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【市況】止まらない米株安受け一時1200円安も短期リバウンド条件が揃い始めた/後場の投資戦略

日経平均 <1分足> 「株探」多機能チャートより

日経平均 : 26074.53 (-244.81)
TOPIX  : 1860.71 (-17.68)


[後場の投資戦略]

 前日の米国市場は全面安商状。幅広い年限で債券利回りが低下するなかではあったが、ハイテク・グロース株の売りは止まらず、ナスダックやフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は再び急落した。これまで相場の下支え役だった石油や建設機械といったコモディティ・景気敏感株も、景気後退懸念が強まるなか大きく売り込まれた。ビットコイン(BTC)など暗号資産(仮想通貨)の価格も足元で厳しい下落トレンドが続いており、今朝には一時1BTC=30000ドルを割り込む場面もあった。ほぼ全ての資産クラスが大幅に下落しており、完全に投げ売りの状態だ。

 一方で、こうしたやや乱暴とも言える動きが出てきたことは、短期的にはそろそろ底打ちを期待させてくれる。実際、昨日の米株市場の急落においては、出来高が直近に比してそれなりに大きめの水準まで膨らんでいた。S&P500指数への組み入れ銘柄を対象とした計算では、3月18日以来の出来高水準だった。見境のない投げ売りや出来高を伴った急落により、需給整理が進んだともいえる。

 本日の前引け時点での東証プライム市場の売買代金は1兆6000億円超とまずまず大きく膨らんでいる。出来高と値幅を大きく伴った日が先週末6日から3日続いていることで、東京市場でも需給整理が少しは進んだだろう。また、朝方の一時急落により、日経平均は3月16日の高値25824.94円を上端としたマド埋めを完了。昨日からの下落幅も考慮すると、テクニカル的にも値幅的にも短期的には底打ち感が台頭してくるタイミングが近づいていると言えそうだ。明日11日に発表予定の米4月消費者物価指数(CPI)で、3月CPIに続きインフレピークアウトが確認できれば、買い戻しが強まる展開が期待されよう。

 一方、ゴールドマン・サックス・グループのデービッド・コスティン氏らストラテジストチームは、前日、米国株の見通しはあまり明るくないと顧客向けリポートで指摘。「インフレの軌道が明確になるまで、値動きが大きい展開は続く」とし、「金融状況の引き締まりや市場の流動性不足を踏まえれば、3月下旬と同様の規模の短期的な上げ相場が到来すると論じるのは難しい」とコメントしたという。

 市場関係者の間でも、相場の先行きについては依然として大きく強気派と弱気派に分かれており、相場の見方がある程度収れんしてこない限りは、まだまだボラティリティー(変動率)の高い相場環境が続かざるを得ないだろう。11日の米4月CPIでインフレピークアウトを確認できれば、インフレ対応で後手に回ったのではないかとの見方から疑念が強まっているFRBに対する信任が少しでも回復する可能性がある。弱気派の過度な悲観も後退し、ボラティリティーの低下に寄与してくれるのではないかと期待したい。

 さて、後場の東京市場は戻りを試す展開か。上述したように日経平均は3月16日高値を上端としたマド埋めを完了し、値幅的にも調整一巡感が台頭してくる頃合いだ。実際、朝方540円超下落していた日経平均は、前引けにかけて急速に下げ渋り、割ったばかりの26000円を早々に回復してきている。こうした下げ渋りは前日の急落時には見られなかった動きであり、売り一巡を感じさせてくれる。時間外取引のナスダック100先物が堅調に推移していることで、今晩の米株市場での反発も見込まれる。午後の東京市場では、売り方の買い戻しに期待したい。(仲村幸浩)
《AK》

 提供:フィスコ

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