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【市況】【村瀬智一が斬る!深層マーケット】7月FOMC通過後の需給改善を睨んだ物色へ

RAKAN RICERCA 代表取締役 会長 村瀬智一

「7月FOMC通過後の需給改善を睨んだ物色へ」

●CTAなどはリバランスで株式のショートカバーを継続

 6月の米消費者物価指数(CPI)は市場予想を上回る伸びとなり、7月26~27日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)における0.75%利上げは確実視され、1%の利上げ観測も浮上している。FOMCに向けては前回同様、思惑的な短期トレードを中心に不安定な相場展開が見込まれる。また、14日の米国市場では大幅な減益決算を発表したJPモルガン・チェース<JPM>が3%を超える下落となっており、本格化する決算発表を見極めたいとのムードも高まりやすいだろう。

 ただし、7月のFOMC通過後に需給状況が改善に向かう可能性はあると考えられる。9月のFOMCまで2カ月の期間が空くため、7月FOMCがよほどのネガティブサプライズとならなければ、ひとまずアク抜けを意識した動きに向かうと見ておきたい。足元では減速懸念から低迷していた 半導体株に、リスクを取りに行く動きが見られてきた。NYダウが14日まで5営業日続落となるなか、VIX指数は低下傾向で推移しており、リスク回避には向かっていない。

 また、日本株については米利上げ局面ではドル高・円安が材料視され、相対的な底堅さが意識されやすいだろう。日経平均株価は6月上旬の急落以降は2万5500円~2万7000円での推移を継続しており、足元では2万6000円~2万7000円とややレンジが切り上がってきた。チャート上では75日移動平均線が心理的な抵抗線として意識されるものの、商品市況が調整を見せている状況下において、CTA(商品投資顧問)などはリバランスにより株式のショートカバーを継続していると考えられる。75日線突破となれば、6月の急落局面でロングポジションを解消したファンドが、ロングを持ち直す動きを強めてくる可能性もあると見ておきたい。

●今後活躍が期待される「注目5銘柄」

◆レーザーテック <6920> [東証P]
2022年1月4日につけた3万6090円の上場来高値をピークに調整を強め、6月20日には1万4450円まで下落。その後も調整トレンドは継続しているものの、上値を抑えられていた13週線を捉えてきており、修正リバウンドに期待したい。世界のテクノロジー業界を巡る減速懸念から軟調な地合いが継続しているが、足元では半導体株にリスクを取る動きがうかがえる。韓国サムスン電子のほか、TSMC<TSM>の予想を上回る決算も安心感につながろう。直近の信用倍率は1.81倍と6月半ばの8倍台から取組に厚みが増してきており、買い方の需給整理に一巡感が出てきた(8月5日に2022年6月期決算を発表予定)。

◆GameWith <6552> [東証S]
7月13日に発表した2022年5月期連結業績は、売上高が前の期比8.3%増の31億円、営業損益が2億円の黒字(前の期は2億0900万円の赤字)で着地した。続く23年5月期は売上高が前期比14.5%増の35億円、営業利益は50%増の3億円に伸びる見通しとなった。ゲーム攻略やゲーム紹介といった既存事業に加え、新規領域として eスポーツおよび NFTゲームにも注力しており、これらを収益の柱とすべく積極的に投資を行っている。昨年10月にはeスポーツの世界的な大会において実績を残しているDetonatioNの株式を取得。また、出資先のKyuzanと共同開発を行っているNFTゲームが成長するなど、新規領域の事業拡大が期待される。株価は6月中旬に急伸する場面も見られたが、結果的には大陰線を残す格好となった。ただし、13線、26週、52週線の3本の移動平均線が収斂しつつある中、450円処での底堅さも見られており、再動意に期待したい。

◆トレジャー・ファクトリー <3093> [東証P]
7月13日に発表した2023年2月期第1四半期(3-5月)の連結業績は、売上高が前年同期比18.8%増の67億円、営業利益は2.2倍の7億6600万円に急拡大した 。併せて通期の売上高を従来予想の253億円から260億円(前期比2.5%増)、営業利益を10億円から14億円(同27.5%増) に上方修正した。営業利益は7期ぶりに過去最高を更新する見通し。リユースショップの買取サービス需要が堅調に推移し、販売面でも生活用品をリーズナブルに購入したいという消費者のニーズは強い。SDGs(持続可能な開発目標)への関心の高まりも、 リユースの追い風となっている。株価は1月21日につけた758円をボトムに強い基調が継続しており、直近で年初来高値を更新。過熱感は意識されるものの、19年の高値1472円、この水準をクリアしてくると15年高値の1747円が射程に入りそうだ。

◆ギフティ <4449> [東証P]
eギフトの発券から流通・販売まで一気通貫で提供する「eギフトプラットフォーム事業」が主力。また、TAKARA & COMPANY <7921> [東証P]傘下の宝印刷と、株主優待の電子化サービスの販売で連携している。2022年12月期第1四半期(1-3月)の連結売上高は前年同期比0.7%減の10億円、営業利益は同72.2%減の1億4200万円 だった。前期はGo Toトラベルキャンペーンに係る売上を計上していたため、その反動で地域通貨サービスが大きく落ち込んだ。ただし、eギフト生成システムを飲食・小売店などに提供するサービスや個人向けサービスは順調。株価は13週、26週線が支持線に変わってきており、昨年10月以降の大幅調整に一巡感も兆しつつある(8月12日に2022年12月期第2四半期決算を発表予定)。

◆JMDC <4483> [東証P]
2022年3月期連結業績は、売上収益が前の期比30.1%増の218億円、営業利益が同29.9%増の48億円で着地。 続く23年3月期は売上収益が前期比26.1%増の275億円、営業利益が同25%増の60億円を見込む。前期はヘルスビッグデータで、取引先健康保険組合数、同社開発の健康情報プラットフォーム「PepUp(ペップアップ)」の発行ID数、製薬企業および保険会社での1顧客あたりの年間取引額のすべてが増加ペースで推移。遠隔医療、調剤薬局支援も順調だった。7月12日には医療情報などのデータベースの構築を手掛けるリアルワールドデータの子会社化を発表。 遠隔医療など医療DX(デジタルトランスフォーメーション)が進むなか、大規模医療機関や製薬企業を中心に広く活用されていくことが期待される。株価は5月12日につけた4195円を安値にリバウンドを継続し、52週線上放れからの活躍が期待される(8月9日に2023年3月期 第1四半期決算を発表予定)。

(2022年7月15日 記)

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