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【市況】【村瀬智一が斬る!深層マーケット】決算発表が集中、業績を手掛かりとした個別物色が中心に

RAKAN RICERCA 代表取締役 会長 村瀬智一

「決算発表が集中、業績を手掛かりとした個別物色が中心に」

●FOMC通過後のアク抜け期待は剥がれた

米連邦準備制度理事会(FRB)は5月3~4日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、インフレ抑制を強化するため予想通り政策金利の0.5%引き上げを決定した。また、保有資産の縮小を来月から開始する計画も発表した。一方で、これまで市場が警戒していた0.75%の引き上げについては、積極的に検討しているものではないとの見解を示した。FOMCの結果とパウエルFRB議長の発言を受けて、4日の米国市場は大幅に上昇したが、翌5日はインフレ懸念が再燃し、主要な株価指数が前日の上昇部分を消すなど、FOMC通過後のアク抜け期待は剥がれた格好だ。

そうしたなか国内では来週、決算発表が集中する。2400社を超える企業が発表を予定しており、株式市場でも決算内容を手掛かりとした物色が柱となる。機関投資家は積極的には動きづらく、短期筋を中心とした日替わり的な売買が予想されるため、全体では方向感が掴みづらくなりそうだ。

なお、これまでFOMC待ちのなかで積極的にポジションを傾ける動きは限られており、決算対応についても先回り的な動きは限られていたと考えられる。そのため、決算内容をポジティブに評価する、もしくは悪材料出尽くしで見直すといった反応が期待される一方で、リバウンド基調を見せていた銘柄などで慎重な見通しや今期予想の未定が明らかとなった場合は、利益確定が強まりやすい点には注意を払う必要があろう。

●来週の活躍期待「注目5銘柄」

◆エヌ・ティ・ティ・データ <9613> [東証P]
22年3月期第3四半期累計(4-12月)の業績は、公共・社会基盤や金融、法人・ソリューション、北米、EMEA(ヨーロッパ・中東・アフリカ)、中南米のいずれのセグメントも好調であり、通期計画に対する連結営業利益の進捗率は77.7%と順調だった。ITサービス需要の回復を背景とした受注獲得に加え、不採算案件の抑制や海外における事業構造改革などが計画通り達成できる見通しであり、通期計画の達成確度は高いとみられる。株価は3月下旬以降、2400円を挟んだレンジ相場を継続しており、上放れに期待したい。(※2022年3月期決算の発表予定日は5月11日)

◆ローム <6963> [東証P]
自動車関連や産業機器関連市場が好調に推移し、3月4日には2022年3月期の業績予想を上方修正。連結営業利益を従来予想の630億円から690億円に引き上げている。通期計画に対する進捗率は81.5%に達しており、通期計画の達成確度は高い。株価は調整基調が継続しているものの、足元では上値抵抗線として意識されている75日移動平均線を捉えてきており、抵抗線突破からの一段のリバウンドに期待。(※2022年3月期決算の発表予定日は5月10日)

◆太陽誘電 <6976> [東証P]
モバイル通信用デバイス(FBAR/SAW)や回路モジュールが順調なほか、 コンデンサがすべての機器向けで好調であり、2021年11月に今期2度目となる2022年3月期業績予想の上方修正を行っている(連結営業利益を従来予想の550億円→640億円に増額)。2月4日に発表した第3四半期累計(4-12月)の営業利益は522億円と対通期進捗率は81.7%である。株価は調整トレンドが継続しているものの、積層セラミックコンデンサの受注が自動車向けや在庫調整が続くスマートフォン向けに拡大していくとみられ、決算通過後のアク抜けに期待したい。(※2022年3月期決算の発表予定日は5月10日)

◆カプコン <9697> [東証P]
4月21日に2022年3月期の業績予想を上方修正し、連結営業利益を従来予想の420億円→428億円に引き上げた。モンスターハンターシリーズが好調なうえ、主力シリーズの過去タイトルなどを中心としたリピートタイトルの安定した人気により、通期計画の達成確度は高いだろう。株価は200日線を支持線とするリバウンドにより4月につけた年初来高値に接近。一段のリバウンドが意識されよう。(※2022年3月期決算の発表予定日は5月11日)

◆東洋製罐グループホールディングス <5901> [東証P]
2月28日に今期4度目となる2022年3月期の業績予想の修正を発表。通期の連結最終利益を従来予想の290億円→390億円(前の期は159億円)に引き上げた。第4四半期に投資有価証券売却益155億円を特別利益として計上することが要因だが、製缶・製蓋機械や飲料充填品の販売も好調に推移。2月4日に発表した22年3月期第3四半期累計(4-12月)の連結営業利益は前年同期比74.3%増の339億円と通期計画340億円をほぼ達成しており、上振れが期待されやすいだろう。PBRは0.4倍台とバリュエーション面での割安感もあり、決算通過後のアク抜けに期待。株価はボトム圏での推移が続くが、足元では上値抵抗線として意識されている75日・200日移動平均線を捉えてきている(※2022年3月期決算の発表予定日は5月13日)

2022年5月6日 記

株探ニュース

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