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【特集】田部井美彦氏【再び下値模索、日経平均の波乱安はどこまで】(1) <相場観特集>

田部井美彦氏(内藤証券 投資調査部 リサーチ・ヘッド&チーフ・ストラテジスト)

―米インフレ警戒とウクライナ緊迫化で警戒ムード高まる―

 3連休明けとなった14日の東京株式市場は日経平均株価が急反落、一時は700円を超える下げで2万7000円大台を割り込む場面もあった。1月の米消費者物価指数(CPI)発表を受けたFRBの金融引き締め政策に対する警戒感とロシアによるウクライナ侵攻が近いとの見方がマーケット心理を揺さぶっている。ここからの東京市場の見通しについて経験豊富なベテラン市場関係者2人に意見を聞いた。

●「3月FOMCまで荒い値動きが続く」

田部井美彦氏(内藤証券 投資調査部 リサーチ・ヘッド&チーフ・ストラテジスト)

 足もとの株式市場の下落の背景には、インフレ圧力の高まりがある。特に、エネルギーの供給不足やサプライチェーン(供給網)の混乱がインフレ圧力を高めている。サプライチェーンの混乱は、米国の労働需給とも関係するが、この点に関して米国の政策と労働需給はうまくかみ合っていないように思う。また、エネルギー関連では、ウクライナ情勢の緊迫化が不透明要因となっている。

 ウクライナ情勢に関しては、特に春先までが警戒感が高まる時期だ。いまは地面が凍って戦車の走行が可能だが、3月の中旬以降となると凍土が泥沼化し、走行に支障をきたす恐れが出てくる。このため、ロシアのウクライナ再侵攻に関して2月は一番リスクが高い時期となる。

 こうしたなか相場は、3月15~16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)が転換点となるとみている。3月FOMCで0.25%あるいは0.5%の利上げが実施されれば、それを契機にいったん相場は落ち着くと思う。日経平均株価は1月のザラ場安値の2万6044円まで下落することはないだろう。逆に上値は2万8000円前後だと思う。当面は値の荒い展開が続くとみている。

 注意しなければならないのは、米国が量的引き締め(QT)にいつ踏み切るかだ。QT開始の機運が高まれば、日経平均株価は1月安値を割り込むこともあり得ると思うが、当面は、そこまで心配することはないだろう。

 個別銘柄では、半導体不足が続くなか東京エレクトロン <8035> や信越化学工業 <4063> 、イビデン <4062> 、新光電気工業 <6967> などの押し目は狙えると思う。三菱商事 <8058> や三井物産 <8031> など大手商社株、エネルギー関連のINPEX <1605> 、それに金利上昇が追い風となる三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> などにも注目したい。


(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(たべい・よしひこ)
内藤証券リサーチ・ヘッド&チーフ・ストラテジスト。株式市況全般、経済マクロの調査・分析だけでなく、自動車、商社、アミューズメント、機械などの業種を担当するリサーチアナリストとして活動。年間200社程度の企業への訪問、電話取材、事業説明会への参加などを通して「足で稼ぐ調査・情報の収集」に軸足を置いている。

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