【特集】再び輝き放つか直近IPO銘柄、見直し期待材料秘める妙味株6選 <株探トップ特集>
依然として不安定な相場環境が続いている。昨年12月IPO銘柄も厳しい展開となっているものの、このなか見直し機運の到来に備え、再評価余地の大きい銘柄をマークしておきたい。
―12月の大量上場銘柄に掘り出し株も、決算発表一巡で地合い好転に期待―
昨年12月IPO銘柄に改めて目を向けたい。足もとIPO市場は、今年の公開第1号銘柄となったRecovery International <9214> [東証M]が公募割れ水準での値動きを続けるなど弱さがみられる一方、その後の上場銘柄が堅調な滑り出しとなったことで株式市場ではひとまず安堵感が漂った。依然、グロース株を中心に厳しい相場展開を余儀なくされている環境下ではあるものの、こうした場面でも業績や材料面で注目できる銘柄は存在する。12月IPO見直し機運の到来に備え、投資妙味の高い銘柄を探った。
●初値比プラス銘柄はヒュウガプラ、湖北工業など3社のみ
12月IPOを振り返ると、上場企業数は32社と前年(2020年)同月の26社から6社増となった。単月ベースでおよそ30年ぶりの水準とも言われているが、この要因としては好調な株式市況を背景にそもそも年間のIPO件数が多かったことが挙げられる。4月の新市場基準移行を前に駆け込み的な上場があったとの見方もあるが、これについては市場再編に向けた新規上場基準の改正が既に20年11月に行われており、「駆け込み上場ではない」(東京証券取引所・上場推進部)という。
いずれにしても、12月は例年IPOが多くなる時期だけに需給は悪化しやすい。昨年12月IPOはもちろん件数が多めであったことに加え、1日に7社上場という日もあるなどIPO公開日程が月後半に集中したこともあり、全体の約4割にあたる12社が公開価格割れとなる波乱展開を余儀なくされた。更に年初からのグロース株売りの余波が直撃する格好となり、15日終値時点で株価が公開価格を下回る水準にある銘柄は32社中25社、また初値を下回る水準にあるものでは29社にのぼる。
初値比でプラスを保っている銘柄としては、在宅訪問薬局サービス運営のHYUGA PRIMARY CARE <7133> [東証M](+12%)、電子部品メーカーの湖北工業 <6524> [東証2](+1%)など、わずかに3社だ。
●決算通過後の材料難相場で直近IPOに関心
全体相場は米金利上昇やウクライナ情勢を巡る地政学リスクの高まりが意識され、今なお不安定な状態が続いている。他方で、週明け14日に最終盤を迎えた10-12月期決算発表では企業業績の良好さが確認されており、これが相場の下支え役となることが期待される。今後、決算ラッシュ通過で手掛かり材料難の相場展開となることが想定されるなか、こうした場面で物色を集めやすい直近IPO銘柄に再び関心が向かう可能性は高そうだ。2月から始まったIPOが概ね堅調な結果となっていることも追い風に働くとみられ、ここ改めて12月IPO銘柄をマークしておく必要があるだろう。関連銘柄のなかから、業績良好あるいは注目材料を持つ銘柄をピックアップした。
●妙味株6銘柄
Finatextホールディングス <4419> [東証M]は、証券・保険ビジネス向けクラウド基幹システムの提供などを行う。同社のネット証券子会社スマートプラスの取り組みは特筆され、直近ではセブン銀行 <8410> と共同で証券取引サービスを提供することを発表した。22年度上半期中のリリースを目指すとしており、今後の業容拡大への期待が高まる。スマートプラスは既にクレディセゾン <8253> やANAグループなどと、それぞれ共同サービスを展開している。
タカヨシ <9259> [東証M]は、地域の農家や小売店といった生産者に対して販売場所を提供する、食の産直プラットフォーム型店舗「わくわく広場」の運営を手掛ける。地域に特化した業態であることから巣ごもり消費拡大が追い風に働き、コロナ禍においても業績を伸ばしている。14日に発表した22年9月期第1四半期(21年10-12月)決算は好調、通期は売上高63億6600万円(前期比15.2%増)、営業利益8億100万円(同16.3%増)を見込む。同社は、前述の初値比プラス銘柄3社のうちの1社だ。
三和油化工業 <4125> [JQ]は産業廃棄物のリユース・リサイクル事業を主力に、電子材料向け化学品や自動車業界向け油剤製品の販売などを手掛ける。足もと環境意識の高まりを背景に主力事業が堅調なほか、リチウムイオン電池向け化学品の需要が伸びており、22年3月期は売上高139億9700万円(前期比12.3%増)、営業利益13億8600万円(同30.7%増)とそれぞれ過去最高を予想。有配企業である点もポイントで、セカンダリーでの値動きは比較的堅調に推移している。
サスメド <4263> [東証M]はスマートフォンアプリなどを活用した「デジタル治療」の開発を行う医療ベンチャー。上場前から注目度が高く、業績面で先行投資による赤字が続いているものの同社に対する投資家の視線は熱い。開発を進める不眠症治療用アプリについては昨年12月に塩野義製薬 <4507> と販売提携契約を締結、2月1日には厚生労働省に製造販売承認を申請した。このほか、東北大学と共同で臨床試験でのブロックチェーン活用に向けた研究を行うことも明らかにしている。
ライフドリンク カンパニー <2585> [東証2]は水やお茶、炭酸飲料などに特化した飲料メーカー。原材料調達から販売までの内製化と自社工場の全国展開により、高品質で低価格、かつ安定供給を実現している点に強みがある。小売り企業と強固なパートナーシップを構築しており、加えてここ最近はEC販売にも注力している。10日に発表した21年4-12月期決算は大幅増収増益で着地、22年3月期予想は売上高248億5900万円(前期比9.3%増)、営業利益22億円(同58.6%増)、年間配当は25円37銭を見込む。
JDSC <4418> [東証M]は、企業の課題解決に向けた人工知能(AI)サービスの開発を手掛ける。同社は1月18日、RIZAPグループ <2928> [札証A]、ロボット開発のユカイ工学(東京都新宿区)と共同でフレイル(加齢による心身の虚弱)予防に向けた実証実験を開始したことを明らかにした。電力データからAIでフレイルリスクや日常生活の変化を検知する技術を用い、ヘルスケアデータなどとも連携して健康寿命延伸サービスの構築と検証を進めていく予定だ。
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