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【市況】【村瀬智一が斬る!深層マーケット】決算ピーク通過後は改めて業績を見直す動きに

RAKAN RICERCA 代表取締役 会長 村瀬智一

「決算ピーク通過後は改めて業績を見直す動きに」

●米金融引き締めによる金利上昇を徐々に織り込みへ

 日経平均株価は1月の波乱相場からの転換を見せ、2月に入って緩やかなリバウンド基調を継続している。日米企業の決算が本格化するなか、予想を下回る業績見通しが嫌気されたメタ・プラットフォームズ<FB>の急落など、波乱含みの場面もあったものの底堅い値動きとなってきた。

 日経平均株価は2万7000円を固める動きから2万7500円水準にレンジを切り上げ、週末には25日移動平均線を上回ってきた。米国の金融引き締めに対する警戒感は根強いが、足元では米半導体株が買い直されていることもあり、金利上昇がもたらす影響を市場は徐々に織り込む動きを見せ始めたと考えられる。

 ウクライナ情勢の緊迫化など地政学リスクはくすぶるが、新型コロナウイルスについてはピークアウトとの見方から世界で制限緩和の動きも見られており、世界経済の正常化に向け期待が高まってきた。国内では13都県でまん延防止等重点措置が延長される見通しだが、政府は病床を確保することで緊急事態宣言の発出は行わない方針と見られる。経済活動が正常化へと動き出すなか、株式市場においても米金利上昇の織り込みが進み、相場も正常化に向かうことが期待される。

 また、決算発表については週明け14日に600社近い企業が予定しており、この日でピークは通過する。ピーク通過後は改めて決算内容を見直す動きが強まると予想される。好決算ながら利食いが強まった銘柄のほか、予想を下回ったとはいえイレギュラー的な水準まで売り込まれた銘柄などを再評価する展開に期待したい。今回は決算評価を軸に、ボトム圏からの水準訂正の動きが期待される銘柄を選定している。

●来週の活躍期待「注目5銘柄」

◆ダイフク <6383>
2月4日に発表した22年3月期第3四半期累計(4-12月)業績は、連結営業利益が前年同期比9.7%増の329億円だった。一般製造業や流通業向けのほか、 半導体・自動車生産ライン向けなどシステムの受注が大きく伸びている。併せて通期の営業利益を従来予想の450億円から485億円(前期比8.8%増)とコンセンサス(483億円程度)を上回る水準に上方修正した。年明け以降、調整を続けていた株価は決算を受けて窓を空けて急反発し、上値抵抗線として意識されていた25日移動平均線を突破、75日線(9380円処)に迫っている。75日線をクリアしてくるようだと、昨年11月以降の調整トレンドが転換する可能性が高まろう。

◆オリックス <8591>
2月7日に発表した22年3月期第3四半期累計(4-12月)業績は、連結営業利益が前年同期比45.6%増の2821億円で着地した。通期の最終利益は昨年12月17日に上方修正した3100億円の予想を据え置いたものの、米国での企業投資などの利益が膨らんでいるほか、今後の大型投資への思惑なども高まりやすいため、足元で9倍台のPERは出遅れ感がある。決算を受けて利食いに押される場面もあったが、バリュー株物色の流れから押し目買い意欲は強そうである。テクニカル面では、切り上がる13週移動平均線を支持線とした上昇トレンドラインを継続。

◆THK <6481>
2月9日に決算を発表。2021年12月期業績は連結営業損益が302億円の黒字(前の期は84億円の赤字)に転換した。産業機器の販売拡大が寄与した。続く22年12月期の営業利益は前期比42.1%増の430億円を見込み、コンセンサス(427億円程度)を若干上回る計画。コロナ禍で打撃を受けた経済活動の正常化が進むなか、産業機器の需要が伸びるほか、輸送機器も自動車の挽回生産により回復が期待される。株価は緩やかに切り上がる75日移動平均線を支持線としたリバウンドを見せている。3090円処に位置する52週線に接近してきており、上抜いてからの本格的なトレンド転換に期待したい。

◆ISID <4812>
2月9日に決算を発表。2021年12月期は連結営業利益が前期比12.7%増の137億円だった。1月21日に上方修正した水準での着地であり、売上高および各利益のいずれも4期連続で過去最高を更新。22年12月期の営業利益は同9.2%増の150億円の見通しと、コンセンサス(149億円程度)を若干上回る水準で5期連続での最高益更新を見込む。金融機関のDX(デジタルトランスフォーメーション)支援案件が拡大していることから成長期待は大きいだろう。株価は1月20日につけた3145円を直近安値にリバウンドを継続。決算を受けて窓を空けて急伸し、上値抵抗の25日、75日移動平均線を突破。一目均衡表では「雲」上限を捉えてきたため、シグナル好転からの一段のリバウンドに期待したい。

◆エヌ・ティ・ティ・データ<9613>
2月4日に発表した22年3月期第3四半期累計(4-12月)業績は、連結営業利益が前年同期比56.3%増の1670億円で着地。併せて通期営業利益を従来予想の1800億円から2150億円(前期比54.5%増)に上方修正した。これにより通期営業利益はコンセンサス(2144億円程度)を若干上回り、第3四半期累計の対通期進捗率も77.6%と順調。ITサービス需要の堅調な回復を背景に、各分野で順調に受注を獲得している。株価は1月27日につけた2088円を直近安値にリバウンドを見せており、上値抵抗線として意識されている25日移動平均線を足元で上抜いてきた。

2022年2月10日 記

株探ニュース

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