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【特集】佐藤正和氏【乱調展開続く東京市場、年度末相場の展望を読む】(2) <相場観特集>

佐藤正和氏(外為オンライン シニアアナリスト)

―ウクライナ情勢と米インフレへの警戒で強まる不透明感―

 週明け21日の東京株式市場は、日経平均株価が3日続落。朝方は一時570円あまりの急落をみせる場面もあった。その後は米ロ首脳会談が行われる方向となったことが報じられ、全体相場は急速に下げ渋ったが、戻し切れずに2万7000円台を割り込んだ水準で着地している。ここから期末に向けた相場展開はどうなるのか、また株式市場にも大きな影響を与える為替の動向も気になるところ。株式相場の展望についてはブーケ・ド・フルーレットの馬渕治好氏に、為替の展望については外為オンラインの佐藤正和氏に話を聞いた。

●「ウクライナ再侵攻なら急激な円高進行も」

佐藤正和氏(外為オンライン シニアアナリスト)

 ロシアによるウクライナ再侵攻があるか、どうかでドル円相場の水準は、大きく変わるだろう。ウクライナ再侵攻があれば、急激な円高が進むことが予想される。特に、ユーロは売られるだろう。一方、再侵攻がなければ、リスクオンによるドル高・円安となりそうだ。

 きょう開催が伝わった米ロ首脳会談の結果がどうなるか、による面が大きいだろう。24日に米ロ外相会談が予定されており、そこで米ロ首脳会談の日程などが決まりそうだが、ウクライナ情勢は今週から3月初旬にかけてが大きなポイントとなりそうだ。実際のところロシアにとって、ウクライナ再侵攻を仕掛けて欧米から制裁を受けることは経済的には厳しいと思う。ロシアのウクライナ再侵攻の姿勢には、脅しの面もあるのかもしれない。ただし、米国の債券や株式市場はウクライナ再侵攻を織り込む動きをみせている。

 問題は、ウクライナ再侵攻があった場合、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げスタンスに影響が出てくるかだ。米国の3月利上げは間違いないと見られているが、ウクライナ危機が進行しても、FRBが利上げを粛々と続ける姿勢を示すようなら、株式市場には厳しい展開となり、為替は円高基調を強めるだろう。

 もしロシアのウクライナ再侵攻があれば、ドルは1ドル=113円前後への2円近い円高が予想される。113円を割れば、112円55銭が次の節となる。一方、ウクライナ再侵攻を免れれば、1ドル=115円半ばから116円前後までリスクオンのドル高・円安が進行するとみている。ユーロは対円で、ウクライナ再侵攻があれば1ユーロ=125円前後へのユーロ安が進みそうだ。再侵攻がなければ同132~133円へのユーロ高が見込める。


(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(さとう・まさかず)
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。通算20年以上、為替の世界に携わっている。

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