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【市況】明日の株式相場に向けて=「グロース狩り」売り方が闊歩する市場

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
 きょう(15日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比214円安の2万6865円と続落。朝方は買い先行でスタートしたものの続かず、すぐにマイナス圏に。その後は坂を下っていくように下値模索の展開に入った。日経平均が2万7000円台攻防の様相をみせたのは前場までで、後場はあっさりと大台ラインを下放れる格好となった。終盤下げ渋ったとはいえ、全体相場は一段と厳しいムードを漂わせている。

 約1カ月前の1月18日、中期投資であれば資金回収を優先すべきとしたが、仮にそこでキャッシュポジションを高めたとしても今はまだ買い場とはいえない。波の上下動ではなく潮の流れが変わっている。やみくもに資金を長い時間マーケットに寝かせておくのは危険である。意中の株をリバウンド前夜にうまく拾えたとしても、それが中長期で底値を買えたと勘違いしないことが肝要だ。短期で少しでも値幅が取れればそれに感謝して仕切り直す。まして押し目を買い溜めるなどは蛮勇に等しい。全体相場は“押し目買いの相場”ではなく“戻り売りの相場”になっていることを認識しておく必要がある。短期で利益を回収することは可能だが、中長期ではリスクが大きいと判断しておくのが賢明である。

 前日の米国株市場ではNYダウが下げ止まらなかった。ウクライナ情勢は確かに緊迫の度合いを増しているが、米国が言うように一触即発の状態であったとしても、これまでのように過剰流動性に包まれた株式市場であれば、むしろチャンスとなる。有事によってリスク回避の売りが出るのであれば、ここぞと買い向かう勢力がいた。しかし今は、コロナバブルの終焉で、いかに出口戦略を考えるかという場面に舞台は回っている。ロシアによるウクライナ軍事侵攻は政治的には重大な局面かもしれないが、株式市場の見地に立てば本来相場のトレンドを左右する材料ではなく、ノイズに過ぎない。今の弱地合いの本質は、超金融相場が幕を引いたということ。ノイズであっても悪材料とおぼしき材料は売りの口実となる。買い方としては、慌てず騒がずキャッシュポジションを高めながら、しばらくは“泰然と待つ”のが強い投資家である。

 企業の決算発表は増額修正銘柄が相次ぎ、予想以上に好調だった。決算を好感して素直に買われる銘柄も多く、きょうはストップ高銘柄が頻発した。ただし、例によって市場コンセンサスに届かなければ容赦なく売りを浴びせるような油断のならない地合いである。そのなか、これまで目立っていたスター銘柄ほど売りのターゲットになりやすい傾向がある。ポイントはグロース狩り、高PER銘柄ほど不利な立場に置かれている。

 きょう指数が昨年来安値を更新したマザーズ市場では、人工知能(AI)関連の象徴株として株価を2年弱で20倍以上に大化けさせたFRONTEO<2158>が、大量売りの砲火を浴びストップ安に売り込まれた。前日の引け後に発表された21年4~12月期決算は営業利益が13億9300万円(前年同期実績は6500万円)と様変わりした。ところが結果は上に行くどころか暴落となった。通期計画の18億円予想を据え置いたことで失望売りを誘ったとの解釈だ。「普通の人間の感覚ではここまで売り叩くのは理解不能」(中堅証券アナリスト)という声も聞かれたが、前日終値換算でPERは100倍を超えていた。決算発表を契機に売りを狙っていたヘッジファンド系資金が動いた可能性もある。

 東証1部ではリクルートホールディングス<6098>への売りも強烈だった。前日発表された4~12月期営業利益は前年同期比2.3倍の3335億円。しかし、同社も通期の上方修正を見送った。この時期、増額濃厚でも周りの状況を勘案して、修正を見送るケースもあるはずだ。まして同社の通期見通しはこれまでに期中2回の上方修正を行い、既に前期比2倍以上の利益水準を見込んでいた。市場では「この業績でなおかつ今の株価位置でここまで叩き売られるのであれば、投資マネーは退散するよりない」という嘆きも聞かれた。

 あすのスケジュールでは、21年12月の第3次産業活動指数、1月の首都圏新規マンション販売など。海外では1月の中国消費者物価指数(CPI)、1月の中国生産者物価指数(PPI)、1月の英CPI、1月の米小売売上高、1月の米輸入者物価指数、1月の米鉱工業生産・設備稼働率、2月のNAHB住宅市場指数など。また、FOMC議事要旨(1月25~26日開催分)も開示される。海外主要企業の決算発表ではドアダッシュ<DASH>、エヌビディア<NVDA>、アプライド・マテリアルズ<AMAT>などが予定されている。(銀)

出所:MINKABU PRESS

最終更新日:2022年02月15日 18時10分

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