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【特集】4月から18歳の成年誕生、増えるお金のトラブルの回避法は

清水香の「それって常識? 人生100年マネーの作り方-第43回
清水香(Kaori Shimizu)
FP&社会福祉士事務所OfficeShimizu代表
清水香1968年東京生まれ。中央大学在学中より生損保代理店業務に携わるかたわらファイナンシャルプランナー(FP)業務を開始。2001年に独立後、翌年に生活設計塾クルー取締役に就任。2019年よりOfficeShimizu代表。家計の危機管理の観点から、社会保障や福祉、民間資源を踏まえた生活設計アドバイスに取り組む。一般生活者向けの相談業務のほか執筆、企業・自治体・生活協同組合等での講演活動なども幅広く展開、テレビ出演も多数。 財務省の地震保険制度に関する委員を歴任、現在「地震保険制度等研究会」委員。日本災害復興学会会員。

前回記事「子育て世帯に給付の10万円は、課税それとも非課税?」を読む

今年4月1日から、18歳以上は成人になります。成年を20歳とする民法の規定は1876年以来、146年ぶりに変更されます。

成人になると、親の親権から離脱し、自分ひとりで様々な契約も結べるようになります。主体的に人生を踏みだすスタートラインに立てる一方で、懸念もあります。

民法には、親など法定代理人が同意していない未成年者の契約を取り消すことができる「未成年者取消権」が規定されています。が、4月からの成年年齢の引き下げによって、これまで対象であった18歳と19歳は未成年者取消権を喪失します。

これにより若年層の消費者被害が、これまで以上に拡大する懸念があります。国民生活センターが発表によれば、20代前半の契約当事者に関する消費者トラブル相談件数は、18歳・19歳のおおむね1.6倍に増えます(2020年度)。

このデータから、未成年者取消権の対象外となった18歳および19歳の若者を、狙い撃ちする悪徳業者が出てくる可能性があります。

人生100年時代となり、お金との付き合いは昔より長くなっている昨今、お金を増やす知識とともに、お金を騙し取られないスキルも、若いころから身に着けることが重要です。そこで今回は、成年年齢の引き下げを切り口に、消費者トラブルの実際と、身を守る方法を見ていきます。

2022年4月時点で18歳以上が「成年」に

前述のように、成年年齢は今年 4月1日に20歳から18歳へと引き下げられ、18歳または19歳の人は4月1日をもって成人となります。それ以降に18歳になる人は、誕生日に成人となります。

成年年齢の引き下げに先立ち、公職選挙法の選挙権年齢、および憲法改正国民投票の投票権年齢は2018年に18歳に変更されています。

■生年月日によって異なる成年の年齢
生年月日新成人となるのは成年
年齢
2002年4月1日以前20歳の誕生日20歳
02年4月2日
~03年4月1日
22年4月1日19歳
03年4月2日
~04年4月1日
22年4月1日18歳
04年4月2日以降18歳の誕生日18歳

成年年齢引き下げの影響は以下の通りです。

携帯電話の契約やローン、クレジットカードなどを作る際に必要だった親の同意は、今年4月1日以降、18歳、19歳の人は不要になります。暮らしに関する様々な契約を、ほぼ単独で結ぶことができるようになります。

また、女子の婚姻可能年齢が16歳から18歳に引き上げられます。社会的・経済的成熟度に男女で差がないこと、高校進学率が98%超であることなどを踏まえた変更です。性同一性障害の人も、新成人になれば性別取り扱いの変更審判を受けることができるようになります。

ただ、これまで20歳になるとできたことのすべてが、新成人でできるわけではありません。飲酒・喫煙は今まで通り20歳からですし、一定の賭け事も同様です。国民年金保険は20歳から60歳まで加入しますが、これについても変更はありません。

