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【特集】桂畑誠治氏【再び下値模索、日経平均の波乱安はどこまで】(2) <相場観特集>

桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)

―米インフレ警戒とウクライナ緊迫化で警戒ムード高まる―

 3連休明けとなった14日の東京株式市場は日経平均株価が急反落、一時は700円を超える下げで2万7000円大台を割り込む場面もあった。1月の米消費者物価指数(CPI)発表を受けたFRBの金融引き締め政策に対する警戒感とロシアによるウクライナ侵攻が近いとの見方がマーケット心理を揺さぶっている。ここからの東京市場の見通しについて経験豊富なベテラン市場関係者2人に意見を聞いた。

●「日経平均は米国株横目に下値模索局面へ」

桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)

 東京市場では再びリスク回避の売り圧力が強まっている。注目された1月の米CPIは前年同月比7.5%の上昇と事前の市場コンセンサスであった7.3%を上回り約40年ぶりの高い伸びを記録、これを受けてFRBのタカ派姿勢が一段と強まるのではないかとの警戒感が改めて浮上した。一方、ウクライナ情勢についてもロシアの侵攻が近いとの見方が米国で示されており、北京冬季五輪が閉幕した直後にも現実化する懸念が高まっている。

 これらの悪材料が複合的に絡み、足もと外国人投資家を中心にリスク回避の売りが東京市場にも及んでいる。これから、FRB理事や地区連銀総裁のコメントが随時取り上げられるなか、株式市場は3月中旬のFOMCに向けて神経質な展開を強いられそうだ。米国では今週16日に予定されるFOMC議事録(1月25~26日開催分)の内容次第ではNYダウは一段の下げに見舞われ、3万4000ドルを割り込むような深押し局面も予想されるところ。また、今月25日に予定される個人消費の物価動向を示す米PCEデフレーターの数値も全体相場に与える影響は大きそうだ。

 東京市場でも日経平均は目先自律反発の動きを交えながらも、当面は下値リスクを警戒しながら不安定な値動きを強いられよう。米国株の動向次第のところはあるが、3月中旬にかけて日経平均は2万6000円大台攻防を意識させるようなリスクオフの地合いに陥る可能性もある。そのなか、業種的に強さを発揮しやすいのは、長期金利の上昇によって収益機会が高められる大手銀行株や、原油市況の高騰が株価の刺激材料となる資源株。また、国内において新型コロナウイルスのオミクロン株の感染者数がピークアウトすることを前提に、外食関連株にも追い風が意識される局面が訪れそうだ。


(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(かつらはた・せいじ)
第一生命経済研究所 経済調査部・主任エコノミスト。担当は、米国経済・金融市場・海外経済総括。1992年、日本総合研究所入社。95年、日本経済研究センターに出向。99年、丸三証券入社。日本、米国、欧州、新興国の経済・金融市場などの分析を担当。2001年から現職。この間、欧州、新興国経済などの担当を兼務。

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