの展開やメタバース内でのコンテンツ提供、イベント開催などを行う考えを示している。

 玩具キャラクターグッズを手掛ける有名企業も参入を果たしている。タカラトミー <7867> [東証P]は、ITを活用したサービス開発を行うベネリックデジタルエンターテインメント(東京都千代田区)のメタバース商業施設「そらのうえショッピングモール」にトミカショップとプラレールショップを出店した。サンリオ <8136> [東証P]も自社運営のショップを出店しており、それぞれのバーチャルショップからは商品情報の入手や通販サイト経由での商品購入が可能となっている。

 サイバーエージェント <4751> [東証P]や楽天グループ <4755> [東証P]など、大手IT系企業の動きも見逃せない。サイバーは、バーチャル店舗開発に特化した子会社「CyberMetaverse Productions」を今年2月に設立。NFTを活用したデジタルコンテンツ制作や独自の暗号資産の発行支援までを一貫して行う体制を構築し、小売りやアパレル向けに事業を展開していく構えだ。楽天グループは、傘下の楽天モバイルがサッカーJリーグのヴィッセル神戸などと共同で、メタバース上の店舗「メタストア」を活用した実証実験を行った実績を持つ。

●凸版は「メタパ」提供、仮想モールなど関連サービスさまざま

 メタバース上での商品販売が今後ますます広がっていくと予想されるなか、関連サービスを手掛ける企業には期待がかかる。まずは、凸版印刷 <7911> [東証P]だ。昨年末にバーチャルショッピングモールアプリ「メタパ」の提供を始めており、テレビ朝日ホールディングス <9409> [東証P]傘下のテレビ朝日やコクヨ <7984> [東証P]が出店したことで話題を呼んでいる。同社は3Dアバター自動生成サービス「MetaCloneアバター」、企業向けショールーム構築サービス「MiraVerseショールーム」も提供しており、メタバース分野での取り組みを積極化させている。

 小売り企業自らが手掛けるケースでは、三越伊勢丹ホールディングス <3099> [東証P]のスマートフォン向けアプリ「REV WORLDS (レヴ ワールズ)」がある。仮想の伊勢丹新宿店と新宿東口の街の一部エリアを再現したもので、実際の商品の購入やリアル店舗と連動したバーチャルイベントへの参加が行える。

 独立系情報サービス大手のTIS <3626> [東証P]は6月から決済完結型バーチャルショップサービス「XR Pay」を提供している。バーチャル店舗の制作から商品管理、決済までを行えるもので、小売り企業をはじめ商店街やショッピングモール、観光関連など幅広い顧客に向けた展開を目指す。

 このほかでは、JR東日本 <9020> [東証P]が手掛ける秋葉原の駅と街を再現したバーチャル空間「Virtual AKIBA World」、ANAホールディングス <9202> [東証P]のグループ会社が開発するバーチャルトラベルプラットフォーム「SKY WHALE」がメタコマースに絡み注目されている。また、NTT <9432> [東証P]やKDDI <9433> [東証P]、グリー <3632> [東証P]といったメタバースプラットフォームを手掛ける企業にも目を配っておきたい。

●ローソン初出展が話題に、メタバースイベントの動向にも注目

 さまざまな企業がメタバースビジネスの可能性を探るなか、物やサービスの取引に関わるメタコマースの重要性は今後一段と増していくことになる。もちろん、まずはメタバース自体の普及拡大が望まれるところであり、こうしたなか引き続き関連動向を注視しておく必要がありそうだ。メタバースへの更なる注目度の上昇によって、メタコマースにスポットライトが当たるタイミングも程なく訪れるだろう。

 足もとメタバース関連のイベントが相次ぎ開催されており、関心が高まりやすい時期に来ている。7月下旬には、米IT大手メタ・プラットフォームズ<META>が「METAVERSE EXPO JAPAN 2022」を開催した。参加企業にはNTTドコモやソフトバンク <9434> [東証P]、楽天モバイルのほか、サイバーエージェント、大日本印刷 <7912> [東証P]、バンナムグループのバンダイナムコエンターテインメントなどが名を連ねた。前述の凸版も参加し、メタパなどの展示を行っている。

 NTTドコモやメディアドゥ <3678> [東証P]などが出資するVRベンチャー、HIKKY(ヒッキー、東京都渋谷区)が手掛けるイベント「バーチャルマーケット」も見逃せない。昨冬の開催時にはローソン <2651> [東証P]の初出展が話題を呼び、これを契機にメタコマースという言葉が広がりをみせた経緯がある。今夏の開催も予定されており、8月13日から28日の日程で行われる。このほか、9月15~18日にはリアルとバーチャルの両方で実施する「東京ゲームショウ」の開催が予定されており、メタバースを巡る話題に事欠かない状況は続く。

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