最近は大学でも投資サークルが活況ですが、新成人は証券口座も開けるようになります。ただ積み立て投資の有力な選択肢である「つみたてNISA」は、口座開設年の1月1日時点で成人でないと対象にならないため、20歳になるまで待たなくてはなりません。

■成年になるとできることできないこと
成年(18歳)になるとできること* 20歳からできること
携帯電話の契約
ローンを組む
クレジットカードの作成
賃貸借契約
銀行・証券口座の開設
保険契約
結婚(男女とも18歳)
性別取り扱いの変更審判
飲酒
喫煙
競馬・競輪・オートレース・競艇の投票
国民年金の加入
* 2022年4月以降

ウェブサイトやSNSを通じた契約でトラブル多数

20歳前後は、大学入学やひとり暮らしが始まるなどして暮らしに関わる契約が増える時期です。アルバイトに時間を割けるようになり、高価なデジタル機器や美容、旅などの関心から消費が高額になりがち。クレジットやローンを使い始めることもあるでしょう。 

しかし、この年代の若者に、お金や消費に関する知識が十分に身についているとは言えません。

現在この年齢にある若者は「デジタルネイティブ」といわれ、オンラインショッピングはもちろん、SNS(交流サイト)による見知らぬ人からの勧誘にも抵抗が少ない世代。しかしデジタル機器による取引は利便性が高い一方、消費トラブルに発展すれば被害がより複雑化・多様化する懸念もあります。

店舗や電話、ウェブサイトを通じてなど、私たちが様々な販売勧誘に直面している中で、18歳・19歳そして20代前半で消費者相談件数が突出して多いのが「通信販売」のカテゴリーです。そのうち8割超がインターネット通販に関する相談といいます。

とりわけ増えているトラブルが定期購入で、「低価格で1回限りの購入と思って申し込んだダイエットサプリが次から3万5000円と高額な定期購入だった」などのトラブルが多く報告されています。「お試し価格」「初回無料」といった広告には釣られがちですが、申込みにあたり画面をスクロールし、契約条件をしっかり確かめる必要があります。

通信販売以外の形態では、18歳・19歳と比べ、20代前半の相談件数がいずれも大幅に増加しています。エステや脱毛など店舗購入は2.5倍、マルチ取引に至っては5.5倍に。未成年者取消権を喪失する20歳以降が狙われるわけで、今年4月以降の新成人も同様に狙われると考えた方がよさそうです。

学生になると人間関係も広がり資金需要が増す一方、知識は不十分なことから、"うまい儲け話"に耳を貸してしまいがちでもあります。

「先輩から投資用USBを勧誘され、成人後すぐに借金して契約。だが儲からない」
「SNSで知り合った人に儲かる情報商材を勧誘され、契約したが儲からない」

――といったケースが報告されています。中には、無理やり借金をさせて契約に至る、ウソの説明や長時間にわたる勧誘、強引な勧誘など問題のある勧誘も見られます。

■「18歳・19歳」「20~24歳」の販売購入形態別の相談件数
販売形態20~24歳で多く
見られる消費者相談
件数
(20~24歳)
件数
(18~19歳)
店舗購入エステティックサービス
脱毛・包茎手術等の美容医療
賃貸アパート・マンション
1662件661件
訪問販売電気
インターネット接続回線
702件294件
通信販売ダイエットサプリ・バストアップサプリなど健康食品
除毛品など化粧品
洋服
情報商材など
3378件3120件
マルチ取引オンラインカジノのアフィリエイトなど
内職・副業など
情報商材など
暗号資産への投資など
化粧品
投資用USBなど
642件117件
電話勧誘販売情報商材など
内職・副業その他
222件63件
出所:国民生活センター 2021年4月8日報道発表資料

「クーリング・オフ」など身を守るルールを知る

怪しい勧誘は「きっぱり断る」が基本です。それでもトラブルに巻き込まれてしまったら、味方になるのは消費者契約法や特定商取引法などの規定。代表格は「クーリング・オフ」です。



 

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