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【特集】「損しないファースト」で累計リターン6000万円の技

いくぜ、アメ株! 二刀流の極め技 サビネコスキーさんの場合-最終回

登場する銘柄
アップル<AAPL>、マイクロソフト<MSFT>、バンガードS&P・500 ETF<VOO>、アサナ<ASAN>、デジタルオーシャンHD<DOCN>、ウォルト・ディズニー<DIS>、ドキュサイン<DOCU>、ケネディクス商業リート投資法人<3453>、エスコンジャパンリート投資法人<2971>、サンケイリアルエステート投資法人<2972>

取材/真弓重孝・富田祥平、編集・構成/真弓重孝(株探編集部)

【タイトル】サビネコスキーさん(ハンドルネーム・50代・男性・専業投資家):
公務員から外資系コンサル企業を経てソフトウエア企業へと転職し、持ち株会で取得していた株式を売却して独立。ヘッドハンティング業をしながら兼業で株式投資を開始した。
自作したPCの部品としてエヌビディア<NVDA>やインテル<INTC>の製品を使っていたことがきっかけで2016年頃にアメ株をスタート。投資スタイルはIT系の優良銘柄かつ株価が上昇基調のものをトレードして、細かくリターンを積み重ねていくこと。趣味はクレー射撃。

前回記事「ストップ安なしのアメ株、"ホームランよりヒット狙い"でFIRE実現」を読む

専業投資家のサビネコスキーさん(ハンドルネーム)は、エヌビディア<NVDA>やブロック<SQ>(当時はスクエア)といった銘柄で約400万円のリターンを獲得し、またマイクロソフト<MSFT>やデジタルオーシャンHD<DOCN>でも含み益をあわせて約500万円まで伸ばしてきた。獲得した累計リターンは6000万円ほどとなる。

こうした成功を支えてきたのが、リターンより損をしないことに重点を置いてきた姿勢。前回紹介したこまめに利確していく"コツコツ投資"のスタイルも、株価がまだ上がると欲張ってしまい、せっかくの利益が損に化けてしまうのを極力避ける狙いがある。

サビネコスキーさんの損しない技の要諦は、以下の3つになる。

① 含み損を相殺で解消
② 安定収入を確保
③ 失敗から心得を記録

最終回は、これらの具体例をとともに、コツコツトレードの原点となった子どもの頃のエピソードを紹介していく

含み損を相殺して心の安定を確保

まず①の「含み損を相殺で解消」とは、含み損を含み益や実現益で相殺することだ。実現益との相殺は損益通算による税金を減らす意図もある。だが節税効果よりも重きを置いているのが、含み損があることで気の迷いが生じることを避ける効果だ。

含み損があるとメンタルが落ち着かず、一刻でも早く損を取り返したくなってしまいがち。すると、期待できるリターンよりも過大なリスクを抱え込むような取引をしてしまいかねない。

サビネコスキーさんの本領である"コツコツ"トレードは10%前後のリターンを積み重ねていく手法。利確時期は過熱感などを見ながら、決めている。換言すれば、大きなリターンを狙わずに過熱を警戒しながら、着実にリターンを狙う手法だ。

ただ、こうした戦略の下でも含み損を抱えることは避けられない。その際に、生じた含み損があると、それを少しでも早く帳消し、ないしは取り返したくなるのが人の常だ。

すると、いつもよりも大きいリターンを狙おうと利確時期の判断を緩めてしまいかねない。それがあだになって、また新たな含み損を抱え込んでしまう悪循環が生じる可能性がある。この悪循環を避けるのが、「含み損相殺」戦法だ。

アメ株の場合、損益通算で含み損を解消するには、確定申告が必須になる。損益通算はアメ株同士のほかに、日本株とアメ株の間でも可能だ。サビネコスキーさんが最近行った含み損解消の例が、中小企業向けにクラウドアプリの開発を手掛けるデジタルオーシャン・ホールディングス<DOCN>で得た利益を原資にした含み損の解消だ。

