【特集】「量子コンピューター」が9位、世界が社会実装に向けた取り組みに本腰<注目テーマ>
富士通 <日足> 「株探」多機能チャートより
1 メタバース
2 NFT
3 円安メリット
4 サイバーセキュリティ
5 半導体
6 防衛
7 インド関連
8 再生可能エネルギー
9 量子コンピューター
10 2022年のIPO
みんかぶと株探が集計する「人気テーマランキング」で、「量子コンピューター」が9位にランクインしている。
仮想通貨やNFTの普及でバーチャル空間が進化を遂げるなか、ハード分野においても次世代コンピューティング分野の進展に世界の耳目が集まっている。その中核で輝きを放っているのが量子コンピューターだ。
従来型コンピューターは動作原理が「0もしくは1」というデジタルの普遍的コンセプトに基づいており、これはスーパーコンピューターであっても変わらない。ところが、量子コンピューターはこの概念領域から離脱し、量子力学的な性質である“重ね合わせ”や“もつれ”といった物理現象を利用して並列コンピューティングを実現し、ひとつの量子が「0であり、かつ1でもある」という重ね合わせの状態で飛躍的な演算パフォーマンスを生み出す。
最先端のスーパーコンピューターですら千年あるいは万年という気の遠くなるような時間を必要とする計算を、量子コンピューターはわずか数分間で完結してしまうという夢のような計算能力を発揮する。2019年秋に米グーグルがスーパーコンピューターでおよそ1万年かかる計算問題を量子コンピューターによって3分あまりで解答を導く実証実験に成功、「量子超越性」を達成したことが話題となったが、そこから約2年半の歳月を経て、世界各国は量子コンピューターの社会実装に向けた取り組みに本腰を入れ始めている。
IT先進国である米国では、量子超越の実証で先駆したグーグルが29年の実用化を目標に掲げ、開発を鋭意進めているほか、IBM<IBM>も経営資源を積極的に注ぎ込みキャッチアップを図っている。日本でも成長戦略の一環として国策の後押しが今後本格化する見通しだ。差し当たって岸田政権では6月をメドに「量子技術イノベーション戦略」を改定する方針にあり、企業の技術導入を側面支援する形で税金控除などの設備投資促進に向けた政策が想定されている。
関連銘柄としては、富士通<6702>、NEC<6701>など大手IT企業のほか、フィックスターズ<3687>、HPCシステムズ<6597>、テラスカイ<3915>、エヌエフホールディングス<6864>、シグマ光機<7713>などが注目される。
出所:MINKABU PRESS