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【特集】大荒れ相場に光明、業績成長トレンドまい進の「高配当バリュー」特選6銘柄 <株探トップ特集>

ウクライナ問題などで先行き不透明感が増すなか、下落局面に強い銘柄として高配当利回り株への関心が高まっている。ここでは、3月期末に向けて注目の高配当&低PER株を6銘柄選出した。

―不安定な地合いで底堅さ発揮、手厚い株主還元が魅力の好業績割安株リストアップ―

 ウクライナ情勢の緊迫化や米金融政策の転換を背景に荒れた相場展開が続くなか、下落局面で底堅さを期待できる銘柄群として高配当利回り株の注目度が高まっている。上場企業の業績は20年4-6月期を底として急回復に転じており、余剰資金を積極的に株主還元へ振り向ける企業が増えている。先週までに一巡した21年4-12月期(第3四半期)決算発表シーズンでも、通期業績の上方修正とともに配当予想を増額する企業が相次いだ。ここでは、3月期決算企業の期末が近づくなか、足もとの業績が好調で株主還元に前向きな姿勢をみせる高配当利回り株を探った。

●4-12月期は好調継続も直近では伸び鈍化

 18日までに4-12月期決算を発表した2346社を集計したところ、経常利益の合計額は前年同期と比べ50%増加した。業種別にみると、旺盛な物流需要と運賃高騰を背景に絶好調な業績が続く海運、資源高が追い風となっている商社、自動車生産の回復で収益が急改善した輸送用機器などに利益を大きく伸ばした企業が多かった。全体では製造業を中心に7割近い企業が増益または黒字転換を果たした。ただ、直近3ヵ月の10-12月期は半導体不足や原材料価格の高騰を受けて、自動車関連などの成長にブレーキがかかり、経常利益の増益率は約8%と伸びが鈍化している。

●バリュー株優位の展開に

 全体相場は米長期金利の上昇を背景に高PERのグロース株に厳しい局面が続くなか、バリュー株優位の地合いとなっている。なかでも、好業績かつ高配当利回りの企業に強調展開のものが目立つ。日本郵船 <9101> や商船三井 <9104> をはじめとする海運株、伊藤忠商事 <8001> 、三菱商事 <8058> 、三井物産 <8031> 、住友商事 <8053> 、丸紅 <8002> といった総合商社のほか、非鉄株鉄鋼株などにも上値指向の銘柄が多くみられる。

 今回は、直近の業績が拡大基調で22年3月期に大幅増益を見込む企業のうち、増配や自社株買いを通じた株主還元に積極的な企業に注目。今期の年間配当利回りが3%を超え、かつ予想PERが東証1部平均(14.5倍)を下回る6銘柄を紹介していく。なお、3月期末配当を獲得するには、権利付き最終日の29日に株式を保有していることが必須条件となる。

※配当利回りは2月21日終値ベースで算出。

【特殊陶】 配当利回り4.81%

 日本特殊陶業 <5334> は足もとの業績が急拡大をみせている。主力の自動車エンジン向け点火プラグが欧州や北米を中心に補修用製品の販売が伸びているほか、半導体製造装置用部品の引き合いも強い。為替の円安進行も追い風だ。好調な4-12月期決算を踏まえ、22年3月期通期の最終利益予想を600億円(従来計画は488億円)へ上方修正するとともに、配当も年102円(従来計画は96円)に積み増した。更に、100億円または650万株を上限に自社株買いを実施することも発表した。これを受けて株価は昨年来高値圏に浮上したが、指標面では配当利回りが4%を大幅に超える一方、予想PERは7倍台にとどまり割安感が極めて強い。一段の上値に期待したいところだ。

【オリックス】 配当利回り3.29%

 オリックス <8591> は株主還元に手厚いことで知られる。利回り3%超の配当や定期的な自社株取得に加え、全国各地のカタログギフト「ふるさと優待」を贈呈する株主優待制度も実施しており、個人投資家の高い支持を得ている。今期配当は配当性向33%と配当金78円のいずれか高い方を採用する方針を示す。会社計画は78円としているが、1株当たりの当期純利益の水準から見て配当性向を採用する可能性が高く増額が期待できそうだ。株価は今年に入ってから上昇基調を強め、1月18日に約14年3ヵ月ぶりの高値をつけたが、その後は調整含みにある。今期業績は最終利益段階で前期比6割増の大幅増益を見込むうえ、予想PER9倍近辺と指標面に割高感はなく、押し目買い候補としてマークしたい。

【洋缶HD】 配当利回り4.91%

 東洋製罐グループホールディングス <5901> は第3四半期までの業績好調に伴い、今期の経常利益予想を420億円(従来計画は370億円)へ上方修正した。海外子会社で製缶・製蓋機械や飲料充填品の販売が好調に推移していることを反映した格好だ。達成すれば1995年3月期以来、27期ぶりの高水準となる。併せて、配当も年78円(従来計画は46円)へ大幅に増額する計画を打ち出した。期末配当だけで55円となり、今からでも3%を超える高配当が狙える銘柄として注目したい。同社は26年3月期まで配当と自社株買いを合算した総還元性向の目標を80%に設定するなど、株主還元に積極姿勢をみせている。

【伯東】 配当利回り5.10%

 エレクトロニクス商社の伯東 <7433> は世界的な半導体需要の拡大を追い風に、4-12月期の経常利益は61億7200万円と前年同期の2.5倍に膨らんだ。通期計画は21期ぶりの最高益となる63億円を計画するが、第3四半期でほぼ到達しており、業績上振れは確実とみられる。中期経営計画では総還元性向100%を目標にしており、昨年12月までに18億円の自社株買いを実施した。配当は年120円と前期の2倍に増やす計画だが、業績が上振れ着地となれば一段の増額が期待される。決算発表後の株価は上方修正に踏み切らなかったことが嫌気され急落を強いられたが、指標面は配当利回りが5%を超えるなど魅力的で見直し余地は大きい。

【ダイセル】 配当利回り3.68%

 ダイセル <4202> は高機能樹脂や酢酸、エアバッグ用ガス発生器など、幅広い分野で事業展開する大手化学メーカー。配当は20年3月期に実施した記念配当を除くと前期まで実に27年も減配がなく、安定配当を続けている。配当利回りは3%台後半と高水準なうえ、自社株取得と消却の実施を定期的に行うなど、株主還元の切り口で投資妙味が大きい。今期業績は3度にわたる上方修正を経て、経常利益535億円(前期比54.3%増)と新型コロナウイルス感染拡大前の水準に復帰する見通しだ。液晶表示フィルム向け酢酸セルロースや機能フィルムなどが好調に推移するほか、コスト上昇分の販売価格への転嫁や酢酸市況の上昇、為替影響もプラスに働く。

【野村不HD】 配当利回り3.17%

 総合不動産大手の野村不動産ホールディングス <3231> は4-12月期決算発表と併せて、通期の経常利益予想を770億円(従来計画は740億円)に上方修正した。コロナ環境下で喚起された住まいへの旺盛な需要を捉え、住宅販売が好調に推移するなか利益率が向上するほか、個人向けのリテール事業を中心に仲介手数料が増える。好調な業績動向を踏まえ、配当も年85円から90円(前期は82円50銭)へ引き上げた。増配は今期を含めて10期連続となる。また、実施中の自社株取得枠の上限を金額ベースで従来の50億円から70億円へ拡大することも発表。これを受けて株価は上昇トレンドに転換している。

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