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【特集】驚異の進化が加速、「ウェアラブル」新時代に飛躍する妙味株7選 <株探トップ特集>

スマートウォッチなどの市場拡大が注目されるウェアラブル関連市場だが、その潜在成長性は計り知れないほど大きい。市場ではウェアラブル関連株を見直す動きが強まっている。

―「空気清浄機能」+「ヘッドホン」が登場、高成長続き電子部品株など注目―

 ウェアラブル端末というと、スマートウォッチに代表される時計、あるいはスマートグラスのようなメガネといったIT関連商品を思い浮かべることが多い。しかし、身に着けることができるIT商品であるという点に目を向ければ、ウェアラブル関連機器が秘めている、潜在市場は計り知れないほど大きい。このほど海外企業から画期的なウェアラブル商品が開発されたと伝わってきた。そこで、ウェアラブル関連銘柄の成長性を改めて評価してみたい。

●ダイソンが既成概念くつがえす新製品を開発

 大手家電メーカー、ダイソンリミテッドと言えば、掃除機というイメージはもはや古いのかもしれない。固定観念を打ち破って市場に解き放たれた、同社の「羽根のない扇風機」が与えた驚きは今も記憶に新しい。家電の世界でイノベーションを起こし続けてきた同社が、今回初のウェアラブルデバイスを発表した。その注目のデバイスとは、「Dyson Zone(ダイソン ゾーン)」と命名されたノイズキャンセリング機能付き空気清浄ヘッドホンだ。2022年秋から一部地域で販売を開始する予定とされている。

 ダイソン ゾーンは、ダイソンが約30年にわたり培った気流制御、空気の浄化、モーター技術の専門知識をベースに6年の開発期間と500以上のプロトタイプを経て生み出された。また、乗馬のサドルの形状とデザインからインスピレーションを得て、ヘッドバンド中央のクッション部分に応用。頭の側面に重量が分散するように設計されているようだ。このニュースを聞いた投資家は、生活に浸透している「空気清浄機」と「ヘッドホン」という異色の組み合わせに面食らったことだろう。

 ただ、世界保健機関(WHO)は、世界の10人に9人が、ガイドライン基準値を超える汚れた空気を取り込んでいると推計しているほか、同社の調査によると「新型コロナウイルスの感染拡大に伴うロックダウンや外出自粛で都市部のNO2(二酸化窒素)の数値が一時的に減少するも、健康への影響が懸念されるPM2.5について、世界中の多くの都市で新型コロナ流行前の数値を超えている」ようだ。また、ヨーロッパの人口の約20%が、WHOのガイダンスを超える騒音に長期的にさらされているとの欧州環境庁(EEA)の調査報告も出るなか、こうした環境を踏まえれば、このデバイスの登場は必然だったのかもしれない。

●30年まで世界市場は年平均で約13%成長との予想も

 今回ダイソンが発表した革新的なダイソン ゾーン自体が市場で受け入れられるか否かについては、まだ判断がつかない部分も多い。しかし、目先的な販売状況とは別に、この製品の登場はより大きな意味を持つと言える。それは、ウェアラブルデバイスの概念が多くの人々にとってスマートウォッチやスマートグラスを中心としたものとして、定着し始めていたところに、異色の製品を掛け合わせる事例を私たちに具体的に提示し、その可能性を大きく広げる一つのきっかけとなり得るということだ。

 一部海外調査会社からは、ウェアラブルテクノロジーの世界市場規模は、30年まで年平均で約13%成長するとの予測も出ている。ダイソンが市場に投じた一石がこの成長を更に加速させる可能性もあるだろう。そこで以下では「ウェアラブル」関連の銘柄に焦点を当てた。

●大興電子やQDレーザ、JMACS、MTGなど注目

 クラボウ <3106> [東証P]~人工知能(AI)IoTで現場作業者一人ひとりのリスク状態を一括で管理できるウェアラブルシステム「Smartfit(スマートフィット) for work」を手掛けている。暑熱作業リスクや体調変化を評価するほか、転倒・転落をリアルタイムで検知する。マルチデバイス対応であり、ウェアラブル端末で一般的なウォッチタイプのほか、イヤークリップ型のイヤータイプやシャツタイプをそろえており、AI機能によって長く着用するほど、体調管理の精度が向上する。

 大興電子通信 <8023> [東証S]~働く人々をネットワークで支援することを目的とした IoW (Internet of Workers) を手掛けており、感染対策支援パックでは、スマートウォッチで位置や歩数、心拍数などのセンシングデータをクラウドに記録することで現場の働く人の状態を把握できる。これにより、フロア内での密集状況や個人単位の接近状況をデータ化し、密状況の見える化や感染疑いが発生した場合の対処などを支援する。

 QDレーザ <6613> [東証G]~視覚障害者支援、眼疾患予防、視覚拡張の3領域に対応した3つのレーザー網膜投影機器「RETISSA HANDY」「RETISSA SUPER CAPTURE」「携帯型レーザ簡易検眼装置」を22年度に順次製品化する計画である。同社のレーザーアイウェアは装着者自身のピント調整力によらずに、高精細な画像を楽しめるアイウェアである。特別な光学系により、角膜や水晶体の状態に左右されず投影光を網膜に届け、視力やピント位置にほぼ関係なく鮮明な画像が描出されるようだ。

 日本航空電子工業 <6807> [東証P]~業界初のスマートテキスタイル用コネクタ「RK01シリーズ」や、スマートウォッチなどの高密度化に最適な基板対基板(FPC)接続用マイクロコネクタ「WPシリーズ」などを手掛けている。服を着るだけのスマートテキスタイルは、モーションセンシングなど複数のセンサー伝送を必要とする場合に最適であり、あらゆる生体信号を読み取りやすく、既にスポーツ分野での体調管理用途のほか、現場作業者の安全管理を目的とした実用化が始まっている。

 JMACS <5817> [東証S]~スマートグラスに搭載可能な遠隔支援システム「nvEye's(エヌヴィ)」を手掛けている。現場作業者と支援者が映像と音声を共有し、リアルタイムで遠隔業務を支援することができる製品である。また、米RealWearのスマートグラス、防爆仕様HMT-1Z1(Red Line)に同社のnvEye'sを組み込むことにより、防爆エリア内での情報共有が可能となる。

 アルプスアルパイン <6770> [東証P]~携帯端末、ゲーム機器、ウェアラブル端末などのタッチ入力デバイスでは、指先で軽く触れるだけで操作が可能となる静電容量式デバイスを手掛けている。また、ウェアラブルのヘッドセット向けに、検出スイッチ、スライドスイッチ、タクトスイッチ、エンコーダ、スライドボリューム、磁気・圧力・湿度の各種センサーなど多くの電子部品を製造する。

 MTG <7806> [東証G]~ウェアラブル決済の本命を狙った商品として、キャッシュレス機能搭載のリング型ウェアラブルデバイス「EVERING(エブリング)」を手掛けている。Visaのタッチ決済対応のスマートリングであり、現時点ではキャッシュレス決済がメインとなる商品であるが、決済以外の機能追加などを進めていく計画である。


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