まず、リターンをもたらしたデジタルオーシャンの取引について振り返ると、サビネコスキーさんが同社を知ったきっかけが、米国の投資会社シトロン・リサーチが2021年8月2日に公表したリポートだ。

シトロンは20年もの間空売りを手掛けてきたヘッジファンドとして知られているが、ゲームストップ<GME>株に空売りを仕掛けた際に多額の損失を抱え、21年1月からは売り推奨のリポートの公表をやめた経緯がある。その後は買いの機会を探る姿勢に転換、その転換後に行ったリポートでデジタルオーシャンを取り上げたのだ。

彼らの企業分析力を評価しているサビネコスキーさんは、このリポートを見て21年8月6日に同社株を取得、最終的に約250万円の含み益となっていた。

下のチャートを見てもわかるように、同社の株価は、取得後に2倍以上に膨らみ、サビネコスキーさんの本来の基準以上に含み益が得る格好となったが、売却が遅れて大きなリターンは取り逃した。

その理由は、サビネコスキーさんが新たな投資手法を加えたことがある。コロナ対応で米国が大規模な金融緩和を実施したことを踏まえて、これまでより長く保有してリターンを狙う手法をサテライト的に取り入れた。DOCN株はこうしたサテライト投資の一環で保有していたのだ。

■『株探米国株』で確認できるデジタルオーシャンの日足チャート(21年7月~22年1月)
【タイトル】

注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、
同値は「グレー」。以下同


その結果、DOCNは、21年11月中旬の急落によって2倍超えとなるリターンは取り損ねることに。それでも急落後の含み益は250万円になっていたので11月26日に利確。同時に、その時点で含み損を抱えていたウォルト・ディズニー<DIS>や電子署名サービスを提供するドキュサイン<DOCU>売却し、一連の取引で最終的に40万円の実現益を獲得した。

含み損益の相殺は翌12月6日にも実施した。利確したのは、前回紹介したアップル<AAPL>、マイクロソフト<MSFT>とバンガードS&P・500 ETF<VOO>。一方、損切りしたのは、業務管理ソフトを手掛けるアサナ<ASAN>だ。この利確と損切りの処理で、最終的に約400万円のリターンを獲得している。

このとき利確したマイクロソフト株は、コロナ禍の20年10月8日に取得したもの。パソコン用OS「Windows(ウィンドウズ)」のシェアはそう簡単に揺らぐことはないと見て、メーンのコツコツ投資をサテライトの長期保有に切り替え、約330万円まで含み益を伸ばしていた。

■マイクロソフトの週足チャート(20年8月~22年1月)
【タイトル】

こうした相殺の際にサビネコスキーさんが意識しているのが、含み益をもたらしていた銘柄を、もう一度買い直すことだ。

同じ銘柄を繰り返して取引する循環トレードで利益を積み重ねてきたのがサビネコスキーさん。利確しても、優良銘柄である本質に変化がなければ、相場の状況にあわせ再び「イン」する。その方が、新たに優良銘柄を探すよりも確実性や効率性が高いという考えだ。

取得銘柄の下落を指数の上昇でカバー

②の「安定収入の確保」については、主に2つの取り組みに分かれる

1つ目がパフォーマンスを安定させること。サビネコスキーさんが投資のリターンで生活していることもあり、相場の上昇と逆行して保有銘柄が下落しているときは無理に個別株でリターンを得ようとはせず、ベンチマークとなる指数のETF(上場投資信託)を取得して最低限のリターンを確保している。

取得しているETFの1つは、先に紹介したバンガードS&P・500 ETFは米国の主要業種を代表する500銘柄で構成されており、S&P500銘柄に分散投資したときと同じ成果を得られる。

■『株探米国株』で確認できるバンガードS&P・500 ETFの年間パフォーマンス
【タイトル】

そのためETFを取得しておくだけでも、年間のリターン目標達成にぐっと近づくことができるのだ。サビネコスキーさんのこうした取り組みが、安定したパフォーマンスを継続している秘訣の1つともいえる。

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。



 

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