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【市況】明日の株式相場に向けて=マザーズの貸借銘柄をロックオン

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
 きょう(2日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比451円安の2万6393円と4日ぶりに大幅反落。前日に25日移動平均線とのマイナスカイ離をほぼ解消したが、踵(きびす)を返す形できょうは下値模索に転じた。ものの見事に25日線が上値抵抗ラインとなっている。大勢トレンドの底入れを示唆する段階には至っていない。

 ロシアによるウクライナ侵攻が続いている。依然として不透明感が強いが、市場関係者によれば「ロシア側の兵器を見る限り本気を出していないのは明白で、情報操作でウクライナの抵抗にあって手を焼いているというイメージが流されているが、戦力差は歴然であり、それは誤った認識」(ネット証券アナリスト)とする。バイデン米大統領は一般教書演説で「プーチンはかつてなく世界から孤立している」としたが、実際、中国はもとよりインドやブラジルなど米国側を支持していない国も少なくない。

 しかし、ロシアの所業は悪であることに変わりはない。ロシアをSWIFTから排除するというのは当然の制裁だが、その反動にマーケットが怯えているのも事実である。具体的には、今回のウクライナ有事で加速したコモディティ価格の高騰によるインフレ。これにどう対応するかが最大の難所となる。日本時間きょう深夜に行われるパウエルFRB議長の下院での議会証言に世界の耳目が集まることになる。「3月のFOMCで0.5%利上げの線は消えたが、おそらく0.25%の引き上げは行われるとの見方が本線」(生保系エコノミスト)とする。パウエルFRB議長はウクライナ問題に触れないわけにはいかないが、言質をとられるような発言は是が非でも避けたいところだろう。あすの東京市場も、パウエルFRB議長の証言を受けた後の米国株市場の動向に大きく左右されることになる。

 個別株は目先値動きが目まぐるしく、たとえ短期トレードであっても投資家泣かせの地合いといえる。後追いで動いてもなかなか利益に恵まれない間欠泉のような相場で、物色人気に沸いている場所に、いざ駆けつけてみると既に資金は引いた後というようなケースが多い。基本は押し目買いに徹するところで、きょうはコモディティ価格の高騰で住友金属鉱山<5713>や大紀アルミニウム工業所<5702>、大平洋金属<5541>などの非鉄関連株が買われているが、噴き上げたところに買いつくのは基本的に避けておくのが賢明だ。

 また、レアメタルの市況高騰を材料に買うなら、大勢波動で相対的に出遅れ感のあるアサカ理研<5724>や松田産業<7456>などに注目してみたい。また、エネルギー関連ならINPEX<1605>を追いかけるのも一法だが、現状で過熱感のない東京エネシス<1945>のような銘柄に妙味がある。

 一方、今ならむしろ下値を探っているハイテク系のグロース株のリバウンドを狙う方が有効な場合もある。ITソリューション系の銘柄では、その先駆としてサイバーセキュリティー関連に人気が集中した。その際に人気の牽引役を担ったのがFFRIセキュリティ<3692>やサイバーセキュリティクラウド<4493>など。両銘柄の共通項はマザーズ市場の貸借銘柄ということだ。

 マザーズ指数は昨年11月下旬から3カ月以上にわたって一貫して下げ続けてきたが、前日に日経平均に先んじて25日移動平均線を大陽線で上に抜けた。きょうも日経平均と比べ下値抵抗力を発揮している。ウクライナ情勢と欧米株市場の動向次第のところはあるが、マザーズ市場に吹っ切れたムードが出てきた場合は、ここまで売りの洗礼を受けた貸借銘柄に着目しておくのは一つの作戦だ。一例として、農業総合研究所<3541>、ヘリオス<4593>、Sun Asterisk<4053>、ホットリンク<3680>、識学<7049>、CRI・ミドルウェア<3698>などが挙げられる。

 あすのスケジュールでは、3月の日銀当座預金増減要因見込み、2月の消費動向調査が開示されるほか、30年物国債の入札が予定される。また、東証マザーズ市場にイメージ・マジック<7793>が新規上場する。海外では、1月の豪貿易収支、2月の財新中国非製造業PMI、1月のユーロ圏失業率、21年10~12月期米労働生産性指数(改定値)、2月の米ISM非製造業景況感指数、1月の米製造業受注、パウエルFRB議長の米上院での議会証言など。なお、インドネシア市場は休場となる。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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