【注目】話題株ピックアップ【夕刊】(1):トヨタ、スクエニHD、電線株
トヨタ <日足> 「株探」多機能チャートより
電線株が軒並み高。昭和電線ホールディングス<5805>が昨年末30日に比べ一時10%の上昇と値を飛ばしたほか、住友電気工業<5802>が同6%近辺の上昇、フジクラ<5803>や古河電気工業<5801>も高い。3日付の日本経済新聞が「政府は再生可能エネルギーの普及のために次世代送電網を整備すると打ち出す」と報道したことを受け、送電線を含め電力関連需要が高まるとの思惑から買いが膨らんだ。
■スクエニHD <9684> 6,340円 +440 円 (+7.5%) 本日終値 東証1部 上昇率10位
スクウェア・エニックス・ホールディングス<9684>は3日ぶり反発、同社の子会社であるスクウェア・エニックスは12月30日取引終了後、事前登録受付中のスマートフォン向けRPG最新作「ブレイブリーデフォルト ブリリアントライツ」について、事前登録者数が20万人を突破したと発表した。これを記念し、公式Twitterアカウントでは、Nintendo Switch Liteと「ブレイブリーデフォルト2」ゲームソフトがセットで当たるフォロー&リツイートキャンペーンを22年1月31日23時59分まで開催するとした。
■日本電子材料 <6855> 3,070円 +211 円 (+7.4%) 本日終値
日本電子材料<6855>が200円を超える上昇で3000円大台を突破、同社株の3000円台回復は2007年2月以来約15年ぶりとなる。半導体検査用プローブカードの専業大手で、半導体市場の拡大を背景に業績は絶好調に推移、特にNAND型フラッシュメモリー向けで高水準の需要を獲得しており、22年3月期営業利益は従来予想の28億円から42億1100万円に大幅上方修正し、前期比6割近い大幅な伸びで15期ぶりとなる過去最高利益更新を果たす見通しだ。ここ米国株市場主導で半導体セクターへの買いが再び強まっているが、主力株だけでなく同社のような好業績中小型株への物色人気の波及が本格化している。
■トヨタ自動車 <7203> 2,234.5円 +129 円 (+6.1%) 本日終値
トヨタ自動車<7203>が急伸、昨年11月17日につけた上場来高値を更新した。足もと外国為替市場で1ドル=115円30銭台のドル高・円安に振れていることから輸出採算向上に対する思惑が株価を後押ししている。一時は半導体不足や新型コロナウイルスの影響によるサプライチェーンリスクの顕在化で生産台数の大幅削減を余儀なくされたが、下期に巻き返しが期待されている。また、電動化戦略の練り直しにも耳目が集まっている。電気自動車(EV)の販売計画を従来目標から上方修正し、世界販売台数を2030年に350万台とする目標を既に発表している。クオリティーの高さでも米テスラ<TSLA>を凌ぐとの見方が強く、高級車のレクサスについて、2030年には北米、欧州、中国で販売するすべてをEVにする計画を打ち出しており、国内外機関投資家の見直し買いを誘う状況にある。
■日本郵船 <9101> 9,140円 +380 円 (+4.3%) 本日終値
日本郵船<9101>、商船三井<9104>などをはじめ海運株が買いを集め、業種別騰落で東証1部33業種中、断トツの値上がり率となっている。コンテナ船市況の高騰は人手不足などによる影響もあってサプライチェーン問題に発展しているが、構造的にはグローバル物流の回復が追い風となっており、下期も旺盛な需要は続くとみられている。大手海運株は目を見張る業績変化率に加え、PERが2倍台と超割安なほか配当利回りの高さでも群を抜いていることから、金利上昇局面におけるバリュー株投資の筆頭格として改めてマーケットの視線が向いている。
■三井ハイテック <6966> 11,740円 +470 円 (+4.2%) 本日終値
三井ハイテック<6966>が一時700円高と値を飛ばし、1万1970円まで水準を切り上げ上場来高値を更新した。昨年12月中旬に1万円大台乗せを果たしたが、そこから約半月あまりで1万2000円台目前まで駆け上がった。半導体リードフレームの大手メーカーで世界的に旺盛な半導体需要を取り込んでいる。金型の超精密加工技術を強みとし商品競争力が高い。また、世界的に電気自動車(EV)の普及が加速するなか、電動車向けモーターコアが成長ドライバーとして期待を担っている。前日の米国株市場ではテスラ<TSLA>がマドを開けて買われ13.5%高という急騰を演じたことで、きょうはEV関連株への物色人気が一段と盛り上がっており、同社もその流れに乗っている。
■三菱重工業 <7011> 2,765円 +106 円 (+4.0%) 本日終値
三菱重工業<7011>が反発。1日付の読売新聞で「米原子力新興企業と米エネルギー省による次世代の高速炉の開発計画に、日本が参加することがわかった」と報じられ、なかで「日本原子力研究開発機構と三菱重工業が技術協力し、日本の施設で安全試験も行う」とあることが好材料視された。高速炉開発は、米マイクロソフト<MSFT>創業者のビル・ゲイツ氏が設立した米テラパワー社と米エネルギー省が計画しており、日本が蓄積した技術を生かして高速炉の開発を急ぎ、原子力市場の主導権を確立するのが狙いという。日本側はこれまでの設計技術や運用データを提供するほか、大型実験施設「アテナ」(茨城県)で、新しい設計に必要な安全試験も行うとしている。
■大本組 <1793> 6,540円 +250 円 (+4.0%) 本日終値
大本組<1793>は3日続伸し昨年来高値を更新した。正午ごろに発表した自社株の取得状況が好材料視された。同社は21年12月9日に上限を15万株(発行済み株数の2.94%)、または9億円とし、取得期間を同年12月10日から22年3月25日までとする自社株買いを発表したが、21年12月30日時点で12万8700株を取得し、取得価額の総額は7億4268万円に上る。自社株の取得が順調なことから、更に自社株買いが進むとの見方が強まっているようだ。
■三菱UFJ <8306> 646.7円 +21.8 円 (+3.5%) 本日終値
三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>、三井住友フィナンシャルグループ<8316>、みずほフィナンシャルグループ<8411>のメガバンクがいずれも堅調な値動き。前日の米国株市場ではゴールドマン・サックス<GS>が3%超に買われたほか、シティグループ<C>が4.5%高と値を飛ばし、JPモルガン<JPM>、バンカメ<BAC>など大手金融株が軒並み高となった。金利の先高期待が高まるなか、米10年債利回りが1.63%まで上昇、運用利ザヤ拡大に対する思惑が株価にプラスに働いている。東京市場でも米国事業を展開するメガバンクにとっては追い風が意識される局面にある。
■タムラ製作所 <6768> 692円 +23 円 (+3.4%) 本日終値
タムラ製作所<6768>が切り返し急、朝方から買い優勢の展開で一時26円高の695円まで上昇する場面があった。同社傘下のベンチャー企業で酸化ガリウムウエハーの開発及び製造販売を手掛けているノベルクリスタルテクノロジーが、昨年12月下旬に酸化ガリウムを材料とする高電圧対応のパワー半導体ダイオードの開発を発表、これがタムラの株価を強く刺激する形となり、ストップ高を交え828円(ザラ場ベース)まで急騰する経緯があったが、その後は売り物に押され急反落を余儀なくされていた。しかし、下落途上では短期筋の利益確定売りだけでなく、複数の外資系証券経由の空売り残が急増していたこともあって、年明けはその買い戻しが誘発されたとみられる。東証の信用取組も買い長とはいえ、信用倍率は1.4倍と強弱観が対立している。
株探ニュース