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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「為替も原油も、コロナも不穏な夏」

株式評論家 富田隆弥

日経平均株価は7月に入り11日高値の2万7062円まで上昇したが、その後は2万6000円台で一進一退が続く。10日の参院選は自民党が圧勝して安心感を誘ったが、同時に選挙が終わって政策相場の一巡感も意識される。

◆日足チャートは、6月20日の安値2万5520円から切り返したものの、75日移動平均線に差し掛かかり、6月28日高値の2万7062円と肩を並べたところで頭を叩いた。目先はこの2万7062円突破がポイントとなるが、週足チャートは3月中旬から2万6000円~2万8000円のレンジでもみ合っており、年初から続く右肩下がりの流れを打破するには、2万8000円突破が不可欠であることは変わらない。

◆そして、外部環境に不穏な動きが表れている。米国では6月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比9.1%増と40年半ぶりの高い伸びとなり、生産者物価指数(PPI)も同11.3%増と、インフレ圧力をさらに増している。為替市場ではドル独歩高が進み、対円は24年ぶりとなる139円台に乗せ、対ユーロは20年ぶりに1.00ユーロ=1ドルの等価を下回った。

◆カナダ中銀は1.0%の利上げ(年2.5%)、韓国中銀は0.5%の利上げ(年2.25%)に動いた。7月21日の日銀金融政策決定会合と欧州中央銀行(ECB)理事会、そして27日のFOMC(米連邦公開市場委員会)がどのような決定を下すのか、世界の投資家が固唾を呑んで注目することになる。

◆さらに、原油(WTI)が14日に一時90ドル台まで急落し、これでチャートは3月高値と6月高値でダブルトップを確定させ、調整入りを暗示する。ビットコイン(暗号資産)、NYダウ(米国株)、米国債に続く調整入りだ。世界で躍動するファンド勢だが、今年は運用難続きで損失を抱えたところもあるだろう。

◆夏休みシーズンを迎える日本だが、オミクロン株「BA.5」が猛威を奮い始めている。日本株には8月のお盆頃まで調整しやすい「アノマリー(経験則)」もある。無理はせず、もう少し様子見姿勢を続けたい。

(7月14日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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