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【市況】【村瀬智一が斬る!深層マーケット】リスク回避のなか内需系や成長期待の中小型株に注目

RAKAN RICERCA 代表取締役 会長 村瀬智一

「リスク回避のなか内需系や成長期待の中小型株に注目」

●ウクライナ情勢を受けて1年3カ月ぶり安値水準に下落

 ロシアによるウクライナ侵攻を受けてリスク回避の動きが強まり、24日の株式市場では日経平均株価が1年3カ月ぶりの安値水準まで下落した。一方、NY原油先物が心理的な節目である1バレル=100ドルを上回るなど、ウクライナ情勢に対する警戒感が一段と高まっている。

 過去の経験則から「有事の際のショック安は買いの好機」とする見方がある。しかし、ロシアへの追加経済制裁はインフレを加速させる可能性があり、消費や企業業績に与える影響が警戒される。このため現状では短期的な株価調整で収まるといった楽観的な見通しは考えづらい面がある。ただ、これまでも地政学リスクの高まりを背景としたポジション調整の動きが続いていたほか、出来高推移を見ても中長期的な目線でポジションを取っていた参加者は限られる。そのため、事態の改善が見られる局面ではリバウンド基調が強まりやすい面はあるだろう。

 また、新型コロナウイルス感染症の新規感染者数は減少傾向にあり、経済活動の正常化期待が根底にある。しばらくはボラティリティの大きい需給状況が続くと見られ、指数インパクトの大きい主力銘柄は手掛けづらいものの、リスク回避のなかで内需系の銘柄や、指数の影響を受けづらく成長期待の大きい中小型株については、次第に底打ちから見直し買いの動きが期待されよう。これらを踏まえて、今回は次のような銘柄に注目したい。

●来週の活躍期待「注目5銘柄」

◆パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス <7532>
総合ディスカウントストア「ドン・キホーテ」を主力に総合スーパーのアピタ・ピアゴ、長崎屋などを展開。2月10日に発表した、22年6月期第2四半期累計(7-12月)の連結営業利益は前年同期比11.5%減の436億円で着地。ただし、直近の10-12月期は前年同期比5.5%増の275億円と、第1四半期の同30.7%減から急回復した。第2四半期累計のコンセンサス(400億円程度)を上回る進捗だったことが材料視され、株価は窓を空けて上昇し75日移動平均線を突破。週足では13週線を上放れ、26週線を捉えてきた。新型コロナの新規感染者数が減少傾向にあるなか、消費動向も改善を見せてくる可能性がありそうだ。信用買い残高は直近のピーク時から4割程度整理されており、需給状況は改善傾向にある。

◆エッジテクノロジー<4268> [東証M]
2月17日に上場し、初値は公開価格の350円を98.3%上回る694円。同日、一時ストップ高の794円まで上昇した。ただし、マザーズ市場全体の需給悪化の影響を受けて翌日から安値更新が続く。明確な底打ち感はまだ見られないが、2022年4月期の営業利益(非連結)は前期比4.4倍の1億6100万円を見込んでおり、PERは上場時の64倍台から足元では43倍台まで低下した。同社はAIアルゴリズム事業を展開しており、 AI導入支援やディープラーニングの開発・運用支援などを提供している。DX(デジタルトランスフォーメーション)化の推進に伴いAIソリューションの需要も高まっており、見直し余地は大きいと考えられる。

◆ALBERT <3906> [東証M]
2月15日に決算を発表。2021年12月期営業利益(非連結)は前期比74.5%増の4億3600万円で着地。続く2022年12月期は前期比50.6%増の6億5700万円を見込んでおり、成長が加速する。データサイエンティスト育成に対するニーズが高水準であり、同社事業への需要の高まりを背景に、戦略転換した2018年以降、売上高・利益ともに順調に推移している。株価は2018年11月の上場来高値1万6730円をピークに調整トレンドが続くが、週足では上値抵抗線として意識される13週、26週移動平均線を捉えてきており、長期的な調整トレンドからの転換に期待したいところだ。

◆サイバーセキュリティクラウド <4493> [東証M]
2月14日に決算を発表。2021年12月期の連結営業利益は前期比57.8%増の2億9700万円で着地。全プロダクトのユーザー数が順調に拡大しており、足元では4000ユーザーを突破した。また、解約率については同社主力製品の「攻撃遮断くん」「WafCharm」のいずれも低い水準で推移している。続く2022年12月期は同31.2%増の3億9000万円を計画。DX化推進を追い風に セキュリティ需要は引き続き高い水準を継続すると考えられる。株価は2020年4月の上場来高値1万1262円(分割修正)をピークに調整を続け、1月28日には1102円まで下げている。株価が高値からおよそ10分の1の水準まで低下する一方、利益成長は高まりを見せており、見直し余地は大きいと見られる。

◆サイゼリヤ<7581>
1月12日に決算を発表。2022年8月期第1四半期(21年9-11月)の連結営業損益は2億1900万円の赤字(前年同期は3億7400万円の黒字)で着地。資源価格の高騰や食材価格の上昇リスクは燻るが、新型コロナの新規感染者数が減少傾向にあるなか、経済活動の正常化に向けて外食産業の回復傾向は強まることが期待される。また、通期については期首計画の営業利益70億円を据え置いていることも安心感につながる。株価は21年10月18日につけた3225円を高値に調整を継続していたが、52週線を支持線にリバウンドを見せてきている。信用倍率は直近で0.64倍と売り長の需給状況であり、先行きの買い戻しにつながろう。

2022年2月25日 記

株探ニュース

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