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【特集】大塚竜太氏【さまよう東京市場、流れ変わるか6月相場の展望】(1) <相場観特集>

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

―米金融引き締めで強弱観対立、日本株と為替動向を読む―

 週明け23日の東京株式市場は日経平均株価が続伸し、2万7000円台を回復した。買い一巡後は上値も重くなったが、下値では根強い買いが観測される。今週末が権利付き最終日となり、来週から実質6月相場入りとなる。果たして6月相場はどのような波動を形成するのか。また、ドル・円相場の動向も気になるところだ。株式市場の見通しについては東洋証券の大塚竜太氏に、外国為替市場の動向については外為オンラインの佐藤正和氏にそれぞれ話を聞いた。

●「東京市場は米国離れで頑強な展開へ」

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

 米国株市場はFRBがインフレ抑制のため金融引き締め強化の動きにある一方、経済減速への警戒感も根強い。今週は週央に予定される5月3~4日開催分のFOMC議事要旨の発表を控え、なかなか舵取りの難しい地合いといえるが、仮に米国株が波乱含みの展開となっても、東京市場は相対的に下値抵抗力を発揮するのではないかとみている。

 3月決算銘柄の決算発表シーズンを通過したが、全体で見て22年3月期は最終利益が過去最高を更新、23年3月期予想については小幅に減益を見込むものの、当初想定よりは大分良い内容であったと思う。これでも企業側は保守的な数字を開示している可能性があり、結局上振れして全体ベースで増益の着地となる公算が小さくない。米国株はバリュエーション面で株価調整が必要で、主力銘柄のポトーフォリオ比率見直しなどの作業が今後も続きそうだが、日本国内でみれば米国のようにバブル気味に買われた銘柄は見当たらないため、その分だけ下値リスクも限定的となりそうだ。

 こうしたなか、6月相場は7月に行われる参院選を意識して強調展開となるのではないか。14~15日の日程で行われるFOMCにマーケットは関心が高く、ここを通過するまでは見切り発車的に上値を積極的に買い進む動きは、日米ともに期待しにくいかもしれない。しかしその反動で、月の後半は岸田政権の打ち出す政策に対する思惑が追い風となり、日経平均の上値余地が強く意識される展開もありそうだ。

 6月相場における日経平均のレンジは下値が2万5500円近辺で上値は2万8000円前後とみておきたい。今後米国株の波乱などに引っ張られ、再び2万6000円台を割り込むような場面もあるかとは思うが、そこは絶好の買い場となろう。物色対象は脱炭素原発再稼働の思惑なども背景にエネルギー関連株をマーク。このほか、GoToキャンペーン再開などへの政策期待から、小売りなど消費関連株にも目を向けたい。


(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(おおつか・りゅうた)
1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。

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