【特集】大塚竜太氏【参院選後に強気相場突入、サマーラリーはあるか】(2) <相場観特集>
大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)
―自民党大勝で不安心理後退、日経平均上昇本番の確度は―
週明け11日の東京株式市場は日経平均株価が続伸、一時は500円を超える上昇で2万7000円台を回復する場面もあった。その後は目先筋の利益確定売りで伸び悩んだものの、市場心理は強気が優勢となっている。安倍元首相の銃撃事件は大きなショックを与えたが、参院選は自民党が大勝したことで追い風が意識されている。果たしてサマーラリーは期待できるのか。市場第一線で活躍する市場関係者2人に今後の相場見通しと物色の方向性などについて意見を聞いた。
●「2万8000円突破を視野に強調展開へ」
大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)
東京株式市場は足もとリスク選好の地合いとなっている。今回の参院選では安倍元首相が凶弾に倒れるという大事件があったが、自民党が大勝を収めたことから株式市場には強い追い風が吹いている。自民党は単独改選過半数を確保したことで、政局が安定するとの思惑が物色意欲を後押ししているもようだ。
岸田首相は資産所得倍増プランを打ち出しており、今回の参院選を通過してその実践が求められる局面だ。内閣改造を実施した後に補正予算を組んで経済活性化に舵を切る可能性が高そうだ。岸田首相は金融所得課税の引き上げなどマーケットにネガティブイメージを植え付ける時期もあったが、ひと頃とはだいぶイメージが変わってきた。
今週は米国の消費者物価指数(CPI)などをはじめ重要経済指標が相次いでいることから、全体相場はやや不安定な動きも想定されるところだが、過度な悲観はチャンスを逃す。最近の米国株市場は、経済指標などがコンセンサスから上下にブレても比較的落ち着いた動きを示しており、仮にCPIなどの経済指標がインフレを示唆するものであっても、大きな波乱は考えにくい。東京市場でも米国株市場を横目に下値抵抗力を発揮する公算が大きい。日経平均のレンジは向こう1ヵ月でみて下値は2万6000円近辺で、仮にここを下回る場面があればそこは買い下がる絶好のチャンスとなる。一方で、上値は2万8000円ラインを突破する局面も予想される。
投資対象は決め打ちせずに全方位型で臨むところだろう。半導体関連の深押しのリバウンド狙いや景気敏感株の押し目、あるいはリオープン(経済再開)関連の調整場面に買い向かうといったように、基本はリターンリバーサルの動きを念頭に置いて、高値を追わず安くなったところを丁寧に拾っていくというスタンスが有効と思われる。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(おおつか・りゅうた)
1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。
株探ニュース