【市況】【杉村富生の短期相場観測】 ─今期の最高益更新予想企業を狙う!
経済評論家 杉村富生
「今期の最高益更新予想企業を狙う!」
●古来、イベントリスクは避けよ、という!
GW(ゴールデンウイーク)突入である。JR東日本 <9020> [東証P]によると、4月28日~5月8日の新幹線の予約状況は前年比2倍超という。コロナ禍を克服、人流が戻っている。しかし、マーケットには重苦しい空気が漂う。ウクライナ情勢に加え、FRB(米連邦準備制度理事会)の動向、中国のコロナ再流行が気になる。
5月3~4日のFOMC(米連邦公開市場委員会)での50ベーシスポイント(0.5%)の利上げは既定路線だが、焦点はQT(量的金融引き締め)だろう。月に最大950億ドルペースの総資産圧縮と伝えられている。2017~2019年のQTは当初100億ドル、最大500億ドル(FRBの総資産は0.8兆ドル減)に過ぎなかった。今回はスケールが違う。
総資産の圧縮額は3年間に、3.4兆ドル強になる計算だ。マーケットは利上げには耐性がある。だが、QTは未知数だろう。耐えられないと思う。だからこそ、投資家は身構え、ポジションを手仕舞う。イベントリスクを避けるのは投資に際してのセオリーだ。まして、日本はGWである。
手控えムードが強まるのはやむを得ない。買い物が少ないところを狙って、投機筋は売り攻勢をかけている。先物主導の展開だ。これでは落ち着いて投資ができない。さらに、決算発表シーズンを迎えている。アルファベット<GOOG>の四半期決算は減益、マイクロソフト<MSFT>は増益だった。頼みの綱は28日発表予定のアップル<AAPL>だろう。
●決算分析のポイントの7項目とは……?
日本企業ではアマノ <6436> [東証P]、山洋電気 <6516> [東証P]、東京エレクトロン デバイス <2760> [東証P]、FPG <7148> [東証P]などが好決算を発表、人気を集めている。半面、今期見通しを「未定」としているキッコーマン <2801> [東証P]は動きが悪い。「自信がない」と受け止められたのだろうか。
やはり、ポイントは、(1)2023年3月期だ。前期実績ではない。それと、(2)国際商品市況の高騰、これに伴うコストアップを吸収できているか、(3)中国のロックダウン(都市封鎖)、サプライチェーン混乱の影響はどうか、(4) 円安効果はあるのか、(5)行動制限の緩和による需要増は期待できるか、さらには(6)配当政策、(7)成長戦略などを見極める必要があろう。
ちなみに、2023年3月期が最高益になりそうな企業は日本瓦斯 <8174> [東証P]、サイバートラスト <4498> [東証G]、さくらインターネット <3778> [東証P]、東光高岳 <6617> [東証P]など。さらに、インフレに強い日本製鉄 <5401> [東証P]、円安メリット享受の日本郵船 <9101> [東証P]などに注目できる。
ポストコロナでは日本航空 <9201> [東証P]、ANAホールディングス <9202> [東証P]に妙味があろう。オリエンタルランド <4661> [東証P]は好決算(黒字浮上)だったが、売られている。期待が大きかったのか、地合いの悪さなのか。まあ、オリエンタルランドは売り方が踏み上げ状態にある。買い方は好材料では利食う。
株式市場は長い休みに入る。この際、長期休暇をとる人が多いと思う。すなわち、投資家不在の状況だ。結局、外部環境に振り回される展開になる。もちろん、国内勢の売りも少ない。当然、商いは細るだろう。結果的に、全般相場は膠着状態に陥ると考えている。やはり、当面は個別銘柄対応の投資戦術が有効である。
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2022年4月28日 記
株探ニュース